2007年7月24日

田んぼの草取り&ホタル観察会

 

全国後継者会議で若者たちとシコタマ飲んで、帰ってきた翌日(21日)、

今度は千葉県は山武での「大地を守る会の稲作体験'07-第2回草取り」である。

かなりバテバテ。

で、ちょっと日も経ってしまったけど、外すわけにはいかないので、記しておきたい。

 

とにかく、ひどく草だらけの我らが体験田でありました。

コナギの天下のような田んぼ。オモダカは花を咲かせている。

先月の草取りは、かなりバッチリやったはずなのに...絶句状態。

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こんなにはびこられては、

私はとても庄内の佐藤秀雄の心境には立てない(7月2日の日記参照)。

これは取らねばならない。

参加者が多かったのが救い。

 

皆さん真剣に、最後まで草と格闘してくれ、

ちゃんと草取らないと、夕飯抜きだからね!」と、

伝統的手法で娘を叱る母もいたり(だいぶ疲れが出てきてたのでしょう)、

今はただ、'大地の会員はエライ!'という感想のみです。

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とにかく皆様、お疲れ様でございました。

 

しんどい作業のあとには、楽しい企画も-

ということで、若手スタッフたちが今日のために特別目玉企画を用意してくれた。

 

第二部-「夜の自然観察会」

みんな狙いどころを実に要領よく押えていて、ただ「蛍見会」と略して(?)呼んでいる。


作業のあと、生産者の話を聞きながら休憩をとり、

日が暮れ始めたあたりから第二部となる。

 

まずは、大地の会員で、専門委員会「米プロジェクト21」のメンバーでもある、

生き物博士・陶(すえ)武利さんの座学から-

テレビのモニターにいろんな虫や植物を映し出して、問題を出したり解説したり。

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ホタルの源氏と平家の違いは...、オスとメスの違いは...

フムフムなるほど、と私はただ感心するばかりだが、

子供たちの反応がすごい。よく手が上がる。するどい質問も飛ぶ。

陶さんはテキパキと答える。さすがだなあ...。

オタクもここまでくると、いや失礼、ハカセでした。

 

作業の疲れをしばし忘れ、感覚モードが虫や植物の世界にはまったところで、

6班に分かれて、順番に観察に出発する。

 

要所要所にスタッフが立ち、班がやって来るたびに、そこで見える植物のガイドをする。

解説のポイントは事前に陶さんからレクチャーを受けている。勉強になったね。

 

竹やぶを通れば、竹と笹の違いを解説し、

落花生の畑の前を通れば、夜になると葉っぱが閉じている姿を眺めてもらい、

ヤシの仲間のワジュロの木の前では、温暖化でこいつが静かに北上している話。

 

「これが烏瓜(からすうり)の花です。夏の夜に咲く花。夜ですので蛾が受粉役になります。

 この白いネットが雄花と雌花を結ぶ蛾の標識になります。秋には赤い実がなります。」

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そうこうしながら、夜の谷津田に入る。

静まりかえった森と森の間に田んぼが佇んでいる。

森と田んぼの間には沢が流れているが、それは見えない。

子どもが口を開くのを皆で制しながら、夜道を進む。

そして、眼を凝らしてみれば-

 

田んぼの向こう、その沢沿いに、やさしく点滅するホタルを一匹発見!

あ!いた。見えた!見えた!

あ!あそこにも!ここにも!

え!え!.........いっぱい、いるじゃん!

 

改めて視界を広く取れば、幕が開いたかのように、フワ~っと出現したいくつもの光。

田んぼにも、沢伝いにも、森の木の上にも。

止まって点滅する光もあれば、優雅に舞いながら流れる光も。

こういうのを幽玄の世界というのだろうか。

 

間隔を置いて歩いていたはずの班が、谷津田を見通せるところで団子になってる。

誰も進もうとしない。

ただただ感嘆の声を小さく上げながら、かそけき生命の輝きに見入っている。

この光景は、もはや僕には表現できない。

 

生まれて初めて見たホタル。子どもももちろん初めて。何だかとても幸せな気持ち。

そんな方がたくさんいた。

 

やってよかった。

若手職員の、夜なべしながらの準備も報われたね。

もちろん陶さんには感謝の一語に尽きる。

 

「こうしてホタルがたくさんいるのも、農薬の空中散布とかがないからです」

との補足は忘れない。

 

体験田の地主・佐藤秀雄さん(庄内の佐藤さんとは別人)も、それを受けて語る。

「この地域で空中散布を全~部やめてっからさぁ、ホタルが戻ってきたんだよぉ。

 最近すっごく増えてきたっけよー」

 

生き物のゆたかさ、生命の静かなにぎわい、これはゼッタイにモノに変えてはいけない。

このゆたかさの上に、私たちの暮らしをつなげておきたいよね。

 

今日の汗水たらしての草取りも一挙に報われたような気分になる。

ホタルも感謝して舞ってくれているよ

 --なんてことはないけど、とりあえずそう思っておきたい。

 

三脚も使って写してみたけど、ホタルは一枚もとらえられなかった。

こういう時は、やっぱ一眼レフかなあ。

え?腕? そうね。それもある。

しかし、残念。

ここに写真を貼れないのが、とても悔しい。

 

最後に-

大地を守る会の機関誌『だいちMAGAZINE』8月号にて、

この稲作体験という企画が18年も続いてきたことの意味合いなどについて、

私なりに整理してみました。

ホタルと稲作体験は実は深くつながっています。

読んでいただけると嬉しいです。

 



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