2010年9月24日
ハスモンヨトウにカメムシに・・・
ミツバチ問題の整理に手こずっているうちに、
産地から悲鳴のような連絡が相次いで入っている。
ハスモンヨトウが全国的に発生して、畑を食い荒らしているのだ。
千葉からも茨城からも埼玉からも、
キャベツに定植した途端に寄って来た、あっという間に食われた・・・という連絡。
そしてなんと、東北・宮城からも。
登米市中田町で、大規模に有機大豆栽培を手がける高橋伸さんから
写真が送られてきた。
有機の小粒大豆畑が一面、白くなっている。
被害は10ヘクタール強に及ぶという。
葉にとどまらず鞘まで食いつくしている。
有機許容の薬剤で何かあるか・・・・・
来年以降の対策として検討しておきたい、と。
そしてひと言 - 「共存も難しい」。
ハスモンヨトウ。 漢字では 「斜紋夜盗」 と書く。
その名の通り斜に紋があり、夜になると土中から現われ、
植物の科目を問わず、貪欲に何でも食う。
「深夜に、むしゃむしゃと夜盗が食べている音が聞こえてくるんだ」
と聞いたことがある。
こういう奴 (yahoo 画像より拝借)。
成虫になった蛾は、こんな格好。
こいつの発生は年によって差が大きく、特に夏の高温少雨の年に多発生する。
発生のピークは9~10月。
まさにこの夏の酷暑を反映して、狂ったように異常発生している。
山口県では県内全域に注意報が出されている。 平年の倍以上だとか。
しかし耐寒性は弱いと言われていて、北日本での被害は少ないはずなのだが、
これも今年の全国的高温の影響と思われる。
特に大豆畑では突発的に大発生することが知られている。
土壌が肥沃なコメからの転換畑だとさらに生育が盛んになる。
ハスモンヨトウは幼虫が大きくなると、どの農薬も効き目が弱くなる。
そこでクモ類などの天敵を殺してしまうと、さらに大発生を誘引してしまう。
おそらく全国各地で夜盗退治の農薬が散布されていることだろう。
天敵の死滅という悪循環に陥ることも怖いが、
こういうときはまた例によって農薬を撒かない畑との対立も生まれたりするのだ。
今年の 「かけろ」(農薬を撒け) 圧力はかなり強いのではないだろうか。
昔よく聞かされた、
「お前がかけないから、虫が発生する」
「冗談じゃない。 みんなこっちに逃げてくるんだ」 という争いが想起される。
甚大な被害を被った高橋さんの大豆畑。
想定被害額は・・・僕の口からはいえないので、
有限会社NOA 専務、 高橋伸のブログ をご覧いただきたい。
この地の状況は他人事ではなく、私たちの日々の小粒納豆の話だと思ってほしい。
そして、カメムシである。
こちらもまた同様、暖地型カメムシが東北で増殖している。
その名は、アカスジカスミカメ。
秋田県で8月下旬に注意報が出されている。
8月中下旬に実施された県内100地点でのすくい取り調査で、
寒地型のアカヒゲホソミドリカスミカメは平年並みなのに、
アカスジは平年の5倍、しかも広域に確認されている。
2007年から増加傾向だという。
確実に温暖化とともに北上してきている。
積雪量の減少で、越冬しやすい環境にもなってきているようだ。
気温の上昇は世代数を増やし、発生量・種類ともに増加してゆく。
今年はアカヒゲよりアカスジによる斑点米増加が懸念される。
県の病害虫防除所での指導薬剤は、ネオニコチノイド系農薬である。
害虫と防除の繰り返しは確実に生態系の衰弱につながっていくのだが、、、
この夏の結果は、彼岸を越して、さらにさらに焦燥感を募らせるね。