2010年8月16日

都産都消の可能性を探る試食研究会 in マルノウチ

 

とまあそんなわけで、今日もメチャ暑い中、東京・丸の内まで。

 

「ミクニマルノウチ」 に集まった東京の野菜と魚、生産者とシェフたち。 

 材料と調理法を説明する支配人の椛田さん。 

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集められたのは都下7名の農家から32種類の野菜と果物。

じゃが芋だけで7種類、カボチャだけで4種類、ブドウが5種類。

魚は伊豆七島からキンメダイが届けられていた。

我らが東京有機クラブ、阪本啓一・川里賢太郎コンビからは、

居酒屋 「山藤」 用に作ってもらっているものも含めて9種類を出品させていたいた。 

ルッコラ、京菜、じゃが芋(メークイン)、賀茂ナス、長ナス、スイスチャード、

島オクラ、万願寺とうがらし、カボチャ(栗坊)。

 

丸の内シェフズクラブを代表して、会長の服部幸應さんがご挨拶。 

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東京の自給率は1.2%しかない。 全国で最低なんです。

しかし東京にも農家はたくさんあって、みんな頑張っている。

東京の特徴は、露地栽培中心で少量多品目生産。 いろんなものを作っている。

そんな地元の生産物を、皆さんの力でクリエイティブな食べ方を提案してほしい。

この出会いを大切にしましょう。

「テレビで見るのと同じだね」 とささやき合うカワユイ僕ら。 

 

カゴに入って並べられた現物。 

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 右端はバターナッツか。

リストにはないけど、どなたかが今日持ち込んだのかな。

東京でもいろんなものが作られている。

 


ナスも色々。 

素材の味の違いを確かめてもらうために、調理は極めてシンプル。

これは鉄板で焼いただけ。

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じゃが芋を食べ比べる調理のプロたち。 

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インカのひとみ、インカのめざめ、きたあかり、アンデスレッド、メークインに男爵。

「オレはもう、じゃが芋は男爵、という思いが強いねぇ」 と服部さん。

ただ同じ品種でも生産者がかぶっていたりするので、

このイモが自分ちのかどうかがよく分からず、

「生産者を」 と言われても、少々戸惑ったりする。 

 右の後ろにいる啓一さんも、このメークがウチのかどうか、Kさんのだったら失礼だし。。

 と少し遠慮気味。

 

今回もっとも評判を呼んだのが、 川里さんの島オクラ(写真手前)。 

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島オクラと言えば沖縄を連想するかもしれないが、

こちらは八丈島の島オクラだ。

川里さんは島のJAから種を分けてもらって、自家採種しながら育てている。

「大きいのに、柔らかく、種が少なくて、ぬめり感がとてもイイ!」 と絶賛されていた。

すぐにでも使いたいという声も上がったが、

「いや、これは大地さんの山藤分しか作ってませんので」 と賢太郎はすげない。

断っちゃ 「お見合い」 にならないのだが、そこはこちらがフォローする。

- 皆さんの希望をまとめさせていただいた上で、もう少し作れるかどうか、

  計画を立てさせていただきます。

 

和食の 「招福楼」 ご主人、中村成実さんも島オクラに賀茂ナスを挙げた。

川里さんが作っているナスだが、なんと苗は地元で買っていて、

その苗は京都にも出されているのだとか。

江戸から送られる京野菜の苗、多少複雑でうまく説明できない。

 

後半は自由に流れながら懇談。 

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シェフは自由に感想を述べ合うが、

生産者が割って入るのは、なかなか気軽にできるものではない。

まあ、初めての試みなので、その辺は次の課題か。 

 

生産者はこのように紹介させていただいた。

小金井市、阪本啓一。 

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江戸時代から350年以上続く武蔵野農家の7代目。

葉物の周年栽培が主体。 農薬は一切使わない。

化学肥料にも頼らず (何年かおきに Ph 調整にわずか使うことがあるくらい)、

徹底して良質な堆肥づくりにこだわってきた。

昔から世田谷・馬事公苑の馬糞を完熟堆肥に仕上げて、土に還している。

こうした資源循環ができるのも、地域に農業が健在だからこそ。

安全で新鮮な食の提供だけでなく、お互いの顔が見える  " 地産地消 "  の関係が築けるし、

農業体験などを通して食育にも貢献できる。

障がい者支援のボランティアもやってるけど、そこでも農の力はすごいと思う。

東京にこそ、いやどんな町にも、農業は必要なんだと伝えたい。

 

小平市、川里賢太郎。

あえて、この写真を使わせていただく。 

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親父の代から無農薬栽培を続けて25年以上になる。

葉物中心に、契約するレストラン (山藤のこと) 向けの野菜も含めて

年間10種類ほどの野菜を作るが、あちこちから希望があっても、

やたらと広げることはしたくない。 

きちっとイイものをつくって、信頼される  " 川里の野菜 "  を届けたいと思う。

就農して11年。 農大を卒業した後、流通や消費の動向も知っておきたいと、

流通の現場 (大地を守る会のこと) を学んでから就農した。

阪本さんと一緒に馬事公苑まで馬糞を引き取りに行っては、時間をかけてイイ堆肥にする。

きつい仕事だけど、土づくりは絶対に手を抜かない。

東京だからといって特段の気負いはない。

プライドを持って、安全で美味しい野菜をつくり続けたい。

 

彼らこそ資源循環を助ける仲介者なのです。

地域にこういう農業が必要だということを、私は訴えたい。

 

感想を述べ合うシェフの皆さん。

写真は、フランス料理 「ル・シズィエム・サンス・ドゥ・オエノン」 のドミニク・コルビさん。 

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ドミニクさんはフランス人らしく、ぶどうに注目。

「なかなか、意外と美味しい。 使えます。」

 

最後に、この場を提供してくれた 「ミクニマルノウチ」、三国清三さん。

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東京の野菜は、火山灰土が元になっていて、密度が粗いので根が深くなる。

糖度は低めで、あっさりした味になる傾向がある。

最も売りにできるのが、新鮮である、ということだ。

東京野菜を使いたいと思っても、生産者とうまくつながれない、という現実がある。

東京に合った生産と流通の仕組みづくりが必要だ。

 

そのあたりが僕らに求められている役割ってわけだ。

ま、やりましょうよ。 ただしワガママ一辺倒 (お店ってありがち) は困ります。

届いたモノを見て 「よし、こうしよう」 、という

皆さんの持っている一級品のセンスを駆使していただくことも、お願いしたい。

特定の生産者とつながるというのは、

市場からイイものだけを引くというのとは、勝手が違ってきますので。

 

初めての企画なので課題も残ったが、

「ま、よかったですよ。 人と会えたわけだし。 これから、だね。」

三国ポーズをとって、今日のところは帰るとしよう。

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