2011年1月27日

「寒試し」 を肴に自然の変化を語り合う

 

産地新年会も折り返しを過ぎ、

昨夜(26日) は宮城県下の生産者合同新年会が、鳴子温泉で催された。

 

いやとにかく、今年は雪が多い。

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昨年の夏が記録的猛暑かと思えば、

昨年末からの寒波の波状攻撃も凄まじいものがある。

温暖化とは、ただ気温が上昇していくという単純なものではなくて、

気候変動の振幅が激しくなっていくことを意味するらしい。

集中豪雨とか記録的寒波とか、異常気象が頻発するようになる。

それらは地球気候のバランスを整えるための所作だとも言われるが、

とにかく災害のリスクはますます高まっていくわけで、

生態系への影響 (かく乱と動植物の対応変化) とも相まって、

食料生産は情け容赦なく振り回されることになる。

オイラのしんどいなんて、屁のツッパリにもならない。

 

そんな地球の懊悩を肌で感じながら (本当かよ。カッコつけてるね)、

新年会と称して産地を回る。

前にも書いたとおり、これはただの飲み会ではない。

ちゃんと真面目な時間も用意されているので、

それだけは強調しておきたい (言い訳がくどいね。やましいところでもあるのか・・・ )。

僕は出られなかったけど、19日の千葉合同新年会では、

埼玉県農林業総合研究センターの根本久さんを招いて、

天敵の有効利用について勉強会が開かれている。

 

20日の茨城新年会では、あえてゲストは呼ばず、

藤田会長から、今後の大地を守る会の目指す方向をしっかり聞かせてもらおう、

という趣向になった。

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そして宮城では、

古くから農村で伝承されている気象予測を農作業に生かしてきた

山形県村山市の農民・門脇栄悦さんによる講演が企画された。

元農事気象学界副会長。 大地を守る会の生産者会員でもある。

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門脇さんが行なっている気象予測は、「寒試し」 といわれる。

二十四節気の 「寒の入り」(小寒。1月6日、旧暦12月3日) から

「立春」(2月4日、旧暦1月2日) までを一年に見立て、気温変化や降水量を予測する。

高僧・空海の伝とされるが、門脇さんはさらに詳細な気象情報を収集して

精度を上げた予測を立てるまでになった。

今や山形県村山地域の天気予測の当たる確立は8割とのことで、

農業関係者やメディアからの取材も年々増えているようだ。

 

予測の詳細は省かせていただくが、

配布された農事気象学会の今年の予測はと言うと-

12~1月-暖冬の予測だが、時に強烈な乾燥した冷風が吹く。

       降雪地帯の雪は、時に吹雪型となるやも。平地はドカ雪に注意。

       12月 【一白水星】、1月 【九紫火星】 で気象は激変型。又社会情勢も混迷が危惧。

 2~3月-乾寒風吹き、悪性の風邪流行るかも。立春の前後に大雪降る。

 4月   -寒暖の差が激しく凍霜害に留意の事。稲、野菜苗生育不良病害注意。

 5月   -日中の気温は高いが夜間冷える。寒暖の差激しく晩霜・雹害の恐れあり。

 6月   -梅雨入は早く空梅雨型。梅雨明けの土用前後に大雨豪雨注意。低気圧多発。

 7月   -台風の発生は早く数も平年より多い。大型台風が上陸して被害の出る予測。

 8月   -東日本はヤマセ現象で低温。西日本は高温傾向で高温障害の恐れあり。

 9月   -降雹・雷雨・強風・突風などの発生が予測される気象激変型となる。

10月   -台風の発生多く、強烈な風台風の上陸の恐れあり。特に風害に要注意。

  ~ と続く。

実は同じ資料を、埼玉新年会で瀬山明さんからももらった。

月や惑星の動きにも注意を払っていて、民間の気象予測もなかなかに奥が深い。 

 

当たるか当たらないかは僕にはなんとも言えないが

(僕は人災による変動要因のほうが気になっているのでなおさら)、

自然の動きや鼓動に対して姿勢が謙虚になる、というのは大事なことだと思った。

門脇さんは全国各地の寒試しの事例を尋ねて回っていて、

みんな自然を敬う人たちである、と言う。

そして、こんなことも感じているのだそうだ。

「理想とする姿のイメージを思い浮かべている人は、良いものをつくる。」

含蓄があるね。

 

門脇さんはまた、 「種蒔きは満月、移植は新月に」 といった月のリズムを大切にしている。

これはオカルトではない。

和洋を問わず世界のあちこちで、今も農業の世界では生きている話である。

とくたろうさん」 担当の秋元はシュタイナー派なので、すっかりご満悦の様子。

 

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ま、こんな感じで、あとは飲んで語り合おう、となる。

 

参加者皆さんを紹介したいところだが、紙面(?) の都合で割愛させていただく。

話題の人としては、、、

昨年NHKの番組 「プロフェショナル」 で紹介された石井稔さん。

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この人も天候を先取りするタイプである。 

テレビ放映されてから、周りがうるさくなって、問い合わせも増えて大変らしい。

石井さんの米はもうプレミアの世界で、我々が扱う世界を飛びぬけてしまったが、

むしろ僕が自慢したいのは、番組でも紹介されていた、

この人が苦悩していた時代を支えた奥さんのニラを扱ってきたことだ。

宮城の 「無農薬生産組合のニラ」 を今後ともどうぞよろしくお願いします。

 

宮城新年会には水産や畜産の生産者も参加してくれる。

今年は開催が水曜日となったこともあって参加者は少なかったが、

この方を代表としてアップさせていただきましょう。

遠藤蒲鉾店を支える女将、遠藤由美さん。 

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いつもキリッとして、かつ快活な笑顔に、みんな励まされている。

 

今回の幹事を務めてくれた、蕪栗米生産組合のお三方。

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左から遊佐恭一さん、中鉢隆弘さん、そして千葉孝志さん。

なんと翌日(今日) に同じ場所で総会を設定して、

藤田会長を記念講演者に仕立てて、足止めにさせた。

去年12月の視察の時といい、油断もスキもない。

 

二次会は宿にあったカラオケ・スナックに流れたのだが、

門脇さんを囲んでの天候論議が終わらない。

自然相手の仕事をしている人たちには、興味の尽きないテーマなのである。

 

茨城では、宿の部屋で二次会となった。

八郷の 阿部豊 さんと、久しぶりにフォークソングを歌いまくる。 

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 阿部ちゃんが吉田拓郎の高校の後輩だったというのも初めて聞いた。

こういう夜も、嫌いじゃない。

 

お天道様への敬意を忘れない人たちは、

どこか大らかな諦念を持ち合わせつつ、しかも粘り強い。

みんな腹の中に暦があって、その狂いが大きくなっていることで、

自然の変化を感じ取っている。

 

僕もせめて月の満ち欠けなど意識しながら過ごしてみようかしら。

何か見えてくることがあるだろうか。

・・・なんて呑気な事を言ってる場合じゃないか。

 

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Comment:

大雪で、皆さんどうしていらっしゃるとか気になっていました。
こうして元気な様子が拝見できると嬉しいです!
えびちゃんもがんばってくださいね!(^^)

from "てん" at 2011年2月 2日 21:53

てんさん
有り難うございます。生産者って、ホント強いと思います。酒が、いや失礼、精神が。
僕ちゃんなんて、彼らが頑張っていることで、動かされているようなものです。

てんさんも、また東京集会が近づいてきましたね。お体お大事に、です。

from "戎谷徹也" at 2011年2月 5日 22:44

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