2011年2月 5日

どこよりも美しいフクシマに

 

2月3日(木)、今年の産地新年会ロードも最終回となる。

福島県下生産者合同での新年会。

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福島県の合同新年会は初めての開催である。

浜通り・中通りから豪雪の会津まで、10の生産者グループ+1メーカーが

磐梯熱海温泉に集う。

 

第一回の幹事を引き受けてくれたのは、

福島市の米の一大生産団体 「やまろく米出荷協議会」 さん。 

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挨拶される会長の加藤和雄さん。 

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やまろく米出荷協議会も、大地さんとお付き合いするなかで、

ただ農薬を減らすだけでなく、環境全体に配慮した農業を考えるまでになってきた。

こうして福島県内の生産者が一堂に会して横のつながりができることは、実に喜ばしい。

そんな思いで幹事を引き受けさせていただいた次第です。

ちょうど福島の真ん中でもあり、私たち自慢の温泉でもある磐梯熱海で

会場を設定させていただきました。

いい湯にも浸かってもらって、有意義な交流になりますよう。

・・・ なかなか心憎い配慮。

 

一回目ということもあって、ゲストは用意せず、

藤田会長の話をしっかりやってもらって、参加者の自己紹介に時間を取った。

写真のチョイスに気を使うのも面倒なので、ちょっと長いけど、

以下、福島を担う生産者リレートークで、どうぞ!

 


トップバッターは若者から。

喜多方市山都町・「あいづ耕人会たべらんしょ」 の小川未明(みはる) さん。  

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新規就農者や研修生たちの野菜セットを出すようになって3年。

主要メンバーは5人。 野菜セット自体はまだ少ないけど、若者たちにとっては

貴重な共同作業であり情報交換の場になっている。

新規就農者も少しずつ増えてきて、地域とのつながりも深まっている。

今年はとにかく雪が多く、新しく建てた小屋が押し潰されそうです。

お父さんは昨年、山崎農業賞を受賞 された光さん。

山都の畑は息子に託して、耕作を頼まれた西会津の農地に出張っているようである。

 

次は、福島では最も古くからのお付き合いである 「福島わかば会」。

新しく会長になられた丹治昭治さんが代表挨拶。

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現在のメンバーは33名。

きゅうり栽培では名人と謳われた故・佐藤円冶さん (元大地を守る会理事)

によって結成されて30余年。 円冶さんの栽培技術は島本微生物農法という。

丹治さんはその伝統を継承すべく頑張っている。

「より美味しくて安全な野菜づくり」 をモットーに、

県下ではいち早くトマトのホルモン処理をやめてハチを導入した。

きゅうりでは10年前から天敵の活用に取り組んでいる。

 

福島有機倶楽部の阿部拓(ひらく) さん。

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浜通りのいわき市から双葉町にまたがる5軒の農家で、3年前に設立した。

すべて有機JASを取得し、パプリカ・春菊・そら豆などを栽培する。

農業技術はまだまだと謙遜しつつ、研修生を育てて独立させていきたいと抱負を語る。

大地を守る会と付き合って有り難いと思うことは、有機農業推進室という部署があって、

いろんな貴重な情報をもらえることだ、なんて嬉しいことを言ってくれる。

 

続いて、二本松有機農業研究会。

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メンバーは13人ほどだが、研究会の歴史は35年。

「大地さんと一緒です。 日本有機農業研究会の大会でよくお会いしましたね。」

メンバーの方と個人的なお付き合いがあったが、会との取引に発展したのは昨年から。

10年前から有機JASを取得し、

きゅうり・なす・いんげん・山菜・縮みホウレンソウなどを栽培する。

 

二本松からもう一組、羽山園芸組合さん。 

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4名の構成員によるリンゴの生産グループ。

定期的に土壌分析をして、パソコンを使って施肥設計をする。

ミネラルと良質の堆肥が基本。

いま特に注目して活用しているのは、竹コプター!

