2008年8月 1日

北海道の生産者会議も18年

 

北海道は富良野にて、今年で18回目となる生産者会議が開かれる。

富良野と言えば-

e08080101.JPG 

ラベンダーでしょうか。

これは大地を守る会の生産者とは関係ない観光農園の写真ですが。

 

しかし全道から、多忙な夏の一日を捨てて集まってきた生産者には 

そんな観光スポットの風景に目をくれる暇などない。

挨拶もそこそこに、畑へと向かう。

講師はこのところ連続的に出場をお願いしているこの方。

土壌診断による土づくりの大切さを説く西出隆一さんである。

e08080109.JPG

 


今回の幹事団体は、富良野市麓郷 (ろくごう) の 「今 (こん) グループ」 。

今利一さんを代表とする5名の生産者で構成されている。

 

メンバーの畑を巡回しながら、

事前に分析してあった土壌診断の結果を見て、土や作物の状態を観察しては、

例によって西出師の毒舌が炸裂する。

良い畑でも褒めることはめったになく、「まあまあや」 てなもんである。

 

國枝喜正さんの玉ねぎ畑。  まあまあ、だと。

e08080103.JPG

 

じゃが芋畑ではエキ病が発生していた。

じゃが芋生産者なら誰もに共通する難敵である。

e08080102.JPG

エキ病と聞くと思い出してしまうのが、ここ麓郷を舞台にしたドラマ 『北の国から』 の一場面。

有機農業を目指した青年・完次の畑にエキ病が発生して、

岩城晃一演じる草太に農薬を撒かれてしまった。

完次はその後、たしか破産して、どっかに行っちゃったんだよね。

 

でも、掘ってみると玉はまずまずだ。 これからの雨が心配だが、

西出さんはいろいろと処方の選択肢を伝える。 

 

しかし、問題はここからである。

西出さんの理論は、北海道の生産者にしてみれば、本州の理屈、となる。

狭い面積で、こまごまと分析したり資材を投入したりして、単位面積当たりの生産性を上げる、

そんな本州の野菜農家と違って、

北海道の農業は、何十町歩 (ha) もの田畑で経営を計算する。 つまり面積で獲る。

畑の状態を一枚々々診断しながら細かい肥料設計をするなんて、

とてもできない相談だという感覚である。

 

それはそうなんだと思う。

ただ、だからといって、単位面積当たりの生産力を無視して規模で獲ろうとして、

生産効率とか経営的にはどうなのか。 

2×20=40 と 4×10=40 は、数学上は同じだけれど、

作業コストは決定的に違ってくる。

土地の収益性とか生産力の維持 (あるいは向上、永続性) のための理論や理屈は、

参考にして損はないだろう。

 

まあここから先は、生産者の考えることではある。

ちゃんと学ぶべき視点は押えていただいて、これからの営農に生かしてもらいたい。

我々事務局は、参考情報の提供や技術交流など、

できるだけ有益な学びの場を提供し続けることで、

モノが良くなり、消費者の評価が高まり、結果として生産者の経営も向上する、

その手助けをどこまでできるか、である。

 

今グループ代表、今利一さん。 

e08080104.JPG

みんなに担がれて富良野市議までやらされて、それでも一所懸命務めている。

今日も議会の帰りからの合流となる。

陽気な性格ゆえに、みんな軽口でからかったりするけれど、僕はけっこう尊敬している。

今回も、砂礫ばかりの畑で 「ここでは、玉ねぎは無理、無茶」 とか言われた。

しかしおそらく、彼はこの畑に玉ねぎを植え続けるのではないか、と僕は推測している。

 

『北の国から資料館』 の隣に併設されている 「ふらの広場」 で開かれた

夜の懇親会では、生産者たちが順番に立つ。

壁には、ドラマのシーンの写真が飾られている。

 

地元、中富良野町の生産者グループ、「どらごんふらい」 のメンバー。

e08080105.JPG

左から、代表の間山幸雄さん、太田順夫さんところの研修生、布施芳秋・雅子さん夫妻、

研修生、そして元大地職員・徳弘英郎くん。

3番目の子どもも生まれ、家も新築して、立派な富良野の農民となった。

 

今グループの菅野義則・ひとえさん夫妻。

e08080106.JPG

ひとえさんは、『北の国から』 の脚本家、倉本聡さんが主宰する 『富良野塾』 の

元塾生である。 

ひとえさんが開設しているホームページ 『 かんのくんちのはたけ 』 。

よかったら覗いてみてください。 

「嫁のたわごと」 とか 「不平不満仕事日記」 とかが書き綴られています。

最近更新されてないのが気になるところだったけど、別れてはいなかったようで、

ひと安心。

 

二日目は、座学。 

e08080107.JPG

北海道で、広大な面積で勝負する生産者にとって、

畑の細かい診断とそれに応じた施肥設計というのは厳しいのだろうが、

問題は、土の状態を知ることと生産の結果はつながっている、ということだ。

実際に、春から試験に取り組んでくれた生産者もいる。

この会議は、数ヶ月前から始まっていたんだよね。

今年の勉強会の結果が、いつか花開くことを期待したいものだ。

 

解散後は、みんな大急ぎで帰る。 秋には今年一年の結果が出る。

頑張って欲しいし、天気も幸いしてもらいたい、と願わずにはいられない。

e08080110.JPG

 



大地を守る会のホームページへ
とくたろうさんブログへ