2010年2月 3日

農・畜・水が集まって、宮城新年会

 

2月2日、立春を前にして、首都圏に今年初の積雪が記録された。

千葉・幕張の朝も、雪で洗われている。

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寒椿も寒そう。

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椿といえば、田舎の家の裏にも植わっていて、冬の彩だったな。

実が成ると、中をくり抜いて笛にして、音色を競ったりした。 

昔の子は、自然にあるそこらへんのもので実に他愛なく遊び、笑っていたものだ。

 

しかし椿は残酷な花でもある。

学生時代の寒い冬のある日、僕の部屋があまりに暗かったせいか

(部屋ではなく、僕が、でしょうが)、

訪ねてきてくれた仲間の女性が、よくないことと知りつつ、大胆にも

近所の生垣に咲いていた椿の花を一輪摘んできて、酒のビンか何かに挿して

置いていってくれた。

しばらくは花を眺めながら、少しは明るい気持ちにもなったのだが、

数日後の真夜中、その花がポトッと音をたてて、落ちたんだ。

椿の花は、散らずに、首を切られたように、そのまま落ちる。 

布団に包まって畳の上に落ちた花を同じ目線で見つめながら、

数日デカダンスに耽ったことを覚えている。 

『僕ってなに?』 なんていう、足元のおぼつかない時代をさらっと表現した小説が

芥川賞を受賞した頃だ。 こちらの僕は、気取ってただ暗い本を読んでいた。

いま思えば、実にヒネた、青春のひとコマ・・・・・。

 

産地での新年会行脚も、胸突き八丁ってところか。

昼前に雪溶け始めた幕張を出たのに、夕方にはもう宮城・松島海岸に到着している。

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宮城での新年会は、昨年から農産・畜産・水産の生産者が一堂に会して

開かれるようになった。

これぞ我らがネットワークの資産である。 

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今回の幹事は水産チームで、ここではゲストを呼んでの講演とかはなく、

藤田会長にじっくりと挨拶してもらう。 生産者の意向だったのかな。

 

一昨年からの不況の風は大地にも吹いてきてきて、売上的には厳しい状況が

続いていますが、ただ漫然と手をこまねいているわけではありません。

皆さんが精魂込めて育てた生産物が、より多くの消費者に支持されるよう、

いろいろと手を打っているところです。

こういう時代だからこそ、食べ物の本当の価値や意味を伝えていけるよう、

皆さんと一緒に頑張ってまいりたい。

 

そして宴会へと流れる。

バカ話もまじえながら、しかし皆、この機会を喜んで、

意欲的な情報交換や議論の場と相成るのである。

 


開会の挨拶は、遠藤蒲鉾店のお上、遠藤由美さん。 

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短く、ビシッと決める。 さすがでございます。

 

「お父さんも、短くね!」 と言われて、マイクを握る遠藤英治さん。

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いやあ、大地とはもう、かれこれ30年以上になりましたか・・・

息子もだいぶ仕事ができるようになってきまして、いやまあそれはいいんですが、

とにかく私は大地を守る会の運動に惚れてやってきたわけなんで、

これからは運動にもういっちょう・・・なんて思ったりしておりまして。

 

お父さん、なんかやる気か? 煽られそうな予感である。

 

これまた水産では、最も古いお付き合いの一人。

僕らの牡蠣-カキといえば、奥松島の二宮さん(善政・貴美子夫妻) である。

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今年は息子さんの義秋さんが代表して挨拶する。 嬉しいね。

 

塩釜の酒汐干しの、マミヤプランさん。

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先代が亡くなって10年経ちましたが、ふるさとの産品を真心で守っていきたい。

 

地方の文化は、こういう人たちの思いに支えられていているのだと思う。

地域産業の輪 (食物連鎖のようなつながり) が崩れたときに、

では大都市がどうなるのかのシミュレーションは、実は誰もできていない。

食べ物はいつでも手に入ると思って、生産基盤である土や海や、それに付き合う人が

ないがしろにされた時から、文明の崩壊は加速する、そんな気がする。

 

高橋徳治商店の高橋英雄さん。 

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だいたいねぇ。 「よろしくお願いします」 じゃぁないんだよぉ!

生産者は生産者として、消費者は消費者として、流通は流通の立場で、

何をするのか、どのような役割を果たしていくのか、何を一緒に作るのか、

そこをきちっと・・・・・

 

この人と盃を交わすと、とことんやってしまいそうな、そんな近しい血を感じたりして。

今日はとりあえず遠ざかっておくことにする。 ワタシ、農産なんで。

 

蕪栗米生産者組合からは、3名が参加。

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米の価格がさらに暴落するか、という不安の時に、

もっと環境を視野に入れた米づくりを目指すとは・・・・・

ラムサール条約というお墨付きで米に付加価値がつく、とかそんな問題じゃないんだと、

千葉さんたちの挑戦は、これからも続く。

 

今年初参加は、エリンギの生産者。

本吉郡南三陸町・志津川アグリフードの千葉幸教さん。 

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それまで頂いていた 「ものうファミリー」 さんからの供給ができなくなって、

ものうさんからの紹介でお付き合いが始まった。

物腰の低い実直な方である。 長いお付き合いをお願いいたします。

 

方や、周りから 「やかましい」 と言われる集団がこちら。 

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ある時は豚の生産者=仙台黒豚会。

またある時は米の生産者=ライスネット仙台。

そしてまたある時は野菜の生産者=仙台みどり会。

メンバー生産者が微妙に重なりながら、全体を束ねるのがマイクを握っている小原文夫さん。

それぞれのメンバー曰く。 「やかましいのは、小原代表だけです。」 

ハイ、よく分かっております。 でも代表の孤独も、少しは分かってやらないとね。

 

そして最後にもう一人、有限会社NOA の高橋伸。  

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農家の子倅(こせがれ) とか気楽に称しながら、大豆と麦で100ha (≒100町歩) をこなす。

若手注目株の一人だ。

いつも僕のブログを見てくれているようで、挨拶からいきなり、

「何すか。 伊豆沼まで来て、寄らずに帰っちゃうなんて、随分じゃないっすか」

とやられてしまった。 ゴメンねぇ、いつもせわしなくて。

君の有機大豆のお陰で、いつもの醤油や豆腐や納豆が供給できていることを、

もっとPRしなくちゃね。 いや、ちゃんとつながろう。 東京集会、ヨロシク!

 

帰って見てみたら、ブログの更新もすごすぎるぞ、コラッ! 

きっと仕事も早いんだろうな。

 

・・・・・これだけの面子がいるんだから、もっとできる。 できないといけない。

ああ、やること、いっぱいあるなあ。

 - とか焦りながら、、、3次会となったカラオケで選んだ曲は、河島英五の 「時代遅れ」 。

 

   好きな誰かを 見つめ~続ける 時代遅れの 男~になりたい ♪

 

椿のせいだ・・・

 


Comment:

今年は死のロードと書かなくてすみそうで良かったです!
熱い宮城の新年会、楽しそうですね。
生産者の顔写真がいつものツチオーネと違った感じで、違う一面を見られたような気がして、なんか嬉しいです。
また新しい、気になるブログも増えて、ますます子供に、『大人ってパソコン好きだよね。』とぼやかれそうです。
大地が面白いからなんだよ〜。
東京集会で皆さんにお会いできるのが楽しみです!

from "てん" at 2010年2月16日 20:18

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