2011年1月30日

リフレッシュ研修・・・

 

1月28日(金)、有機JAS等の認証機関であるアファス認証センターによる

リフレッシュ研修会というのが開かれた。

毎年この時期に開催され、有機JAS制度の最新情報や

有機農業全般についての動向・留意点等についての報告がある。

 

大地を守る会には有機認証を受けている生産者も数多くいて、

また本体の物流センターも有機の小分け事業所として認証を受けている。

そんな関係上、最新情報には常にアンテナを張っていなければならない。

生産者から使用する資材についての情報を求められたり相談を受けたりもするし。

 

我々は、かつて表示規制のために作られたという側面を持つ有機JAS制度には、

批判もしてきたものだ。

" 有機JASを乗り越えよう "  とも言ってきた。 その気持ちは今も変わらない。

しかし嘘のない有機農産物の証明として主体的に認証に取り組んだ生産者の

その努力については正当に評価したいと思っている。

したがって有機JASマーク付で入荷したものは、

ただしく分別・小分けして (これを有機性の保持という)

消費者あるいは店頭まで届ける義務がある。 小分け業務に瑕疵(かし) があってはならない。

制度の動向や変更点は正確に把握しておく責任がある。

 


ということで今回の研修会。 レクチャーの主なポイントは、以下のようである。

ひとつ。 有機JAS規格の改正検討が進んでいる。

すでに改正原案が作成されていて、今年の夏か秋には確定する見通しである。

細部の報告は割愛するが、

遺伝子組み換え技術を規制する項目が各所に散らばっていたのを一箇所にまとめるなど、

全体の構成が変更されるほか、いくつかの有機資材の判断(条件など) が

明確に、あるいは追加される予定である。

合わせて有機加工食品、有機畜産、有機飼料のJAS規格も改正されることになっている。

検討過程が気になる方は、農林水産消費安全技術センターの

下記HPを参照されたし。

 ⇒ http://www.famic.go.jp/event/kentouiinnkai/kekka.html

 

考えてみれば、GM(遺伝子組み換え) 技術の利用を明確に規制している法律は、

有機JAS規格だけである。 これはこれで大切にすべきものか。

 

次に、資材判定の共通基盤がつくられてきている。

世にはいろんな資材が出回っていて、有機栽培に使ってもよいものかどうか、

認証機関によって異なる判定が出されるケースがあった。

有機JAS制度がつくられてから、ずっと生産者を悩ましてきたものだ。

僕が3年前に委員として参加した 「有機JAS規格の格付方法に関する検討会」

でも議論された課題である。 

それがようやく 「有機JAS資材評価協議会」 の設立という形で実を結んできた。

有機JASの認証機関すべてが参加するわけではないようだが、

大きな一歩前進として評価したい。

わが農産グループ・有機農業推進室でも、

生産者に使用実績のある資材のデータを認証機関に提供したりして、

業界全体に文句も言いながら待っていたものだ。

これが 「有機生産にあたっての認定資材リスト」 として完成されれば、

また認証機関の間で判定が共有されるようになれば、

生産者の判断ミス (というより情報収集の限界による事故) も

かなり減らすことができるようになるだろう。

ただし、購入資材に頼りすぎた栽培方法は有機農業の基本技術ではない、

という有機農業の根本思想は忘れないようにしたい。 

 

他にもいろいろあったけど、こんなところにして、

研修終了後、残った生産者と懇親会を持つ。

毎年律義に参加される福島・やまろく米出荷協議会さん(福島県福島市)

と今年も席を一緒にさせていただく。

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写真右の方が、昨年も全国食味コンクールの有機米部門で金賞を取った岩井清さん。

「食味と収穫量をいかにバランスよく保てるか」 に長いこと格闘してきた。

 だんだんと技術にも確信を持てるようになってきた反面、

今後の気候変動が気になるところではある。

写真左は、やまろく米の生産者を束ねる 「やまろく商店」 の跡取り、佐藤康毅(こうき) さん。

お父さんに変わって、今年初参加。 元気っす。

 

