2007年12月 4日

黒瀬さんからの便り

 

11月22日付-「よみがえれ!ブナの森」 を読んでいただいた、

大潟村の黒瀬正さん(ライスロッヂ大潟代表)から、嬉しい便りが届きました。

 

私宛てではなく、大地の会員皆さんへの御礼とメッセージの形になっているので、

ここでご紹介させていただきます。

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(黒瀬正さん)


     地元から一言

 

大地の皆さん、毎年ブナ運動へのご支援ありがとうございます。

 

私たちは、農薬の空中散布や、ダイオキシン含有の除草剤MOの全域禁止、

或いは合成洗剤の転換など、食の安全や環境問題に関する運動を

古くから積極的に行なってきました。

空散やMOの全域排除を、生産者からの提案で25年も前に行なったのは、

全国的にも初めてであり、画期的なことでした。

 

こうした中で、こともあろうに村行政主導でゴルフ場を建設する企画が、持ち上がりました。

                                   ≪エビ注-90年頃の話です≫

この企画は、賛否の住民が対立する大騒動になりましたが、

全国の消費者団体の皆さんの応援も頂いて、かろうじて撤回させました。

 

このように、食や環境に関する住民運動が盛んに展開されている農業の村・大潟村で、

このような企画が村当局から出たり、また、これに賛同する農家住民が数多くいたということは、

食の安全や環境についての認識が地域全体に浸透していないことだということに気づき、

それまでの運動を大いに反省しました。

 

そこで、水や農薬や環境についての関心を、

大人も子供も多くの地域住民が愉しみながら深める運動を展開する方策の一つとして、

ブナ植えを始めたものです。

 

私たちの田圃に水を運んでくれる馬場目川は、古老に聞くと

「昔は年中切れることなく豊かな水が流れていた。でもブナが伐採され

造林杉一面になってからは、夏場は水枯れが頻発し、

また一揆水で川が荒れるようになった」 と言います。

 

私たちは馬場目川源流部に 「緑のダム・ブナ林」 を再生しようと、

国有林の造林杉更新地の一部開放を営林署に頼みましたが、

当時は営林署の現場職員には、価値や意味はまったく理解されず大変苦労しました。

でも、たまたま、その時の若いキャリアーの秋田営林局長が理解を示し

賛同してくれたことで、この運動のスタートが切れました。

 

このブナ植栽は15年目になります。

夏に下刈りに山に行くと、最初に植えたブナは10メートルを超し、

野鳥も増え鶯などもさえずって、若木ながらも豊かなブナ林の風情も出ております。

 

文化の日に行なうブナ植えの集いは、毎年大勢の参加者で賑わい、愉しみながら、

水や農薬や合成洗剤など環境についての想いが地域の人々に拡がってきています。

また、今では営林署の現場の人々も積極的に参加してくださいます。

 

現地から、皆さんにお礼を言いたいことは、

大地の皆さんを始め全国の消費者の方々がこのブナ植栽運動にカンパや参加くださることが、

地元の人々の大きな心の支えや、関心を呼ぶ動機付けになり、

運動が拡大し継続する原動力になっていることです。

 

我が黒瀬農舎では、この日はロッヂを開放して前夜祭を行ない、

生産者と消費者の交流や意見交換など行なっています。

 

どうぞこれからもこのブナ運動へのご支援をお願いして、

エビちゃんに、大地の事務局の皆さんに、そして、

大地をはじめご支援くださっている消費者の方々へのお礼のご挨拶と致します。

 

                               ライスロッヂ大潟・黒瀬農舎 黒瀬正

 

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(黒瀬さんの田んぼには、遺伝子組み換え拒否の力強い看板が立っている。)

 

黒瀬さん。

どうも有り難うございました。

 

100年先の田園を見据える皆さんの活動には、頭が下がるばかりです。

でも我々も、ただ植林のお手伝いだけでなく、

多少でも現地での関心の広がりにお役に立てているのかと思うと、励まされます。

 

夏の下草刈りは、時期的になかなか都合がつかず、申し訳ないですが、

山と里・湖のつながりがさらに深まることを願っています。

 

だいぶ寒くなってきておりますので、どうぞご自愛ください。

2月の東京集会でお会いできるのを、楽しみにしています。 (エビ)

 



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