2009年8月18日
未来の食卓
2回にわたって久しぶりに言いたい放題書いてしまったけど、
ぼくのカリカリした言葉よりも、もっと説得力のある映画が
タイミングよく上映されているので、紹介したい。
ジャン=ポール・ジョー監督 『未来の食卓』 。
村内のすべての学校給食と、高齢者の宅配給食をオーガニックに切り替えた
フランスの小さな村の話。
1年にわたって村の変化を追った作品である。
舞台は南フランス、ラングドック地方。
ワインの産地でもあるガール県バルジャック村。
牧歌的な風景に教育番組的なストーリーが展開されるのかしら、
などと予断をもって劇場に足を運んだのだが、
ところがどうして、かなり刺激的な映画ではないか。
フランスで公開されたのは昨年11月。
当初20館で上映されたのが、56館まで広がり、
ドキュメンタリーとしては異例のヒット作になった。
学校給食をオーガニック (+地元の野菜) に切り替えたのは、
ショーレ村長はじめ10数人の村議会議員たちの決断だった。
当然、村内は賛成・反対入り乱れた議論が起こる。
特に一般栽培農家には面白くない事件に映ったことだろう。
しかし子どもたちの評判はいい。 もちろん 「嫌い」 という男の子もいるけれど。
村長が自信をもって村民に語りかけている。
「オーガニックに費用がかかる?
しかし代わりに払わされているものがあるんじゃないか。
大事なのは人の健康である。 相談相手は、自分の良心だ。」
オーガニック農家と一般栽培農家を同じテーブルに招き、話し合いをさせる。
病気対策、害虫対策・・・・・オーガニック農家は代案を示してゆく。
「大事なのは土だ」 と。
対立ではなく、選択肢を示し、対話で進める。
農家の奥さんの証言が生々しい。
「農薬散布は夫の仕事だけど、撒いたあとに鼻血が出るし、排尿ができないの。」
農村でガンが多発するのを眺め、自身の体の不調が農薬によるものだとも感じながら、
生活のために 「やるしかない」 と思っている農民たち。
子どもがガンに侵され、悔いている母親。
・・・隣で観ていた女性の席から、微かに鼻をすするのが聞こえてしまった。
調理員たちの労働時間は増えた。 しかし、これからも続けたい、と語る。
「もう加工食品の缶詰は開けたくない。 後戻りはしたくないんだ。」
村長は、そんな彼らを教育者だと称えている。
ここでの給食の風景は、誰もがいいなぁと思うだろう。
そして映画の冒頭に出てくるのが、前回紹介したユニセフ会議のシーンである。
記者からの質問に対するガン研究者の答えがすごい。
「 (化学物質が病気の原因である) 証拠はあるかって?
証拠は科学誌を読めばいい。 今は一刻も早く対策が必要な時なのだ。」
「小児ガンが確実に増えている。
親よりも弱い子どもたちが増えている。 これは人類史の危機である。」
フランスは殺虫剤の使用量が世界一だという紹介がされていた。
しかし単位面積当たりの農薬の総使用量は日本の方が多いはずだ。
けっしてよその国の話ではない。
映画が上映された後、バルジャック村には全国から共感の声が寄せられ、
視察が殺到しているそうだ。
村役場では映画の反響に対応する担当者を置かなければならなくなったとか。
村の人々に先駆者としての誇りが生まれ、
オーガニックに転換する農家も現れてきている。
変えることは可能なのだと、この映画は教えてくれている。
「オーガニックは、環境のすべてだ」 -なんてカッコいいセリフだろう。
ちなみに映画の原題は 『 NOS ENFANTS NOUS ACCUSERONT 』
" 子供たちは私たちを告発するでしょう "
そうならないためには、
私たちは 「未来の食卓」 を今から作り直さなければならないってことだ。
映画 『未来の食卓』 は現在、シネスイッチ銀座、渋谷アップリンクで上映中。
詳細は、下記ホームページで確認できます。
http://www.uplink.co.jp/shokutaku/
映画のチラシを持参された方には、割引もあります。
地方の方は、ぜひ地元での上映の声を!
エビちゃん
大変良い話を聞きました。
まさにその通りだと思います。
変える努力こそが大切だと。
言い続けること、対立ではなく対話。
久しぶりに心がすっきりしました。
是非地方でも上映してほしいです。
でも採算が合わないって事で無理かな〜。
今日から宇宙が島根にお邪魔してます。
お引き回しの程よろしく御願いいたします。