2009年11月 6日

マゴメさん見学 -職員研修

 

普段あたり前に食べているお米も、流通の裏側というか

縁の下の世界を実際に見る機会はそうないよね。

それは大地を守る会の職員も同様で、

米の生産現場を回ったり、しょっちゅう生産者とコミュニケーションをとっている

仕入の担当者にとっては常識に思えるようなことも、

たった数メートル離れたところで他の業務に追われている者にとっては、

新鮮な驚きだったりする。

「そういうことは早く言ってよ!」 と叱られて担当者は驚く、ということは、

米に限らず、どんな仕事でもよくあることだ。

大事なのは  " お互いさま "  " おかげさま "  の精神なのだが、

それも情報や知識の交流があって成り立つものだと思う。 つくづくと......

 

農産チームの米の担当者、海老原康弘が、社員とくに営業サイドの若手職員向けに、

米の仕入から精米-袋詰めまでお願いしている (株)マゴメさんの見学会を企画した。

マゴメさんとは、当会が特定の産地の米を会員に届ける仕組みを作った時からの

お付き合いだ。 もう30年以上になる。

いまやマゴメさんは、有機・特別栽培の専用精米設備を持つ、立派な有機認定精米業者である。

有機や無農薬のコメの扱い量は、おそらく全国でも断トツだと思う。

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海老原くんが用意した資料の中に、雑誌に掲載されたマゴメさんの記事があって、

「長期低迷にあえぐ米の消費の中で、有機栽培米や特別栽培米に特化して、

 成長を続ける」 なんて紹介されている。

こんなくだりがあった。

 

  業態が卸売へシフトしていく過程をたどると、大きく三つの波がある。

  最初の転換期は七〇年代にさかのぼる。 

  当時、高度経済成長の陰で環境汚染が深刻化し、全国各地で公害問題が噴出していた。

  有吉佐和子の 『複合汚染』 がベストセラーになったのもこのころだ。

  そんな状況下で有機農業が黎明期を迎える。 マゴメもこれに共鳴。

  有機農産物の普及促進を目指す組織の草分け 「大地を守る会」 に協力し、

  無農薬米を積極的に扱うようになる。 (『産業新潮』 2009年4月号)

 

そう、米の開拓では一心同体だったといってもいい。 お世話になった、本当に。

説明を聞く職員。 

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勉強してね、頼むよ。 

 

説明しているのが社長の馬込和明さん。

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馬込さんの後ろに見える機械が、食味判定器。 食味計とも言う。

この手の機械メーカーはおそらく10社くらいだったと思うが、

マゴメで導入したのはケット社製で、「一番厳しい数字が出る」 とのこと。

 

全国の契約農家を回り、信頼関係を築いてきたマゴメさん。

品質チェックも厳しく、生産者にフィードバックすることも忘れない。 

米価も下がって販売も厳しい中、それでも

納得できればできるだけ高く引いてあげたいと苦心する。

生産者にとっては、こんなありがたい米屋さんはそうないだろう。

 

秋田・大潟村から、相馬喜久雄さんが仲間を連れてやってきた。

ちょうど相馬さんの米が入っていて、ポーズを取ってもらう。

「オイラの米だよお。 有機米だぁ。 文句あっか~」 

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え? そんなこと言ってない、って? 顔に書いてあるよ。

息子さんも継いで、今年からは仲間も増えて

 「大潟村げんきグループ」 というグループを結成した。 常に前向きの方である。

 

本社・精米工場から歩くこと約10分。

線路を渡って、西八王子駅南口にあるお店、「お米パン工房マゴメ」 に向かう。 

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白米、黒米の食パン、フランスパン、あんパン、クロワッサン...... カステラまである。

すべて米粉製品。

 

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米の消費拡大の一環として、と世間では位置づけられるが、それだけではない。

