2010年1月30日

春に向けて

 

1月28日(木)、群馬での産地合同新年会をパスして、

新規就農支援ガイドブックの編集会議に出る。

徳弘くんの原稿は、編集担当者によって、やっぱりバッサリと切られている。

ウ~ン、後輩たちに伝えたいことをいっぱいリキ入れて書いてくれたのにね・・・

極めて限られたスペースとはいえ、これでベストと言えるか、

もうちょい精査しないと、彼に申し訳ない気がする。

僕の有機JASの説明文も、どこかピタッとこない感が残っている。

次の会議までに、数文字に託す言葉を探さなければ。

でもまあ、だいぶ形にはなってきた。 春には間に合いそうだ。

 

1月29日(金)、浜松町にて有機JASの認証機関による研修会に参加する。

主催は、アファス認証センター (以下、アファスと略)。

「リフレッシュ研修」 と銘打たれ、毎年この時期に開催されている。

有機JAS規格の改めての確認から、この間の資材の判定に関する変更点、

農業に係わる新たな法制度について、JAS違犯の事例、有機農業に関する動きなど、

冬の間に頭に入れておくべき事柄が網羅的に解説される。

 

アファスとは、有機JASの認証制度がスタートする前から、

新しい監査・認証システムに取り組んできた経緯がある。

大地を守る会の初代会長であり、アファス創設者でもある故藤本敏夫さんが提起した、

安全・品質・環境の側面から自身の営農全体を監査し進化させていく

「システム認証」 という体系。

ISOの考え方をベースに、安全性や品質の向上から環境対策までを自己チェックし

改善していくというトータルな仕組みである。

これによって、有機の規格に適合しているかどうかは、

取り組みの中の一つの結果となり、同時に各種のISO規格にも対応できる。

生産者にとってはかなり面倒な手法だが、

たくさんの生産グループが意欲的に取り組んでくれた。

 


しかし残念ながら、持続させるのはなかなかに困難だった。

その手間・労力の大変さもあったが、藤本さんが亡くなられてから、

アファスもシステム認証を推進するパワーが落ちていったことも否めない事実だろう。

システム認証を推奨した大地を守る会としても、

生産者のモチベーションを維持させるのに苦慮したが、「どうにもしんどい」 の悲鳴

は受け止めざるを得なくなっていった。

もう少し緩やかに、しかし生産者の取り組みをトータルに評価する仕組みを求めて、

いま大地を守る会は 「独自の監査・認証体系」 づくりに取り組んできている。

 

藤本さんの思想は、時代には早すぎたのかもしれない。

しかし、だからこそ、しつこく彼の思想は受け継いでゆかなければならないし、

認証機関がどうあれ、大地を守る会にはその使命があると、僕は思っている。

 

さて研修には、僕は午後から出たのだが、

席についたとたん、講義中の渡邊社長が皆の前で皮肉を言う。

「いまやっと大地のエビスダニさんが到着しましたね。

今日は午前中から、肥料取締法と米のトレーサビリティという大事な講義をしたのに、

彼は損をしましたねぇ。」

カチンときて、すかさず反論する。

「大丈夫です。 ウチの優秀なスタッフが朝イチからちゃんと聞いてますから。」

どうも渡邊社長とは、お互いひとこと言い合わないと気がすまない関係に

なってしまったみたいだ。 年齢から言えば、僕が生意気だということになるけど。

 

それにしても渡邊さんの講義は、どうも話が飛んだりして、分かりづらいところがある。

業界通ということもあって、いろんな裏話やトピックは面白い部分もあるが、

ついに資料説明は時間内に終わらず、質疑もなしでエンドとなった。

せっかく全国各地から生産者が集まったのだから、

今年行なわれるJAS規格の見直しの方向とか、有機農業推進法に関する動きとか、

もっと意見交換の時間が欲しかった。

ワタシはそれを期待して出かけたのです、渡邊さん。

 

ま、そんなワケで、研修会終了後の懇親会は、

みんなで渡邊社長への、心優しい逆襲の場となる。

「とにかく、来年はもっと分かりやすく、ポイントを簡潔に。 意見交換の時間も設けてほしい。」

よろしくお願いします。

 

同席した、福島・やまろく米出荷協議会の佐藤正夫社長(左) と、生産者の岩井清さん(中央)、

そして米の流通でお世話になっているマゴメ社長・馬込和明さん(右)。

並んだところで一枚頂戴しました。

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やまろくさんもシステム認証に挑んでくれた団体のひとつ。

さすがに生産者に難しい記帳を続けさせるのは辛かったようだが、

この経験はゼッタイに生きると思っている。 いや、生かしてあげなければならない。

 

岩井さんの顔が晴れやかである。

「いやあ、エビさんねぇ。 去年は有機の田んぼで米が獲れたんだよ。

  嬉しかったねぇ。 見学者も増えてきちゃって・・・」

来年こそはもう一俵、もう一俵はとりたい、と頑張ってきた岩井さん。

苦心してきた甲斐があったと。 こういう話をもっとしたかったよね、みんなと。

岩井さん、体に気をつけて、今年も頑張ってください。

 

1月30日(土)、昨日が締め切りとなっていた宿題をやっつける。

大地を守る会の機関紙 「NEWSだいちをまもる」 3月号で、

今年の稲作体験の募集を始めるにあたって、稲作体験の20年を振り返れという指令。

急いた気持で書いたところ、どうにも800字で収まらず、

1,000字をちょっと超えてしまうが、そのまま編集担当に投げる。

あとはヨロシク、ってなもんで。

 

思えば20年、作業だけを見れば単調な繰り返しの稲作体験だったが、

築いてきた力は、それなりに自慢できるモノにはなったような気がしている。

しかもこの歴史は、はからずも有機農業の発展や広がりを表現しているじゃないか、

とも思いいたるのだった。

 

今年も長丁場のボランティアに手を挙げてくれた若手職員たちがいてくれて、

21回目の米づくりが始められる。

原稿には書かなかったけど、これも自慢したい稲作体験の伝統である。

 

大寒のあいだにも、春に向けての準備は進むのだった。

 


Comment:

エビちゃん
お元気そうで何よりです。

先日は東京も雪が降ったとか・・・。

風邪を引かずに元気で毎日を過ごされてる様子を
ブログを拝読して安心しております。

アファスリフレッシュ研修お疲れ様でした。
今回は私はさぼってしまいました。
でも渡邊社長は相変わらずですね〜〜〜
私もさんざん経験いたしました。
ここが渡邊さんの良いところでもあるんですよね
渡邊さんもエビちゃんも私は心から愛する人です。

そして有機農業
有機認証
有機農産物流通
全てに愛がなければやってられないですよね

損得も大事な一部分だけど、お金だけではやれないのが
有機農業であり、有機認証だと思っています。

皆さんこれからも愛を持って頑張りましょう。

エビちゃん、渡邊さん、今年のキーワードは愛かな(笑)

from "天下無敵の百姓" at 2010年2月 5日 09:03

天下無敵さん。

いや〜、普段の行ないに似合わない、優しく愛のあふれたコメント、有り難うございます。
深く、深く肝に銘じ、渡邊さんと「愛がない」「いやあなたこそ」とやり合ったりしないよう、心がけながら日々精進に勤めたく思います。感謝。

from "戎谷徹也" at 2010年2月 8日 22:24

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