2010年6月19日

繊細な生態系と大らかな三線に抱かれて

 

サンゴ石灰岩の上で営まれる宮古島の暮らし。

観光客を喜ばせるマリンブルーの海とサンゴ礁、真っ白の砂浜といった風景も、

実は繊細な生態バランスによって成り立っている。 

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さて、昨日からの続きは、

沖縄大学人文学部准教授、盛口満さんの講演である。

題して 「島の農業・環境・生物について」。

要するに好きに喋れ、というようなお題目だ。 

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出身は千葉で、埼玉県飯能市にある 「自由の森学園」 の中学・高校教諭を経て、

2000年に沖縄に移住した。 2007年より現職。

作家・イラストレーターの肩書きもあり、『ゲッチョ先生の卵探検記』 とか

『小さな骨の動物園』 『生き物屋図鑑』 などなど、多数の著作がある。

会長の藤田が、「盛口さんの専門は、なに学になるのですか?」 と聞いたところ、

「僕は特に〇X 学を研究しているってわけじゃなくて、、、ただの理科・生物の教師です」

 

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そんな盛口さんが

「大地を守る会が僕に何を話せというのかよく分からないままやってきまして・・・」

と言いながら、最初に言い放った言葉は、

「食べものって、全部生き物だってこと、皆さん、知ってますよね。」

 

盛口さんが手に持っている骨、何の骨か分かりますでしょうか。

人が描いている外見からのイメージと実際の骨格とは違うのである。

答えは・・・豚。 だったよね、たしか。

 


盛口さんはたくさんの動物の骨を持参して、参加者を驚かせたりしながら、

琉球弧を歩いては聞き取った伝承も紹介しつつ、

生き物たちとのつながりを土台にして島の暮らしや文化が紡がれてきた世界を、

そして生物多様性の意味を紐解いていく。 面白い。

 

盛口さんは、サンゴ礁の秘密にも迫る。

造礁サンゴが繁殖するのは、亜熱帯から温帯の、透明度の高い、浅い海である。

太陽の光が強いため、水の蒸発も多く、したがって塩分濃度も高くなる。

そういうところではプランクトンは育たず、サンゴ礁の海とは、実は貧栄養の海である。

しかしサンゴは体内で光合成を行なう褐虫藻という藻類と共生していて、

その栄養分によって繁殖することができる。

褐虫藻は貧栄養という環境のなかで、サンゴに寄生することで、ともに繁殖する。

サンゴの死骸はたくさんの隙間をもった海底を形成し、様々な小動物の隠れ家を提供する。

石灰分の多い土壌に適した植物が藻場を形成し、藍藻類が窒素固定を行ない生産力を支える。

そこは波が緩いため産卵に適し、魚がやってくる。 

稚魚にとっては揺りかごのような環境だが、それたちを食べにまた魚がやってくる。

そうやって順々に生物の多様性が高まる。 砂浜はウミガメの産卵場になる。

 

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しかし海の富栄養化が進めば、植物プランクトンのほうが優勢になり、

海は濁り始め、褐虫藻が生存できなくなり、サンゴも衰えてゆく。

平坦なサンゴの島で、富栄養化の大きな要因は農業に使われる化学肥料である。

あるいは陸での乱開発によって土壌が流れ込むと、やはり水が濁り、光が当たらなくなり、

サンゴに泥が溜まれば窒息し、共生藻類を失うことで白化し、死にいたる。

サンゴが死ねば、必然的にサンゴによって支えられた生態系が滅ぶ。

「魚が湧く」 とまで言われるサンゴ礁の死滅は、結果として

島の暮らしのサイクルも狂わせてゆく。

私たちが生物多様性という問題を考えなければならないワケが、ここにある。

 

さて若者たちは、座学を終えるや、

陽射しも湿度も尋常ではないにもかかわらず、外に出たがる。

暑いよ暑いよとか言いながら。

 

島の東の突端、東平安名崎の公園で、

西川卓治のマイ・スィート・ハニー、真衣子さんお手製のお弁当をいただく。

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写真を撮らせてもらおうと申し出たら、真衣子さんがどこかにいなくなった。

(別に照れてではなく、次の仕込みに入ったようだ。)

 

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新城海岸に到着。

ここでシュノーケルリングをしばし。

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僕は準備をしてこなかったので、浜を歩き、

藤田会長をはじめとするオッサン軍団とオリオンビールでひと休みする。

 

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いつかこういう島でゆっくりとダイビングを楽しみたいものだ。

(こうみえてもダイバーのライセンスは持ってます。)

そんな日はやってくるのだろうか。

 

瞑想のひと時を終え、ホテルに戻る。

夜は浜辺でバーベキューが用意された。

 

ウィンディまいばま。

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ここの砂浜は粒子が細かく密度も濃い。踏みしめても足が埋まらない。 超一級品だ。

これがすべて生き物の死骸である。

ここまで積もるのにどれほどの時間がかかったことだろう。

「一億年前、ここに風が吹いていた」 とか表現した詩人がいたが、

この島は約300万年前から数10万年前という悠久の時間をかけて、

隆起とサンゴ礁の発達が繰り返されてできたものだ。

200万年前のその日も、いつもと変わらず、

一介のサンゴが波に洗われ、静かに砂になった、って感じか?

 

ワタクシの繊細な詩情などお構いなしに、

野人たちは生命を喰らい始める。 未来はいつまでも続くと信じて。

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今回の立役者、西川卓治に乾杯! 

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しかし、これで終わらないのがオキナワである。

フラダンスのショーが始まった。

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実は、西川くんのお連れ合い、真衣子さんがやっている 「Pua'ena (プアエナ) 宮古」

というフラのチームなんだそうだ。

プアとは花、エナとはエネルギーが満ちるというような意味だとか。

お弁当を食べていた間に彼女がいなくなったのは、練習していたようである。

 

ただ見とれる。

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ようやっと、ツーショットをいただく。

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おいおい、君。。。。。 いいのかぁ? アップしちゃうぞぉ。

 

いよいよ三線の登場。

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奏者は、川満七重さん。 

宮古を代表する三線奏者の友情出演。 感激!ですね。

隣の太鼓は、松堂とおるさん。 

 

さらにサプライズが!

真南風(まはえ) 代表、夏目ちえさんが、フラガール姿で現われる。

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涙そうそうの演奏に乗って、優雅な踊りを披露してくれた。 

 

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フラッシュの嵐・・・・・諸君! これは機微な個人情報ですぞ、なんてことはお構いなし。

僕も10枚ほど頂戴しました。

 

あとはただ、テンション上げるのみ。

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ホテルに帰っても、部屋でオトーリの再現。 

ああ、終わんねぇよ。 

 

長寿番組 「世界の車窓から」 ふうに--

明日は、楽園の果実に向かいます。

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