2007年9月17日

磯辺行久と男鹿和雄と-『明日の神話』

 

9月16日。

9月に入って初めて得た休日。しかも連休。

ずっと行きたいと思っていた場所に向かう。

江東区・深川にある東京都現代美術館。

 

会員の方にはしばらく前にチラシを配布させていただいた、

トトロの森を描いた人-ジブリの絵職人 『男鹿和雄』 の絵画展が開かれている。

 

e07091701.JPG

 

でもお目当てはこれだけではない。

同時開催されている 『磯辺行久展』 に加えて、

岡本太郎の幻の大作壁画-『明日の神話』 が観れる。

 

休日の男鹿和雄展は2時間待ち、という情報は入っていたが、

「今日しかない!」と決意して出かける。


地下鉄・清澄白河駅を出て、資料館通りから三ツ目通りへ。

人が多い。この流れは・・・どうやら目的地は同じようだ。

美術館に入る前に、行列が見える。 すでに「こら、あかん」の心境。

 

e07091702.JPG

ひと目見ただけで、へたる。

 

あっさりとあきらめて、長蛇の列を横目に「磯辺行久」展に。

こちらは落ち着いて観れる。

 

磯辺行久-美術家にして環境計画家、72歳。

青年時代の作品から最近作まで半世紀の作品が展示されている。

 

正直言って、前半期の前衛芸術は私の感性では理解不能。

「50年代の抽象と、日常的なイメージをコラージュする60年代のポップアートをつなぐ作家」

(チラシより)とか言われても、私にはその基礎知識もない。

 

ワッペンのようなものを並べたレリーフは、「意味分かんないよぉ」。

意味を考えること自体がすでに失格なのだろうが、とにかくお手上げ。

 

でも、初期の油彩や版画の数点と、昔の箪笥を使った作品は、何とな~く、気にいる。

この骨董品の引き出しを開けて、飛び出してくるものを、子供のように想像したりする。

200年くらいの時間の間隙が同居する感覚。

逆にここに潜ったら、僕は 「今にも」 江戸時代の子供たちと出会えるのかもしれない。

こんなふうに観ていいのかどうなのか、分からないけど。

 

磯辺は65年に渡米し、環境計画を学ぶ。

70年に製作された 『アース・デーのためのエア・ドーム』 が再現されている。

巨大なビニール・ドームの中に癒しの音楽が流れる、不思議な空間。

1970年、このさらに巨大版の中でコンサートや集会が開かれた。

 

e07091709.jpg

<チラシより>

 

『EVERYDAY IS EARTHDAY 』(毎日がアース・デー)のポスターもこの人の作品。

 

2000年には「越後妻有アート・トリエンナーレ」なる芸術イベントにて、

『川はどこへいった』 という作品に挑戦する。

 

ダムで直線化する前の蛇行していた川の流れを、全長3.5kmにわたって、

田んぼの中に黄色い旗を立てて示す。

 

3年後の同イベントでは、

数万年前の信濃川が今よりも25m(だったか)高い位置に流れていたことを示す作品

『天空に浮かぶ信濃の航跡』 を製作。

 

これらは地元住民との協同で行なわれた。

 

しかしとても美術館に収まるものではない(というより、本物は 「その場」 でしか観れない)

ので、展示されているのは当時の写真と映像とデッサンである。

これはどうしても現場でないと感じ取れない。

 

しかし、芸術家なる人たちの空間的かつ時間的想像力の広さは、やっぱり違うのだ。

その地の地形全体を舞台にして、見る人の想像力を何万年も前の 「ここ」 に運ぶ力。

 

いつかこんなスケールで 「環境」 を表現してみたいものだ、と夢見る。

芸術作品を見る目はないけど、こういう刺激が嬉しい。

 

さて次は-『明日の神話』。

去年の7月に初公開された時は、汐留(日テレプラザ)で並ばされたが、

今日は、こちらも人は思ったより少なめ。

 

e07091703.JPG

 

《すみません。今日はここまで。続く》

 


Comment:

大地さんでいただいたチラシを見てから私もずっと気になっていました。行きたいな、、、と思いつつ、「混雑しているらしいよ」との噂を信じ、行くことができませんでした。もうこの展覧会、終わっちゃうんですよね。

from "honeyhoney" at 2007年9月19日 12:12

honeyhoney さま

コメントありがとうございます。
男鹿和雄展は1日だけ‘特別に’開催を延長して、10月1日までです。でもこの日は都民の日ですので大混雑が予想されます。土日祝日は開館が8時まで延長されてます(通常6時)が、それでも150分待ちは要覚悟かと。平日の朝、開館(10時)前から並ぶ、というのができるのでしたら、その手をお勧めします。
美術館の様子は、こちらでどうぞ ⇒ http://www.mot-art-museum.jp/

from "エビ" at 2007年9月19日 16:56

行こうかどうしようか悩んでいたところ、このブログを見て、「やめよう。」と即座に判断いたしました。無駄足を踏まなくて本当によかったです。ありがとうございます。でも、ちょっと岡本太郎の作品はみたいかも!と思いました。

from "てん" at 2007年9月26日 22:56

てん様

コメント有り難うございます。
「即座に判断」あたりに気風(きっぷ)のよさが感じられますね。「良いものなら並んでも見たい」派と「こんなに並ぶなんて耐えられない」派がいますが、私もどうも後者です。深川めしもあっさりパスしましたし。
ちなみに、平日でも60~90分待ちのようです。
三鷹のジブリ美術館で常設してくれればいいんですけどね。あそこは予約制ですが、期日に迫られずに待てますし。大地のジュースなども入ってます。
岡本太郎の『明日の神話』は、来年の4月13日まで常設されています。お時間ありましたら、ぜひ。

from "エビ" at 2007年9月27日 11:27

コメントを投稿



大地を守る会のホームページへ
とくたろうさんブログへ