2010年11月19日

金沢-内灘の干拓地に立つ

 

もたもたと振り返っている間にも、時間は矢のように過ぎてゆく。

すっ飛ばしたくもなるが、たまにはこんな感じで、

この間の出来事を流してみることにする。

 

11月3日、秋田行きを断念してコモンズ主催のシンポジウムに出かけた日。

別働隊はしっかりとブナの植林に汗を流してきてくれた。

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冷たい雨の中での作業になったようだ。

去年はたしか雪の中での植林だったね。

 

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本当に寒そう。

でも、この粘り強い森づくりが、生命の水源を豊かにしてくれるはずです。

皆様、お疲れ様でした。

 

翌4日(木) は、農産グループの歓送迎会が開かれる。

優秀な中堅職員が2名、会員からの質問やクレームに対応する部署に異動して、

代わって物流センターの業務を長くやってきたスタッフが移ってきた。

こうやって地道に組織力を高めていくのだ。

 

7日(日)、埼玉県熊谷市(旧妻沼町) の岡村グループ元代表、

岡村雅夫さんの奥様、良子さんの告別式に参列する。

「とにかく働きまくり」 と言われた雅夫さんがちっちゃくなった感じがして、つらい。

この男にこの妻ありと言われた豪快な奥さんだった。

この時代、69歳という若さでの逝去はこたえる。

岡村さんから頼まれたので、指名焼香(会長指名の代理で) を受ける。

 

9日(火)~10日(水) は、石川県金沢市に出張する。

NPO法人有機農業技術会議 主催 「第8回有機農業公開セミナー」。

今回のテーマは 「大規模稲作を考える」。

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大面積を経営する稲作農家にも、有機農業は可能である。

有機農業技術会議代表理事の西村和雄さんが水田雑草の諸問題を整理し、

栃木・民間稲作研究所の稲葉光圀さんが、

いかに作業効率よく有機稲作を実践するかのモデルを提示された。

地元・石川県や滋賀県の実践農家の発表があり、

僕は流通の立場から、

有機JASの認証以上の価値を創造しなければならない時代に入っていることを

訴えさせていただいた。  

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生産者の間では、農業政策へのビジョンが示されないままでの

TPP(環太平洋パートナーシップ) への不安やら

販売側からの値下げ圧力なども相まっての不信の声ばかりが聞こえてくるが、

「ここに有機農業がある価値」 をこそしっかりと捉え直したいと思うのである。

 

二日目は、金沢市有機農業推進協議会代表の井村辰二郎さんのほ場と

農産加工場などを視察する。

 

石川県中部・金沢平野にある河北潟の干拓地で、

父の代から麦と大豆の二毛作に取り組む。

初めて訪れた河北潟干拓地。 ここも戦後、政治に振り回された土地だ。

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朝鮮戦争の最中、米軍の試射場に指定されて激しい反対運動が起きた。

「内灘闘争」 と呼ばれ、五木寛之の小説 「内灘夫人」 の舞台にもなった場所。

干拓して多くの農民が大規模稲作を夢見て増反した後、

減反政策によって 「米をつくるな」 となってしまった。

冷たい風と刺すような雨に、ここでの農業の厳しさを想像する。

井村さんは耕作放棄地を見ると我慢できない、と言う。

条件の悪いところでも耕作を引き受け、また農産加工にも取り組んでいる。

大規模は大規模で、自立した経営を目指すことはなかなか試練の道だと思うが、

強い意志と持続するパワーには脱帽である。

 

森を育て、耕作放棄地を耕しながら農産加工に取り組む農民たち・・・

いまこの国の食と農業の土台部分を鍛え直しているのは、有機の世界である。

間違いない。

 

小松空港と会場の行き帰りの足は、

小松市の有機米の生産者、橋詰善庸さんにお世話になってしまった。

セミナーのプログラムに僕の名前があったのを見て、送迎を買って出てくれたのだ。

橋詰さん、お気遣い有り難うございました。

 



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