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2007年06月29日

ぬくもり庵

北海道中富良野の生産団体「どらごんふらい」のメンバー、布施芳秋さん。
いま、廃校になった近くの小学校を、仲間と一緒に改造して宿泊研修施設をつくっている。

「ぬくもり庵」と命名された可愛らしい元小学校を覗くと、なんと教室の数が三つほどで、
元々から学年ごとに分かれることを想定していない造りである。
職員室も数名程度の小部屋。地方の分校というのもいろいろだろうけど、
この小ぢんまりさは……微笑むしかない。

そんなミニチュアのような小学校にも、奥に入ればちゃんと講堂が設えてあって、
足を踏み入れた途端、何処からか

「ここがボクらの学校です!」

という声が聞こえたような気がした。

何組の家族から始まった土地なんだろう。
一世紀も前、男も女も一緒になって死にものぐるいで森を拓き、大地を耕し、
吹雪に揉まれて冬を過ごした開拓者たちがいた。
そこに子供たちが生まれた時の歓喜はどのようなものだったろう。
喜び、希望、そして未来への責任感がこの学舎を建てさせたんだ、きっと。
小さくても胸を張ったことだろうね。

子供たちはこのおもちゃのようなステージで、精一杯声を上げて歌い、
大人たちを泣かせたに違いない。

紛れもなくここは「学校」だ。
子供たちが楽しく語らい、学び、遊び、泣いたりした姿を見続けてきた記憶を
柱や壁に残しながら、今は誰もいない「学校」。

布施さんが残したいと思った学校。
農業の未来を信じる人の力で新たないのちが吹き込まれつつある。

徳弘と藤田夫妻

元大地社員、徳弘英郎と藤田京子夫妻。
北海道中富良野に入植して7年。
大地の生産団体「どらごんふらい」の一員として、
ジャガイモ、玉ねぎ、人参、ズッキーニ…いろいろ作ってる。
鶏も飼ってる。
生活は苦しいが、地域の役員なども引き受けるようになって、
しっかり北海道の大地に根づいたみたいだ。


今年の秋、3番目の子供が産まれる。
周りからは‘貧乏人の子だくさん’とからかわれ、
でも喜ばれている。
どらごんふらいの諸先輩からも信頼されるようになり、
大地の仲間としても嬉しい限りだ。

まもなく待望の、家の新築工事も始まる。

たくましく、いい顔になったね、徳弘。