2007年7月29日

アオサ回収大作戦 in三番瀬

 

東京湾に残る貴重な干潟-「三番瀬」(さんばんぜ)。

千葉県の浦安市から習志野市にまたがる、およそ1800haの浅海地帯を呼ぶ。

干潟にはたくさんの生物が棲んでいて、海を浄化する役割を果たしている。

 

ここに、毎年春から秋にかけてアオサが大量に発生する。

これが打ち上げられたアオサ。

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砂浜が緑の絨毯で覆われている。

 

アオサは、河川から運ばれてくるチッソやリンなどの栄養塩類を吸収して育つ。

いわば余分な栄養分を食べてくれているわけだが、

死ねばまたその養分は海に放出され、

結果的に富栄養化や時には青潮の原因となる。

アオサは漁師たちから'海の厄介者'と言われている。

アオサが悪いわけではないのだけど。

 

そこで、このアオサを回収して資源に変えようという活動に、2000年から取り組んでいる。

 

『東京湾アオサ・プロジェクト』と称し、

船橋の漁師さんを中心とした「BPA(ベイプラン・アソシエイツ/大野一敏代表)」

というNPO団体と大地を守る会とで運営している。

さて本日、大潮をねらって、今年も夏のアオサ回収が行なわれた。

場所は、「ふなばし三番瀬海浜公園」の砂浜。

夏休みということもあって、約100名ほどのボランティアが集まってくれた。

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めいめいに青いネットのアサリ袋を持ち、

干潮で遠浅となった浜に広がってアオサを集める。

 

子どもたちは温んだ水に浸かり、またカニと戯れたり、

親子で夏の海辺を満喫するひとときにもなったようだ。

 

アオサは取っても取っても取りきれない。

今回アオサを持ち帰り、鶏の餌として活用していただく本田孝夫さん

(埼玉県川本町:That's国産卵の生産者)が

「もう積みきれないよぉ」 と音を上げたところで、終了。

回収したアオサは約1.5トンくらいか。

 

アオサはミネラルが豊富で、本田さんはこれを醗酵させて鶏に与える。

鶏は喜んで食べるそうだ。

 

以前、本田さんちまで運んだとき、着いた途端に鶏が一斉に鳴き始めたことを覚えている

海草の匂いに刺激されたのだろう。

試しにひと掴み投げると、奪い合って食べた。

生でOKなのだが、アオサは足が早い。醗酵させることで持たせている。

 

輸入のトウモロコシを使わない本田さんは、ミネラル補給だけでなく、

これで黄身の色が少しでも濃くなってくれればいいな、と考えている。

 

さて、アオサの回収後は、干潟の生き物観察会。

センセイは、一週間前、田んぼでの観察会でも活躍してくれた陶武利さん。

今度は海のガイドである。

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砂の下に棲息するカニやゴカイの数の多さ。

彼らは海をキレイにすると同時に、鳥たちの栄養源となる。

ここでも生物多様性が環境を守っていることを教えられる。

子どもたちも真面目に授業に参加。

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「エイに気をつけてください」

という公園からのアナウンスを聞きながら、少しだけ海にも入る。

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約1時間、観察しながら帰ってきたところで、アサリの実験結果を見る。

米のとぎ汁を入れておいた水槽。

アサリが水をキレイにしていることが一目瞭然。

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これが干潟の力である。

 

年間にたった数日、しかも短い時間でのアオサ回収ではほとんど力にはならない。

でも実際に干潟に足を踏み入れ、現場で動いてみることで、たくさんのことを学ぶ。

これはこれで貴重な体験となって帰っていただければ、と思っている。

 

干潟そのものが人を癒してくれることも、きっと実感してもらえるだろうし。

 

この自然は残しておきたい。

「東京湾はけっこうきれいなんだね。もっときれいにしたいね」

そう思ったとき、漁民とのつながりも生まれる。

 

海は人の想像力を超えて懐深く、東京湾は今も'豊饒の海'である。

 

皆様、お疲れ様でした。

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