2009年3月 9日

21階のビオトープ

 

3月2日(月)。 東京集会が終わって、幕張本社で荷物の整理を行なう。

厄介なものを持ち帰ってしまった。

メダカである。 

 

専門委員会 「米プロジェクト21」 (略称:米プロ) のブースで展示した

" 家庭でできる水田ビオトープ "  のジオラマ。

作ってくれた米プロ・メンバーの生き物博士、陶武利さんの、

「幕張 (大地本社) で飼ってみますか? 癒しになりますよ」

の言葉に乗せられて、水と一緒に袋に入れたまま梱包してしまったのだった。

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祭りのあとのけだるさに浸っている場合ではない。

荷物の中から、生き物が出てきたのだから。

 

急いで水槽を作り直して、メダカを放す。 元気に泳いでくれて、胸をなでおろす。

大地の浄水器の力にも助けられた。

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この、 『ジオラマ・ビオトープ』 と名づけた水槽の世界は、その名の通り、

ひとつの生態系としてつくられている。


ただメダカを飼うのではない。

砂利をネットでくるんで岩場をこしらえ、それを足場として植物を生やす。

ここで採用したのは、セリにエンツァイ。 つまりヒトの食用になるもの。

セリは田んぼの畦に生えている春の七草。

エンツァイ (空心菜) は生育旺盛な野菜で、水中に伸びた根はメダカの産卵場になり、

水上を覆えば水温上昇の防止効果を発揮してくれる。

伸びた分は収穫して食べる。 夏場の鉄分補給に最適の野菜である。

収穫することで水の浄化にもつながる。

メダカの学名 Oryzias latipes は、イネの学名 Oryza と重なる。  

田んぼと一緒に生きてきたのだ。

ボウフラやミジンコ、イトミミズを餌とする。 糞は肥料になる。

まさに水田生態系の申し子である。

それが今は絶滅が危惧される命となってしまった。

このことが何を意味するか、ヒトは考えなければならない。

 

水槽をしつらえたあと、ここからが無精者の真骨頂である。

ずっと水を替えなくてもいいように、さらに生態系の完成度を上げてみた。

まず、群馬からタニシを取り寄せた。

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手に入ったのはヒメタニシという小ぶりのタニシ。

餌の残渣やメダカの糞を処理してくれる、はず。

続いて、熱帯魚屋を探して、水生植物を2種買い求める。

入れてみたのはマツモ(上の写真) と、とちかがみ (フロッグ・ビット、下の写真の浮草) 。

これらが、生物が放出する二酸化炭素を吸収して酸素を供給してくれる、はず。

 

これで水は濁らず、足すだけで持続可能となる、はず。

エアレーション (電気) にも頼らず、生命の循環が助け合って。

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5月の田植えまで生き延びてくれれば、ここに稲を植える。

生き物の循環の中で、米と野菜が手に入る、田んぼの生態系 (ビオトープ) の完成、

となるはず。

 

どうも毎日気になって仕方がなくなる。 

心なしか、餌をやりにくると、メダカが水面に顔を出すようになったような・・・・

しかし、ヒトの手で餌をやり過ぎてはいけない。 濁りの原因となる。

これは生態系の、鉄則なのだ。

 

すっかり陶くんにやれらたか。 

 


Comment:

ふふふ。
久しぶりに覗いてみると。
いい感じですね。
でも、マツモ、ものすごく増えますよ。
適当に伸びたらカットして処分してあげてくださいね。メダカが泳げる程度には。
メダカが増えるとさらに楽しいですね〜。

from "てん" at 2009年3月23日 23:48

てん 様

いつもコメント有り難うございます。実はメダカの前にタニシの繁殖が始まりました。そろそろエンツァイもクレソンもタニシも、間引き=「食べる」という段階にいかなければならないかも・・・
明日にでも最新の写真をアップしますので、ご笑覧下さい。

from "戎谷徹也" at 2009年3月24日 18:53

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