2010年10月15日
5年間で22%の農民がいなくなった・・・
農林水産省が5年おきに行なっている農林業の動態調査
-「農林業センサス」 の2010年版が、先月発表された。
すでにチェックされた方も多いと思うが、改めてこの衝撃を記しておきたいと思う。
まず、農業就業者人口は260万人。 5年前に比べて75万人! 減少した。
5年間で22.4%、およそ島根県の人口相当の農業者が消えたのである。
平均年齢は65.8歳。 2.6歳上昇した。
これは平均年齢だから、70代あるいは80になっても頑張ってくれている人がいる、
ということを表している。 5年後ははたしてどうなるんだろう。
耕作放棄地の面積は、5年前の39万ヘクタールから40万ヘクタールに増えた。
埼玉県の面積に匹敵する面積が耕作放棄されている、と言っていたのが
これからは、滋賀県の面積、ということになった。
たった5年間で22.4%の減少。 埼玉県から滋賀県へ。
しつこく言いたい。 たった5年間での変動である。
歴史的視点で見れば、崩壊現象の真っただ中に入ったとしか思えないのだけど、
相変わらず対岸の話のように語られてないだろうか。
これは子供たちの未来への不安という話でなく、
いよいよ目の前に迫ってきた食の危機を語っているはずなのに・・・
農業への補助が必要なのか、国民の食選択への支援策が必要なのか、
本当は同義であるべきはずなのだが、相変わらず分断したままの生産と消費。
様々な農業政策の結果がこうである。
もう農林水産省なんて要らないんじゃないの、とまで言いたくなる。
唐突な事例かも知れないけど、
たとえばイースター島の文明の崩壊はなぜ起きたのか。
生態系が痩せていく中で、島民はなぜモアイ像にこだわり最後の木を切れたのか。
謎と言われたその答えは、いま目の前で進行している状況にありはしないだろうか。
センサスの数字は、予測していたとはいえ、いざ目の前に示されると、
背筋が震えるような近未来的現実を想像せざるを得ない。
僕はこのブログという手法を使って、
現代の 「希望」 を伝えたいと思ってやってきたのだけど、
いま進行形の事態は、農地の集約化とかいう話ではすまない、
この国を支えた共同体(経済) の崩壊まで予測させるものだ。
崩壊は、5,4、3、2・・・ という形で進むわけではない。
だって、だいたい経営の破綻というのは、6、5 、4 → -X であるから。
農林業センサスとは、食と暮らしのセンサスなんだけど、
だれもそんなふうに伝えてくれない。
危機感を持たなきゃいけないのは、農民より、
食べ物を作れない僕ら消費者のはずなのに。
目の前で繰り広げられる責任転嫁政治と、
静かに進行する集団的想像力疾患にめげることなく、
僕らのたたかいはいよいよ本物の正念場に入りつつあるように思う。