2010年11月17日
昔、芸術家やヒップな奴らがいた時代
さて、振り返り-その3。
35周年のパーティ終了後も、生産者は大人しく帰るわけではなく、
2次会-3次会、最後はカラオケへと突入する。
そして少々だるい体を引きずりながら、
11月1日(月)の夜は、懐かしい顔ぶれと飲むことになる。
四半世紀も前。 本部が調布市深大寺にあった80年代中頃の話。
調布センター敷地内の一角につくったお店に、アルバイトでありながら店長のような顔をして、
きわめて自然に馴染んでいた芸術家の男がいた。
たしかアルバイト中に何とかという新人の登竜門的な賞をとったはずだ。
名前は落合滋規、 " おっちゃん " と呼ばれてお客さんからも愛されていた。
いつの間にか音信も途絶えてしまったのだが、
彼が亡くなったという知らせを受けたのが一年前のこと。
遅ればせながら、久しぶりにおっちゃんを偲んで集まるか、ということになった。
藤田会長以下、" おっちゃんと過ごした " 記憶を持つ仲間たちで。
35年という感慨も、その気にさせたのかもしれない。
場所は 「山藤」 広尾店。
呼びかけ人はやはり同時代にアルバイトで店番をやってくれていた版画家
" チカちゃん " こと後藤千香子さんと、長谷川満取締役 (おっちゃんの写真を掲げる二人)。
チカちゃんは今、大分・湯布院に根づいて芸術活動の日々を送っている。
集まってくれたのはこんな連中。
インドやら南米やらを旅していたヒップなヤツ。
その風貌から、みんな敬意をもって " 和尚 " と呼んでいた。
デラシネ(根なし草) のように生きていくのかと思っていたら、
意外や故郷の神戸でパソコン教室など開いている。 「わしは何もできへん」 と言いながら。
震災に遭ったときに、調布センターそばに住まわれていた会員さんから
激励のカンパをもらったという。 神戸で--そうか神戸で、腹を括ったか。
二人一緒に大地を辞めて、長野に移り住んだ男と女。
いろいろやった末に、自称・自然農を営みながら木工やらなんやらで生きている。
今もアルバイト生活をしながらライブにかけているという半アーティストは、
スキンヘッドになっちゃっている。
僕と同時入社だった女は北海道で助産婦さんだ (僕は彼女の補欠合格だった)。
ダンナ (ほぼ同期の配送員) は未だに厳しい北海道の農民になり切れない様子なのだが、
それでも不思議に仲良く暮らしている。
などなど、当時の若手(僕らの世代) も50を越えて相応に老けてしまったが、
意外にも風貌や醸し出す空気はそのままだった。
貧しくてもなんだか楽しくて、汚くてもやけに明るくて、
世間知らずだから怖いもんなしで、せわしなく騒ぎながら夜中まで働いていた。
夢を語り合っているうちに、いつも喧嘩になって、
そして誰かがギターを弾き出して、よく歌った。
おっちゃんは売れ残った野菜でエスニックなスープなどを作ってくれたりした。
調布センターに移った頃、僕は広い倉庫に感激して、
ここを拠点に文化運動をやろう、なんて青いことを提案した。
つけたタイトルが 「深大寺文化フォーラム」。
一回目は水俣の映画上映会。 監督にも交通費程度で出張ってもらって、
今思えばかなり贅沢な企画、、、いや冷や汗が出る思いだ。
おっちゃんに描いてもらったチラシを近所に配って回ったりした。
そんな調布センターも、みるみる狭くなっていった。
大地を守る会はしっかりと高度成長期に入っていたのだ。
モンペ野郎が汚いトラックで食べものを運ぶ良き時代は終焉に向かっていた。
そんな時代を生きた者たちの、昭和チックな同窓会となった。
おっちゃん、ありがとう。
晩年、おっちゃんが俳句を詠んでいたことを知らされる。
酒一生 とりちがえたる 虎魚(おこぜ) の身
- 落合六歩 -
35周年をおっちゃんが見たら、何と詠むだろう。
時代や立ち位置は変化しても、流されていることに気づかなかったり、
自分の中にある大切なものを知らずに失うことだけは、絶対に戒めたいと思う。
怖れなければならないのは、かつての時代を共有した奴らから、
いつか・・・「オレのほうが真剣に生きたよ」 と見つめられることだ。
まっちゃん、ゴメン。
おっちゃんと重なっていた人が記憶を頼りに連絡を取って集まったのだけど、アイツもいたな、●●● も・・・となってしまいました。みんなと、次は7回忌で、という約束をしたので、その時はホントに「昭和の同窓会」にしたいですね。それまでお互い元気で頑張りましょう。
成功した無農薬茶の生産者、まっちゃんは僕らの誇りですよ。
そそそ・・・そんな、よいしょしないでくださいよ。身に余るお言葉、ありがとうございます。悪戦苦闘の毎日ですが、何とか続けてこれました。
これもひとえに大地のおかげです。7回忌、楽しみにしています。
ご無沙汰しています。懐かしい顔ぶれですね。当時を思い出します。僕も行きたかったな・・・