2008年4月20日
有機農業者の悲鳴?
4月5日と8日の日記で紹介した "まっちゃん" こと松田博久君から、
日記を読んでくれてのコメントが届いたのでアップした (8日付へのコメント)。
苦しい胸のうちが語られている。
安全を担保するには、 "しんどい" は避けられないことか?
ただでさえ難しい有機農業に、しんどい作業がついて回ると、
これから有機農業に取り組む人が減りはしないかと心配になります。
まっちゃんの言う通りなんだよね。
実際に、有機の認証を取っている生産者の多くが悲鳴を上げている。
三日前の4月17日、
農水省による3回目の 「有機JAS規格の格付方法に関する検討会」 が開かれたが、
生産者サイドから選任された二人の委員が、1回目から共通して訴えているのは、
記録や文書管理のわずらわしさであって、栽培の大変さではない。
(ちなみに二人とも、奇しくも大地の生産者会員である。)
「もっと記録とか管理の仕組みを簡便化しないと、やる人は増えない」
(山形・庄内協同ファーム、志藤正一さん)
「実際に現場では、高齢の生産者などは脱落していっている。
このままではいったい誰のための、何のための有機認証制度なのかと思う」
(鹿児島・姶良町有機農法研究会、今村君雄さん)
しかし消費者サイドから出る意見は、検査の厳格さを求めるものだ。
そうでなければ制度への信頼性が薄れる、と。
国もまた、これが検査-認証の制度である以上、
農家が悲鳴を上げたからといって緩めるわけにはいかない。
しかも有機JASは国際基準との整合性を求められているのだ、との論理が立ちはだかる。
認証機関も同様である。
有機農業者は増えて欲しいが、生産者に甘い検査をしては自らの信用に関わる。
加えて、監査-認証には 「公正さ」 が求められるため、
監査の過程でのアドバイスや指導は許されない。
それでいて、認証機関の不適切業務が時折発覚したりするものだから、
彼らはますます襟を正して、厳格になろうとする。
生産者の憤懣は募る一方だ。
いったい誰のための......これでは 「制度のための制度」 ではないか......
検討委員を引き受けた以上、偉そうに制度を否定するだけではいけないことは分かっている。
ただ何とかして、みんなで手足を縛り合っているような、この閉塞感を突破したい、と思うのだ。
僕がこの委員会で仕事をしたと言えるかどうかは、
あと2ヵ月くらいの思考の整理にかかっている。
まっちゃんのお茶 (「松田さんのお茶」) でも飲んで、もう少し苦しんでみるか......
まっちゃん
コメント有り難う。記帳ソフトの提供という提案も有り難いですが、これは現行制度では国に要請するのは無理があります。むしろ「有機農業推進法」の活用になりますね。でもこちらにしても、助成は自治体の推進計画に盛り込まれないと実現はできません。次に書く予定の「推進事業」にしても、対象は地域となって、個人で頑張っている人にはなかなか支援の手は届きそうにありません。つらいところですね。でも昔に比べれば時代は変わってきています。もう少し頑張ってみようぜ。
実は、僕の地域のお茶の生産者(有機認証取得)も、6年前、10人いたのが、現在、僕を含めて3名に減ってしまいました。人それぞれ理由があるとは思いますが、記帳のたいへんさが、大きな理由のひとつであることは、間違いないと思います。僕も最初の頃は手書きで、かなり苦労していました。特に、記入漏れなどがあるとまるまる書き直したりして、やてられんと思ったことも、しばしばありました。そこで、一番手間のかかる「栽培記録簿」を、パソコンで入力できるソフトを導入しました。値段は結構、張りましたが、ずいぶんと記帳は楽になりました。そこで、提案ですが、国で有機認証取得者には、無料で記帳ソフトを提供したら、どうでしょうか。