有機米の精米にあたっては、他の米が混ざってはいけないので、

直前に精米ラインを通った米の残りが入らないよう、米を通した後、

最初に精米されて出てくる5kg分くらいの米は除外するようにしている。

前に通った米も他産地の有機米であったり、

無農薬米や減農薬米 (世間的には特別栽培米) であったりなのだが、

それは米としては販売しない。

そういう米も大事に使いたいという意図もあっての米粉加工だったのである。

 

見学終了後、げんきグループの生産者も交えて、懇親会を開く。 

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海老原が産地をまわる度に撮りためてきた映像を編集したDVDを見ながら、

米粉パンを試食しながら米の汁 (世間では清酒と呼ばれる) を飲む。

 

パン工房の職人、中村博信さん、28歳。

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千葉の農家の出で、舞浜・ディズニーランドにあるシェラトンホテルでパンを焼いていたが、

実家の米でパンを焼きたいと、マゴメさんのパン工房にやってきた。

ウ~ン、よくできた子だ。

いろんなパンの試作に日々挑戦している。

「小麦のパンは、それだけでも食べられるって感じがしますが、

 米のパンは料理と一緒に食べるといいです。 料理に合うんですよ。」

それって、まるでご飯じゃない。

朝はパンというご近所の方々、ぜひ朝食も米でお願いします。

 

遅れて登場したのは、北海道・中富良野の 「どらごんふらい」 のメンバー、

太田順夫(のぶお) だ。

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この人の今回の主たる目的は、工場視察でも大地職員との交流でもなく、

翌日の立川駅伝、である。

大地を守る会職員たちで3チームをエントリーしていたのだが、

「俺が走りってやつの見本を見せてやるよ」 と北海道から助っ人としてやってきた。

(ま、本当は仕事で来られたのだろうが、ここではそういうことにさせていただく)

 

なんとシャツには 「長距離魂」!なる文字が彫られ、いやプリントされている。

背中も見てくれ。

「マラソン走るってねぇ、エビちゃん。 舐めちゃいかんよ。 心構えが必要なんだよ!」

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長距離種目覚書

 一.滑らかでロスの少ない走りが必要と認識すべし。

 二.肩の力を抜き自然に腕を振るべし。

 三.背筋をのばしリズミカルに走るべし。

 四.スパート時のスプリント能力が必要と認識すべし。

 五.強い気持ちを持って、最後まで粘り強く走るべし。

 

太田さんは知る人ぞ知る、ダンスの大会で賞を取る人なのである。

普段から鍛えている。 ぜい肉もなく、足はカモシカのようだった、とは

この日飲み過ぎてマゴメさん宅に一緒に泊まった我が長谷川取締役の報告である。

 

実をいうと、相馬さんたちも駅伝を走りにやってきたのだ。

明日には同じ大潟村から、黒瀬友喜選手 (「ライスロッヂ大潟」代表・黒瀬正さんの息子)

も合流することになっている。

僕は、「仕事で出られないから」 を理由に、遠慮せず飲ませていただいたく。

頑張ってね~ 飲み過ぎちゃだめよ~ とか励ましながら。

ちなみに、馬込和明社長もフルマラソン・ランナーである。 あなどれないなあ、みんな。

 

マゴメさんの有機・特別栽培の精米工場は甲州街道(国道20号線) 沿いにある。

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この街道には約770本のいちょうが植えられていて、

今月21日(土)、22日(日) の二日間、八王子いちょう祭り が開催されます。

今年で30回目を迎え、様々な記念イベントも用意されているとか。

よろしかったら八王子まで、黄葉のイチョウを愛でる、はいかがでしょうか。

米のフランスパンを買って-

 

イチョウは手品師~ 老いたピエロ~  ♪  

フランク永井だったっけ。 古いね。

 


Comment:

いやぁ〜。
さすが大地の生産者!すごいなあ。

で、米の汁って。
せめてエキスとか。
何かと思ったよ。

とにかく、大地のお米もお酒もおいしいよ!
いつもありがとうございます。

from "てん" at 2009年11月14日 00:18

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