じゃなくて、竹パウダー(竹を粉にして綿菓子のようにしたもの)。

土壌微生物の棲み家になり、土壌病害を防いでくれる力がある。

外観より味を重視し、完熟での収穫を心がけ、葉摘みを控えて糖度を上げる。

地域に合う品種の研究にも余念がない。

 

山都町の米の生産者、鈴木恒雄さん。 

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有機で10町歩の田んぼを耕す。 雪室貯蔵のコシヒカリ。

「農産物とは農の技術で生み出される未来への資源です。 農業にはポリシーが必要です。」

 - 哲学者のようだ。

TPPにひと言。

「昭和37(1962)年、自由化で最初に打撃を被ったのは林業 (木材の自由化) でした。

 今の山の荒廃はそこから始まったことを、私は今も忘れないです。」

 

改めて、やまろく米出荷協議会。

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会員はなんと115名(大地を守る会に登録された生産者会員は35名)。

有機はまだ少ないが、全体で農薬の削減を進めている。

慣行栽培の人たちを包容力で変えていくような優しさを感じさせる団体。

全体の食味も上がっている。 先日も報告した通り、岩井清さん(写真左から二人目) は

有機のコシヒカリで金賞を受賞した一生懸命の人である。

マイクを持っているのは安斉正代さん。 冬水田んぼに取り組んでいる。

 

中通りは須賀川から、ジェイラップ登場。 8名で参加。

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稲田コシヒカリの取引から始まって、17年にわたる備蓄米の取り組み、

清酒「種蒔人」 や 「大地の料理酒」 の原料米栽培、そして 「はたまるプロジェクト」 と、

関係性は着実に進化してきた。

「大地の農産物から海産物まで、すべて活かして、自給率を上げて見せたいです。」

専務の関根政一さんから力強い抱負が述べられた。

乾燥野菜の新工場は3月15日に完成予定である。

 

ゆうきの里東和ふるさとづくり協議会 (旧東和町、現二本松市) から、

事務局の斎藤知子さんが参加。 

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「道の駅 ふくしま東和」 を運営しながら、地域おこしや産直事業を展開している。

直売所は二本松市内産のものだけで売り場を作っているという。

こういう人たちがいることで、地域は活き活きしてくる。

 

最後に、大和川酒造店さん(喜多方市)。

加工メーカーを代表して参加をお願いした。 

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寛政2年創業、今年で221年目の酒造りに入っている。

社長は4年前に9代目・佐藤弥右衛門を襲名した。

地元の米や風土にこだわり続けるのが地酒屋の哲学。

身土不二こそ大事、地域の食文化を守っていきたいと、

農業生産法人を設立して、自分たちで蕎麦や各種の酒米を栽培し、

農産加工部門も立ち上げた。

 

農業生産に加工の受け皿がつながり、また地域おこしに取り組む人も加わってきて、

いよいよ福島ネットワークが強力になってきた。

県のキャッチフレーズに  " うつくしま福島 "  というのがあったが、

コピーだけじゃない、どこよりも美しい福島を、みんなの手で築いていこうじゃないか。

 - と気炎を上げる。

 

2011年新年会シリーズの最後にはこれを歌ってやると、

実は仕込んでいた曲があったのだが、つい話し込んで歌いそびれてしまった。

ジュリー(沢田研二) の、「我が窮状」ってやつ。

しょうがないので、温泉につかって一人口ずさんで、終わりにした。

 

  麗しの国 日本に生まれ 誇りも感じているが

  忌まわしい時代に 遡るのは 賢明じゃない ~

  

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          (長野県佐久市、JA佐久浅間臼田有機米部会代表、

                        川妻千将さんの昨年の田んぼ)

 

  英霊の涙に変えて 授かった宝だ

  この窮状 救うために 声なき声よ 集え

  我が窮状 守りきれたら 残す未来 輝くよ 

 

みんなで、どこよりも美しいふるさとを残すために、つながり、競おう。

それが僕らのたたかいでもある。

 


Comment:

戎谷さん、福島の新年会の熱さが漂ってきます。大地とともに、やってこられた面々や新しいお仲間の面々。『うつくしま福島」、少し前のJRのキャンペーンのコピーだったな。エビちゃんの「我が窮状」聞きたかったです。のぐち

from "のぐちきょうこ" at 2011年2月 9日 22:25

のぐちさん
県じゃなくてJRのコピーでしたか。勘違いしてました。「我が窮状」−密かに仕込みましたよ。でもジュリー・ファンの野口さんの前で歌えるほどではありません。ま、酔うとどこでもやっちゃいますが。また今度。

from "戎谷徹也" at 2011年2月15日 19:59

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