2009年6月22日
100万人のキャンドルナイト in 増上寺
電気を消してスローな夜を-
6月21日、夏至。
地球から見ると太陽が最も北になって、北半球の昼が一番長くなる一日。
この日を中心に、今や全国津々浦々で色んな形で催されるようになった
「100万人のキャンドルナイト」 。
環境省や農水省もバックアップして、たった数年の間に、
100万人どころではない巨大イベントに膨れ上がった。
大地を守る会は今年も、東京タワーの消灯カウントダウンを演出するイベント、
「東京八百夜灯2009」 を担当する。
今年の会場は、4年ぶりに帰って参りました、徳川家の菩提寺-港区芝 「増上寺」 。
4年間開催できなかったのは、1回目のときに故忌野清志郎さんが
「ボーズ」 のカツラを被って登場したのがお寺の逆鱗に触れたからとか、
キャンドルのロウがいっぱい境内に残されて出入り禁止になったからだ、
とかの噂があるが、そんなことはなく (まったくない訳ではないが)、
たんにお寺の事情によるものである。
- ということがこれで立証できたか。
あいにくの雨にも拘らず、集まってくる人々。
境内でブース出展していただいた方々。
大地を守る会は、フードマイレージのPR。
まだ明るい午後5時30分、開会。
オープニングは、恒例となった明星学園の和太鼓演奏から。
スタッフの控え室にも勇壮な太鼓の響きが伝わってきて、
自然と気持ちも高揚して飛び出してきた。
大地を守る会国際局の顧問、小松光一さんと出くわす。
フィンランドだったかのご友人を連れて、ワインで夏至の夜を楽しもうという寸法だ。
いいですね。
だんだんと日も暮れてきて、
ライトアップされた東京タワーと厳粛なお寺のコントラストが映えてくる。
楽しく会話を弾ませていた人々も不思議と沈思するようになり、
あるいはファンタジックな幻想に誘われたりする。
我々スタッフは、会場全体の警備やら進行補助やらゲストの方々のお世話やらで、
実は舞台を眺めることはほとんどない。
Yae さんの透き通った歌声が控え室まで届くのに、しばし聞き入る程度か。
元総合格闘家の須藤元気さんがギターの弾き語りを披露し、
木原健太郎さんのピアノと宮崎隆睦さんのサックスのセッションがあり、
中嶋朋子さんが詩を朗読し、会場全体が優しさに包まれてくる。
オイラはと言えば、ひたすら控え室にて全体の進行につつがないことを確認する。
何かあったら何でもする、いわば非常時の予備要員のようなものだ。
途中からは、酒が入ってしまった某事務局長を
「この部屋から一歩も出すな」 という会長の特命を受けて、仲間の見張り役も引き受ける。
俺たちにスローな夜は許されないのだった。
断続的に降り続ける小雨の中、ずっと立ってライトダウンを待つ人々。。
5、4、3、2・・・・・午後8時ジャスト。 消灯。
全体にどよめきが起こり、少し感動する。
そう、素直に感動するものなのだ。
たった2時間、電気を消したからといってなんだっつうのよ、
という声もあることは知っている。
しかし、たった2時間といえども、全国いたるところで、
いろんな建物が同時刻に一斉にライトダウンする、という仕掛けが " 実現 " したことに、
何かを感じた人たちが大勢いたことはたしかである。
環境省が後押ししたことももちろんあるけれど、
それをアリバイ的と揶揄する向きもあるけれど、
辻信一さん (明治学院大学教授) はじめたくさんの著名人が賛同し、
かなりのマンパワーが動いたからこそ、東京タワーも消えた、いや、消したのだ。
これは紛れもなく力だろう。
行動することで何かを変えることはできる、それを " 実感 " する、
という実験 (イベント) は成功した、と思いたい。
木原健太郎さんのピアノが静かに語る。
ロウソクの灯には、愛がある?
去年のイベントの記憶がないのは、どうしてだろう・・・
そうだった、山形の斉藤健一さんの葬儀に出かけたのだ。
東京まで帰ってきて、人が恋しくなって、イベントも終わる頃だというのに、
芝公園に向かったのだった。 香典返しの包みを持ったまま・・・
「キャンドルの灯りの中で、熊谷和徳さんのタップダンスを見ながら
中嶋朋子さんの絵本の朗読を聞くのが、こんなにも幻想的なものとは
思いもよりませんでした」 という感想があった。
たった2時間でも、電気を消して、スローな夜を、愛する人と。
これはいつ実験しても、毎日実践されてもいいことです。