2010年6月12日

モデルタウンから収益力向上へ・・・

 

千葉・さんぶ野菜ネットワーク事務局の川島さんから、

「山武市有機農業推進協議会」 の緊急幹事会を開くという招集がかかっていて、

今日は夕方6時からの会議に出向く予定にしていたのだが、

やんごとない事情が発生して欠席させていただくことになった。

 

緊急幹事会とは、いったいどういう事態になっているのかというと、

2年間続いた有機農業推進法によるモデルタウン事業が

昨年の事業仕分けの対象になって、それが議論の末、どういうわけか

「産地収益力向上支援事業」 という

新しく設定された枠のなかに組み込まれたのだ。

 

有機農業ををどう地域に広め定着させてゆくか、だけでなく

有機農産物の産出額を増やし、収益力を高め、所得を向上させる、

その目標(額) の設定と事業計画が求められた。

 

そこで山武市有機農業推進協議会としては、

ここ2年で進んだモデルタウン事業を後退させるわけにはいかないと

改めて事業計画書をつくり申請したのだったが、

想定外の部分で修正を要求され、申請書を書き直さなければならなくなった。

ついては急だけど、というのが川島さんからの連絡なのだった。

 


農政局からいちゃもんつけられたのは、

主に新規就農者のための研修にかかる事業予算のところだったらしい。

研修生のための宿泊施設への助成は出せない。

研修生を指導する農家への謝礼は減額せよ、とか。 

 

山武では研修生用に空き家を一軒借りている。 もはや 「いた」 と言わなければならないか。

今年も3名の研修生がいて、2人が遠方のため利用しているのだが、

それも使えなくなるとのことで、1人は山武に就農した元研修生宅に居候することになり、

さてもう1人は・・・思案中だとか。

「受け入れ農家も増えなくなる可能性がありますねぇ・・・」

と川島さんは心配している。

 

一昨日の日記で紹介した栃木の 「民間稲作研究所」 の稲葉光圀さんも、

研修所は建てたが、これからは自力運営だと腹を決めている。

 

茨城県行方市で協議会をつくってやってきた卵の生産者、濱田幸生さんからは

先日、「新予算はとらない」 とのメールが入ってきた。

「ソフト予算に費用対効果を数字で求めるような非常識なものを取ってしまうと

 身動きがとれなくなります」 とある。

「旧予算の仕分け時にはたいへんにご尽力いただきましたが、残念な結果になりました。

 有機農業支援法をつくる段階から6年、

  ~~ もう国になにも期待するものはありません。 従来どおり勝手にやるだけです。」

 

一昨日も書いたとおり、自力運営はもとより僕の支持するところだが、

有機農業者の育成という、手間のかかる部分を加速させてくれたエンジンが

モデルタウンの側面でもあった。

 

それが一気に減速して、収益の向上計画に変えて申請せよ、とは。

たった2年で似て非なる支援事業に様変わって、

計画の修正、途中断念が相次いでいる。

 

有機農業推進法の歴史的評価はまだ早すぎるけど、

法の理念を体現するべき事業 (税金の使い方) の変質が

法で目指した目標にどんな影響を与えるか、の格好の事例を見せられているようだ。

 



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