2010年9月29日
しつこく、ミツバチとネオニコについて-
3回に分けて書いた 「ミツバチと農業」 は、それなりにリキを入れたつもりだが、
何人かの方から質問や意見も頂戴し、多少誤解を受けた面もあったかと反省している。
ポイントはやはり、CCD (蜂群崩壊症候群) とネオニコチノイド系農薬問題の
とらえ方である。
僕は決してCCDという現象を軽視しているつもりはない。
ネオニコ系農薬に対する独自の対策も進めている。
それは個々の農薬を精査して、生産者とともに対策を立てていこうというものだ。
違いといえば、ただ単純にネオニコ系農薬を排除すれば問題が解決するとは
全然思ってない、ということに尽きる。
コトの本質は、ミツバチが健康に育ち働いてもらうこと、つまり
養蜂と農業の健全な関係を取り戻すための環境整備にある。
そのための対策は、まだ灰色の雲の中にあるCCDに焦点を当てて
危機感を煽って済むものではない。
伝染病やダニ被害のリスクだって無視してはならない重大事項なのだ。
ミツバチ「不足」 や 「大量死」 に対して、できる対策を進めることを考えたい。
そのほうが具体的で前向きな姿勢ではないかと思うし、
できるところから着実にミツバチにとっての環境を整えていく、
これこそが目に見えない失踪 (CCD) の原因を取り除いていくことにもつながる
のではないだろうか、というのが実のところ、僕の秘かな確信でもある。
これが、「大量死とCCDはつながっている」 とにらむ藤原誠太さんに対する、
僕なりの応えだったのだけど。。。
それに、カメムシは農薬で叩く、という思想が前提にある限り、
ネオニコを排除しても、別なあるいは新たな農薬が登場するだけではないか。
ネオニコを殊更に問題視すると本質的な対策を遅らせる危険性がある、
と懸念するのも、そういう側面を感じるからだった。
病虫害に対する対策思想を変えるのは容易ではない。
農家にとっては目の前の経営の問題でもあるし、
これは技術の再確立という長いたたかいであることを自覚する必要がある。
改めて、ローワン・ジェイコブセン著 『ハチはなぜ大量死したのか』
から引用させていただくなら-
この状況を避けるには、チームとしての取り組みが必要だ。
養蜂家だけでなく、昆虫学者も自然保護活動家も一緒になって
奇跡を起こさなければならない。
私たちがしなければならないのは、土地の酷使をやめること、
私たちの文化に養蜂と農業の場所をふたたび組み入れること、
そして昆虫を仲間に組み入れることだ。
もしそうしなければ、果樹園だけでなく、
私たちのあらゆる努力も実を結ばなくなってしまう。
そのための想像力と根気が必要だと思うのである。