嬉しかったのは、秋田・大潟村の阿部淳さん(下の写真左) とご一緒できたことだ。 

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「ライスロッジ大潟」 メ ンバーで、「秋田・ブナを植えるつどい」 を毎年開催する

「馬場目川上流部にブナを植える会」 の事務局長。

二人で勝手に盛り上がった話は、有機JASでも、米の値段でも、TPPでもなかった。

生産者も消費者も一緒になって、" 新しい経済の仕組みをつくらないか "  という

夢のような構想である。

いや、夢なんかじゃない。 地域通貨などで、現実に取り組まれてきた世界である。

みんなの  " 生産 "  あるいは  " サービスや知識 "  など

持っているものを納得し合う等価でひろくネットワークして、

協働の社会システムをつくりたいもんだね。

この輪に参加すれば飢えることがない、安心して暮らせる、格差(搾取) もない、

アーティストは米一年分で村のコンサートに来る、地域資源で家も立つ、

誰だって生きている間は何かの役に立てる、みんなで政治もする、 

そんな社会は、いや可能である。。。

阿部さんが 「物々交換の社会にしたいよ~」 と言ったことがきっかけで、

ついに社会革命の話にまでなっちゃった。 ストレス溜まってるね、お互い。

 

そういえば最近、地域通貨の話題をあまり耳にしなくなったけど、健在なんだろうか。

 

最後にこの方。

株式会社アファス認証センター社長、渡邊義明さん(左)。 

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(右は新潟の米生産者で、清水さんと仰った。)

 

どうもこの方とは肌が合わない。

どっちも素直に謝らない、言われたらやり返さないと気がすまない。

去年も一戦やっちゃったし、

" ああ言えば こうゆう関係 "  とでも言おうか。

歳が離れているのだから、僕が敬意を表しなければならないことくらいは

重々分かっているんだけれども、どうも抵抗したくなっちゃうんだよね。

すみません、いつも生意気で。

 

ま、資材協議会のたち上げまで行ったことで、

今回は素直に拍手を送らせていただくこととします。 敬意をもって。

 

最後は、大潟村・花咲農園の戸澤藤彦に力づくで引きずられ、 

寒風に身を刺されながら、どっかの酒場の片隅に流れる。

リフレッシュ研修 ・・・ な一日のはずだったのだが ・・・爽やかには終われず。

なんでこうなるんだろう、いつもいつも。

 


Comment:

研修会出たかったです!(笑)
リフレッシュ研修という名前がそもそもいけなかったのでは?(^_^;)
大地の懇親会が爽やかな感じなんて・・に、似合わない。
いつもどっぷりディープな感じで、それがまたいいんじゃないでしょうか。結構好きです。(*^^)v

夢のようなお話、けっこう興味あります。
私の住んでいるところ(埼玉県富士見市)にも、たくさんの耕作放棄地があります。

これらを無償で、もしくは格安で借りられるしくみがあれば、近所の市民がたとえばですが、飼料米を植えて、その分卵をもらえるとか、なにかそういう仕組みが出来るんじゃないかと思うんですよね。

でも、流通コストがやっぱりネックかもですね。作った米をどうやって運ぶか、卵を運ぶにもコストがかかる。
ここがクリアーされれば、何か出来そうなんですが。
戎谷さん!頑張ってくださいませ〜。


from "てん" at 2011年2月 8日 20:34

てんさん
いつもありがとうございます。現実にはたくさんの壁がありますが、夢や構想は捨てずに持ち続けていれば、ある日突然ひらめいたりして、一歩前に進めることもあったりします。生産者が頑張っている以上、こちらも諦めるワケにはいかないので、「何かいい知恵はないかぁ〜」と日々格闘しながら生きていく所存であります。

from "戎谷徹也" at 2011年2月15日 20:27

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