2008年11月16日

全国 「たんぼの学校」フォーラム in ちば

千葉県は南房総の内房側の下の方、

館山の北に位置する富浦という町 (現・南房総市) に行ってきた。

そこに館山湾と富浦湾を分ける岬 -大房 (たいぶさ) 岬がある。

 

江戸時代末期、黒船の来航に備えて要塞が築かれ、

その後は陸軍が首都・東京を防御するための基地として占拠した。

終戦まで一般人は立ち入り禁止とされ、それがかえって自然を残す結果ともなったようで、

現在は自然公園になっている。

軍事施設の跡地もいろいろと残っていて、貴重な歴史遺産の地でもある。

 

その一角にある 「大房岬少年自然の家」 。

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ここで15日から一泊二日で

『全国 「たんぼの学校」 フォーラム in ちば』 なる催しが開かれた。 

 


主催は、社団法人 農村環境整備センター。

10年前に 「田んぼの学校」支援センターというのを設置して、

各地で実践される稲作体験や関連しての環境教育活動を支援している。

現在センターには100を超えるグループが登録されている。

そこで7年前より、グループ同士で交流し情報交換を行なうフォーラムが

開催されるようになった。

発案者の山口県からスタートして、茨城、宮城、広島、栃木、福岡と続いて、

今年は千葉県での開催となったものだ。

ついては、県内で活動しているグループのひとつとして、

大地を守る会の稲作体験の活動報告をしろ、とのお声が掛かったのである。

 

実は我が「稲作体験」を実施してきた母体である専門委員会 「米プロジェクト21」 も、

支援センター開設当初から登録はしてあったのだけれど、

地域をベースに学校や自治体と組んで活動するグループが主体という印象があって、

フォーラム等のイベントにはあまり積極的には参加していなかった。

どちらかというと有益な情報収集を期待しての登録だった。

 

俺たちが呼ばれていいのかな、という戸惑いも正直あったのだが、

こちらの活動も、田んぼの生き物調査や夜の自然観察会(蛍見会) など

年々深まってきてはいるし、今年は特に 「有機農業推進法」 のモデル地区となって、

体験田も生産者と消費者の交流モデル事業として、また有機稲作の実証ほ場として

指定を受けたりもしてきているので、少しは報告させてもらってもいいかな、

という気分で参加させていただいた次第である。

 

参加者は全国各地から40名ほど。

発表者は、千葉県内から4グループ。

そして青森から山口まで、10年以上の歴史を重ねてきた団体が8グループ。

地元で様々な環境活動を展開するNPOあり、あるいは大学や小学校あり、

山村の集落全体で取り組んでいる活動あり、なかなか多彩な顔ぶれだった。

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県の機関と学校・NPOが連携して農業体験学習やホタル保全活動に取り組む事例、

地域の自然と文化を守る活動から都市住民に体験学習をプログラムしている事例、

元小学校の校長先生が始めた「農業小学校」、

大学の先生と学生が中心になって地域の学校や住民と交流を深めている事例、などなど。

県全域を対象にメダカ保全活動に取り組んでいたら、今ではドジョウがメインになってきた、

なんて楽しい報告もあった。

子供たちがたくさんの 「いのち」 に触れ、何かを学びとる。

そんな貴重なフィールドとして田んぼを愛し、活かそうとする人たちのネットワークが、

こんなふうに広がり、つくられてきている。

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「地域の人や子供らが楽しんだり喜んでくれるのが嬉しい」 と語る人たち。

みんなボランティアである。 

初めての参加で、「メジャーな団体」 なんて紹介されて、とても恥ずかしかった。

 

朝、公園内を散歩する。

展望台から浦賀水道を眺望。

霞んで水平線に見えるあたりに三浦半島がある。

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首都防衛という重大な任務を背負わされた歴史の残影を静かに残す岬。

この展望台に、その昔、でっかい大砲が鎮座していたのだ。

 

こんな地下壕も残っている。

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奥に進むと、天井がなく、ぽっかりと空が見える空間にぶつかる。

エレベーターまで装備された地下要塞だったことが窺える。

コンクリも当時の最高品質のものだと解説があった。

岬内には発電所まであったそうで、海岸には魚雷艇の発射場も残っている。

一見自然のままに見える岬が、

ひと皮剥けば国家の最高機密に属する砦だったわけだ。

想像力が刺激される。

 

今は健全な青少年が利用する自然公園。 バナナ発見。

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全国の 「田んぼの学校」 指導者たちと、互いの経験を語り合い、情報交換し、

刺激を与え合った二日間。。。

「大地を守る会の稲作体験」 は来年、20周年を迎える。

最近 「しんどい」 をキャッチフレーズとする誰かさんは、

今回同行してイメージをさらに膨らませてしまった若いスタッフから、

だいぶ煽られることになるような、そんな予感に早くも震えたのだった。 

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