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2007年12月01日

西日本生産者会議

11月29日(木)から30日(金)、
西日本生産者ブロック会議を開催。

生産者会議もここ数年は、先日の「土づくり会議」(11/20の日記参照) のように、
テーマを設定して開催するのがほとんどだったが、
久しぶりに西日本の生産者の集まりをやろう、ということになった。
10年ぶりくらいだろうか、正確に思い出せない。
対象は近畿から九州である。

会場になったのは、高知県土佐町。四国のど真ん中。つうことは山ん中である。
吉野川の上流になる。
干ばつになるとよくテレビに登場する早明浦(さめうら)ダムのあるところ。

ここに 「土佐自然塾」 という、有機農業を教える学校がある。

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学校といっても、NPOで運営する農業研修のための、いわば私塾なのだが、
着目すべきは、高知県がタイアップして支援していることだ。
有機農業の技術を教え、希望者には地元行政が新規就農のお世話までする。

若者を受け入れ、有機農業の手ほどきをし、県内に定着させる。
安全な農産物の拡大、遊休農地の解消、環境保全との両立など
色んな効果を期待しての行政の支援なのだろうと推測する。
 (ちなみに上の写真の建物は、もとは「大工の学校」とかいうのをやっていて、
  使われなくなったものらしい。ここに県職員も常駐している。)

塾長は、山下一穂さん。
学習塾の先生を辞めて、9年前から農業者に転進したという経歴だ。
有機農業を実践し、なんと 『らくらく有機農業』 なんていう本まで出した。
有機・無農薬で長年苦労している生産者には、ちょっとムカつくような話だが、
橋本県知事をその気にさせ、行政を巻き込んだ手腕も含めて、
あなどれない御仁である。

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山下さんは生産団体 「高知県生産者連合」(高生連) の一員でもあり、
大地には 「高生連」 のメンバーとして、野菜が出荷されてくる。

この 「土佐自然塾」 の見学に、近畿・中国・四国から30名強の生産者が集まってくれた。

畑見学の様子。
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研修生は現在3名だが、すでに就農した卒業生が何人もいるとか。
農地を斡旋するだけでなく、地元とのお付き合いの仕方や販路の世話までしているらしい。


そして今回、生産者ではないが、山下さんの友人ということで、
飛び入りの参加者が一人。天野礼子さん。
長良川河口堰の反対運動で名を馳せたアウトドア・ライターだ。
『生きている長良川』 『21世紀の河川思想』 『森からの贈り物』 など著書も多い。

お会いするのは初めてだが、なんとも押しの強い女性である。
有機農業推進法や、農水省が発表した生物多様性戦略(※) を引き合いに出しながら、
「いいですか。ようやく皆さんの時代が来たんです」
とか言って、我々を叱咤してくれる。
この調子で、開高健(作家) とかを口説いたんだな、きっと。

面白い組み合わせの一枚が撮れた。
天野礼子と島岡幹夫のツーショット。

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天野礼子が長良川なら、
こちら島岡幹夫は窪川原発計画を阻止した男だ。
計画を止めただけでなく、原発推進派の農民たちも説得して、
有機農業による町づくりを提唱し、自らも無農薬での米づくりを実践した。
その生産者たちの農産物の販路を築くために結成されたのが 「高生連」 であり、
大地と 「高生連」 との付き合いも、たしか1988年、
島岡さんのお米 (高知提携米) からである。

伝説をつくった男に、新しいカリスマ・山下一穂。
暑苦しい土地に暑苦しい生産者が大勢いて、
高生連代表の松林直行さんは、この日体調不良で欠品となった。
身が持たんのかもしれない・・・

最後に記念撮影。

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私も二日酔いで、テキトーに撮ってしまう。


なんせ夕べの酒宴は、サバイバルゲームのようだった。
記憶の最後は、「もう3時だよ」と叫んだこと。
その時、島根・やさか共同農場の佐藤隆さんは、
たしか鰹のタタキが盛られていたお皿に顔を伏して潰れていたような気がするのだが、
あれは夢だったのだろうか。


別れ際に、大地の藤田会長からリクエストが。
「エビスダニ。山下さんとの写真を一枚を撮ってくれ」

会長が写真を求めてくるのは、実は珍しい。
はいはい、ではちょっと集中力を取り戻して-

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ファインダー越しに、思う。
藤田さんが写真を求めたのは、
山下さんが前会長の藤本敏夫さんによく似ているからだ。
 
 
 
なお、1日目は、高知大学農学部の荒川良先生を招いて、
「土着天敵の有効利用について」の勉強もちゃんとしたことを付記しておきたい。
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(※)生物多様性戦略については、8月7日の日記で触れているので、
   読み返していただけたら、嬉しいです。