2008年1月13日

1秒の世界

 

世界は日々刻々と変化を遂げている。

その動きを1秒という時間に切り取って、様々な数字で表した1冊の本、

『1秒の世界』(山本良一責任編集、ダイヤモンド社)。

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人間の心臓が1回の脈を打つ、1秒間に、

 

  252トン(大型トラック63台分) の化石燃料が燃やされ、

  39万㎥(762トン、体育館32棟分) の二酸化炭素が排出されている。

 

  5100㎡(テニスコート20面分) の天然林が消失し、

  710万トンの酸素(140万人が一日に必要とする量) が減少している。

 

といった具合である。

この本を題材に、昨夜(1/12) 「1秒の世界Ⅲ」というTV番組が放送された。

帰りが遅かったので、ビデオで観る。

 

大地でもお付き合いのある 「未来バンク」 の田中優さんが

コメンテーターで出演している。

とても話の上手な方だ。


シリーズ3回目となった今回のテーマは 「命」。

 

温暖化で北極の冬の到来が遅くなり、

カナダ・ハドソン湾岸の街・チャーチルでは、ホッキョクグマが民家に出没するようになった。

ホッキョクグマは今、半数が2歳以上生きられない状態だと言う。

本によれば-

  グリーンランドの氷河が1620㎥溶け、

  地表の平均気温が0.00000000167℃上昇し、

  0.002種(7分に1種) の生物が絶滅している。

 

一日に200種以上の生物が消えているのだ。

これは 「雪崩を打って」 と表現しても誇張ではない数字だろう。

 

ゴミの一秒では、

対馬に流れ着く大量の漂流物(ゴミ)の山の処分に多額の税金が使われている。

 

エネルギーの1秒では、これからのエネルギー・水素の力を

でんじろう先生が実験で見せる。

 

続いて、戦争の1秒。

1台の戦車で自動車200台分、戦闘機1機で1万台分の二酸化炭素を出している。

 

そこでTVクルーは中米、ニカラグアとコスタリカに飛ぶ。

 

80年代から内戦が続いたニカラグアは重債務最貧国となったにもかかわらず、

国家予算の12%を軍事費に充て、貧しい人々はゴミの山で暮らしている。

 

かたや隣国コスタリカは、「街は整備され、活気に満ち溢れている」。

1949年に平和憲法を制定して、軍隊を放棄した国。

軍事費は医療費や教育費に回して、国力を立て直した。

たしか合言葉は、「兵士の数だけ教師を」 だ。

環境保護の国としても名高く、

地球上の5%の生物が生息していると言われる豊かな自然を活用して、

エコツーリズム発祥の国となった。

 

両国を分けたのは 「戦争」 である。

 

-とひと言で片づけられては、ニカラグアの人々が少々可哀想だとも思う。

左翼政権を潰そうとしたアメリカがゲリラを支援して泥沼の内戦が始まった歴史は、

いちおう頭に入れておいた方がいいように思う。

 

世界で浪費される軍事費は123兆円、1秒間に420万円。

本では320万となっている。

手元の本の発行日が2003年だから、それだけ増えたということか。

 

田中優さんが解説する。

123兆円を、地雷の撤去や安全な飲み水へのアクセスと下水の完備、

飢えた人への食糧援助、教育の整備に回しても、100兆円が余る計算になる。

 

戦争は最大の環境破壊、ということは伝わっただろうか。

 

他にも泣けてしまう家族愛の話もあったが、すべては紹介できない。

 

最後に、これだけは-

 

  5歳以下の子ども48人が汚染された水や食料で下痢になり、

  0.3人(4秒に一人) が飢えによって命を落としている。

 

かたや日本では、

2000㎥に相当する水が食糧に変わって世界中から運ばれてきている。

そして、600kgの食べものが捨てられている。

一秒間に......

 

これらの数字は、もはや私の想像力を超えてしまっている。

それでものん気に、希望を持っている自分がいるのだけど。

 

いずれにしても、土曜日の7~9時というゴールデンタイムに放送されるほど、

事態は切迫してきているということである。

 



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