2008年8月 3日

棒の嶺トレから飯豊山へ-水に感謝する山登り

 

棒の嶺 (みね) トレ? -何それ。 

そうなんです。 その季節がやってきたんです。

 

埼玉の、奥武蔵と言われる地域の一角に、棒の嶺はある。

公式名は、棒ノ折山。 標高たかだか969m。

 

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東京湾に注ぐ、かつて暴れ川と呼ばれた荒川の支流・入間川を遡ってゆくと、

そこは名栗村 (現・飯能市)、有間ダムの建設によってつくられた名栗湖に辿りつく。

その湖に注ぐ白谷沢という一本の沢筋を登ると、棒の嶺がある。

 

この登山道。 実は私のトレーニング・コースとなっていて、

要するに、自分で秘かに名づけた自主トレってわけ。

また、その季節がやって来たのである。

 


この沢筋、侮るなかれ。 たかが半日 (5時間程) で往復できる山だけど、

途中、多少平坦な道はあるものの、

ほとんど一直線で登り、一気に下るような感覚で、甘く見ると痛い目にあう。

この道を、休憩は水補給と呼吸を整える程度にして、

できるだけ同じペースで登り、降りてくる。 結構きつい。

 

こんな沢を駆け上がってゆく。

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両側に岩壁が狭まったゴルジュ (細い谷) を登ってゆく。

 

途中、滝もある。

藤懸の滝、天狗の滝、白孔雀の滝、と続く。

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沢や滝を楽しみながら登るには、かなりおススメのコースである。

自分にとっては、これで足腰や体力の状態をはかるつもりなのだが、

結局かなり情けない自分を見つめ直すことになるのである。

 

頂上からの眺めも、まあまあ、である。

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天気がよければ、赤城から榛名山系まで見通せる。

山の天っ辺に立つと、あらゆるストレスが馬鹿ばかしくなるような気分になるのが、嬉しい。

 

そしてやっぱり、こういう沢筋道の捨てがたい魅力は、水の豊かさである。

眼下の街はすっかり日照り続きで熱帯夜のなかにあるというのに、

山の上では、涼しげに岩肌のあちこちから水が溢れ、集まり、流れ続ける。

この不思議感。 このみず道に導かれる歓び。

汗をボタボタと流しながら、水が枯れないことのシアワセをつくづくと感じるのだ。

 

-この星に水があることの奇跡、

と語ったのは、文化人類学者の竹村真一さんだが、

すべての生命の源でもあり、つねに生命は水の変様態であるという感覚を、

僕は山で学ぶ。 あるいは海で。

水はすべてを受け止め、地球の隅々まで伝播させてゆくがゆえに、

やっぱり水は汚してはならないのだ。

 

足腰や体力のトレーニングだけでなく、こんな感覚を新たにするための、

儀式としての、私の 「棒の嶺トレ」 。

これはまた、今年も来てしまった 「飯豊山」 行のための準備なのである。

 

大地を守る会オリジナル純米酒 「種蒔人」 が企画した 「種蒔人基金」 。

「種蒔人」 一本につき100円を積み立て、酒の元である米と水を守る活動に充てる。

いわば " 酒飲みが米と水を守る " 宣言である。

それでもって、飯豊山まで登る羽目になってしまった。

原因は自分の口だったんだけどね。

1995年だったか96年だったか、

毎年2月に行なわれる蔵元・大和川酒造店 (福島県喜多方市) での交流会で、

僕は酔っ払って叫んでしまったんだ。

「この酒を担いで、俺は飯豊山に登る! 頂上で、水への感謝の気持ちを捧げたい!」

 

というわけで今年、4回目の飯豊山行である。

日程は、8月29日(金)~31日(日)。

今回は、山小屋泊ではなくテント持参で、大日岳まで足を伸ばす計画が立てられている。

昨年、すっかり藪に埋もれていたのを修復した 「種蒔山」

三角点までの道の手入れもしなければ、と思っている。

酒をたんまり積んで山に登るというのはいかがなものか、という声もあろうが、

そこは大和川酒造の佐藤工場長はじめ、健脚かつ酒豪たちの飯豊山詣、

ということでご了承願いたい。

ベテラン登山家たちのお陰で、自分はいつも楽をさせてもらっているくらいなのだ。

 

そんな山登り。

もし希望者がおられましたら、ご一報ください (コメント非公開とします) 。

飯豊山で飲む 「種蒔人」 は格別! です。 求む、健脚。

 

そこで、これまでで一番気に入っている絵を。

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この星と水に感謝する登攀。

飯豊 (いいで) 山は、今でも修験者たちを受け入れてくれる山です。

 

 



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