2007年7月10日

日本列島の血脈

 

大地を守る会の機関誌『だいちMAGAZINE』9月号の原稿締め切りの日。

すぐにでも書けるはずだったのに、なぜか、というかいつものように、

締切日にならないと書き始められない。

 

今回の依頼は、専門委員会持ち回りの「今月の数字」というコラム。

今年、私が「米プロジェクト21」で活動に取り込む決意をしたテーマの

基となるデータを「今月の数字」として提出した。

 

日本列島に張り巡らされた水路の "尋常ではないすごさ" について、である。

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田んぼを水田として機能させるには水が要る。

その水は川や沢から、あるいは地下水から引かれるが、

田にくまなく行き渡らせるには水路が要る。

水路は日本列島いたるところにある。

それらはすべて、人の手で作られてきたものだ。

 

○○疏水とか○○堰とか、名のついた水路もあちこちにある。

昔、その地に疏水を開いた人は、地元の英雄として称えられた。

 

水路はずっと人の手で守られてきた。

 

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この写真は、5月4日、福島県喜多方市山都町での堰の補修作業の様子。

毎年、村の全戸総出で、溜まった泥をさらい、壁を直し、草を刈る。

この水路の下に棚田が広がっている。

 

水を巧みに誘導して、たくさんの人工湿地がつくられ、それが生き物の多様性を育んだ。

水路は、人が'手入れ'をすることで生き物が豊富になる象徴だと思う。

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この棚田も水路で守られている。

 

それが今、あちこちで崩壊の危機が押し寄せてきている。

人がいなくなっているから。

それでも残っている年寄りたちは、山に出かけ、必死で守ろうとしている。

下流の人たちは、彼らによってただで得られてきたものを忘れている。

 

米プロジェクト21では、「種蒔人基金」を使って、

堰の補修作業のお手伝いを今年から始めた。

毎年ボランティアを派遣したいと考えているところである。

 



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