2008年3月 7日

新聞の全面広告 -怒りがおさまらん・・・

 

夕べは、外を眺める余裕を失っていた自分に愕然となって、

独り手酌酒の挙句に、ヘンな境地にハマってしまった。 反省・・・

 

気分を変えて-

実は先週、東京集会後の溜まった新聞を見ていて、どうにも違和感を感じたものがある。

癪(しゃく) に障る、と言ってもいい。 しかも連続攻撃で見せられたから、たまらない。

 

ともに朝日新聞から。

まず2月27日付朝刊。 32面に全面広告が出ている。

 

刺身にたけのこ煮、納豆、しょうゆ、白菜の漬物、ご飯に味噌汁の写真。

キャッチコピーはこう。

「和の食材だから日本産、というのはほぼ思い込みです。」

 


まあ食材の出所に関心のある方なら、だいたい、あるいは薄々とでも知っていることではあると思う。 

はて、どこが出したのかと眺めれば、「農林水産省」 とある。

 

  いま、私たちが口にする食料の6割を海外から輸入していることをご存知でしょうか。

  私たちの食卓は、洋風化が進み、国内で賄えるごはんの消費は減り、

  輸入に依存する肉や油の消費が増えてきました。

  また、古くからある身近な食材まで輸入に頼ることも多くなってきました。

  ~(中略)~

  海外への依存度合いが高いほど、海外の需給動向の影響を強く受けます。

  海外に多く依存する私たちの食卓のリスクを少なくするために、日本にある食材を

  見直してみませんか。

 

こういった解説とともに、日本の食料自給率の推移がグラフで示されている。

昭和40 (1965) 年には73%あった自給率が、平成18 (2006) 年には39%となっている。

そして、「食べることで自立する、日本の食」 だと。

 

思うに、日本の自給率を下げた根本的な背景は、国策である。

労働力を農村から都市に移動させ、工業製品を売って稼ぐ。 

一方で、食は安い海外から持ってくる。

そうやって国民の消費力を向上させてきた。

食の洋風化もまた、かなり意識的に誘導された結果である。

 

胃袋 (生命線) を世界にさらしてきた結果、「食べることで、食の自立は失われてきた」 のである。

今や耕地まで荒れさせている。

農水省は何をしてきたのか。 自らを省みず、とはこのことではないか。

 

しかも、セコイことを言わせてもらえば (いやけっしてセコくはないと思うが)、

この広告代が何百万円 (制作費も含めればもう一桁上か) かかったのかは知らないが、

これは農水省が稼いだお金ではない。 我々の税金である。

 

世は中国産ギョウザの一件以来、一気に国産回帰の勢いだが、

値段も必然的に上がっている。

穀物や燃料や資材の高騰であらゆる食材が値上がりするなかで加速されたこの状況は、

台所には、かなりきついボディブローである。

 

健康や環境のために、

「まずもって、食べることこそ、大事にしよう」 と大地は訴えてきた。

「国産のものを食べよう」 とも言い続けてきた。

この30数年、僕らはどれだけ農水省に喧嘩を売ってきたことだろう。

あんたたちは買ってもくれず (ぐやじい!)、無視してきたんじゃないか、こういう主張を。

 

私は言いたい。

この広告を出す金があるなら、ずっと国産の食べものにお金を払い続けてきた消費者に、

キャッシュバックすべきだ。 あるいは、国産消費特別控除みたいなことをやれ。

国産野菜は消費税カット、はどうだ。

だって、「国産を支援する消費」 を訴えるためにこんなに税金を使ってるんだよねぇ。

消費者にヒイヒイ言わせて、自分たちは、そんな彼らから徴収した税金を食いながら、

平然と 「もっと高いものを食べましょうよ」 キャンペーンをしようとしている。

なら答えはこうならざるを得ない。

私たちは国産のものを食べる。 その分、税金を減らすか、農水の経費削減をお願いしたい。

これは感情的な怒りではない。 経済の理屈である。

 

・・・ああ、だめだ。

「やっぱり書いておこう」 が、書けば書くほど、また腹が立ってきた。

 

もう一つが、二日後の2月29日。

今度はJA全農、つまり農協の元締めが全面広告を出したのだ。

「安心して食べられる国産農産物を守るために。」 ~

ううう・・・モノ言いたいが、ひと言だけ。

こちらの経費は、農民から吸い上げたものだ。

 

どうも、どちらもギョウザを "追い風" と見たか。

これだけ中国に依存してきて、

一元 (中国の通貨単位) しか出さないくせに百元の管理を求めてきて、

中国バッシングでは一転して、ここぞとばかり国産キャンペーンか。

 

もう止めよう。 終われなくなる。

今日の結論。

高みからのキャンペーンよりも、腰を低くしてのお願いよりも、

いま必要なのは、消費 (者) を具体的に支援することだ。

目線を台所に置いてみれば分かることだ。

農林予算を、消費 (国民経済) 支援に回せ!

 

 

※ 昨日の日記は、書き出した時にはすでに日付が変わっていましたが、

   ワタシ的には昨夜なので、無理やり6日に変更しました。

   基本的には、書き出した日時で表示されてますので、写真の貼り付けが遅れたり、

   中断しているうちに1日、2日と経ってしまったりして、なかなか手際よくできません。

  ブログって難しいですね。 というよりむしろ、怖いです。

 


Comment:

ほんとほんと、私も怒りました。
はじめまして、ポカラと申します。
コメントしてもいいんですか?誰も入れていないようですが・・・。
私も20年以上前から大地を守る会の事は知っていましたが、大きくなったんですねぇ。
安心はしんどい。たいへんですが、頑張って下さいね。


ポカラさん

コメント有り難うございます。
20年前から・・ポカラさん? もしかしてP広場の・・・愛知県からでしょうか?
だとしたら、多少ポジションは違っても、この20年を一緒に走ってきた戦友のようなものですね。終わりのないレースですけど、これからもお元気でご活躍ください。

コメントもお気軽にどうぞ。投稿が少ないのはワタシのせいですが、書いている内容がそうさせるのか、非公開で質問などに直接お答えすることもあります。

from "エビ" at 2008年3月16日 14:28

はじめまして。
いつもブログを拝読し、勉強させていただいてます。
私もあの広告には首をかしげました。
いち消費者である自分でさえ、農林水産省に
これ、騙されているような気がする、と
思ったのです。
大地の方のように、長い間真剣に食べ物について
考え、より良い方へと実践してきた方たちからすれば、お怒りもごもっともです。
やけに綺麗なデザインで、そこがまた嘘くさくて
「この広告費ってどんなんだろう」と
夫と話した朝でした…。
怒りをエネルギー源に…(悲しいですが。)
これからもがんばってください。

from "bon" at 2008年3月26日 10:53

bon 様

有り難うございます。
同じ思いを抱かれた人が他にもいたことを確かめられるって、嬉しいことですね。なんか素直に安堵できます。
怒りをエネルギー源に、というのはたしかに悲しいことですが、独りじゃないと思えば、多少は冷静に、そして優しくもなれます。だからがんばれるのかと。
これからもよろしくお願いします。間違っていると思ったら、ビシッとご指摘ください。

from "エビ" at 2008年3月26日 23:48

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