2011年3月 5日

「食の記憶」 が伝える豊かさ ~ だいち交流会 から

 

大地を守る東京集会の1日目、

2月26日(土) に開かれた 「だいち交流会」 の模様もアップしておきたい。 

この日は首都圏13の会場に分散して生産者と消費者の交流が行なわれ、

僕は墨田区・錦糸町の会場に参加した。

こちらの会場を準備してくれたのは、会員が主体となって運営する 「だいちサークル」

のひとつ、Fuwatto の方々である。

 

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こちらで設定されたテーマは、

「日本縦断? 地域の食べ方み~つけた。」

 昔ながらの食べもの、各地の郷土料理、我が家自慢のおススメ料理、

 私だけの 〇〇 な組み合わせ、つくる人特権の味、

 今日はどんなメニューが並ぶかな。

 さあ、みんなで 「食の旅」 に出かけよう。 オー!

 

-というわけで、参加者は少人数で各テーブルを囲み、

与えられたテーマ (お題) に沿って思い描いた答えを紙に記入し、発表する。

お題は3つで、変わるたびにメンバーが入れ替わりながら、進められる。

 

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最初のテーマは 「我が家のおススメ料理、各地域のふるさとの味」。

ふたつめは 「大至急!3分でごはん。あなたならどうする !? 」。

みっつめは 「忘れられない味」。

みんな悩んだり、照れたりしながらも、面白がって書いている。

 

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自分の書いた食材を発表するうちに、雰囲気が自然と和んでくる。

しかも出てきた答えは、見事にそれそれの地域の食文化を反映している。

消費者の場合は、ふるさとの味、である。

「ああ、なるほど」 から 「なにそれ?」 まで。

 


いま思えば、ちゃんとメモしておけばよかったと後悔するほど、

なかなかにその人の素性というかDNAを、見事に表現していたような気がする。

 

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「ふるさとの味」 は、特定の食材であったり、郷土料理だったり、母の秘伝の味だったり。 

「3分でごはん」 では、おにぎりにも微妙な味つけや具材に違いが見える。

納豆が随所に登場するかと思えば、

たとえば僕のように、「忘れられない味」 は、四国から上京して初めて食べた納豆である。

関東の人間は腐ったもん食っとる・・・・・あの驚愕の体験。

連合軍捕虜にゴボウを食べさせた廉(かど) で戦犯に処せられた話など

比ではないと思ったくらいだ。

しかしこの糸を引く怪しい食べものは、腐敗ではなく 「醗酵」 なのだという。

ニッポンは広い! ワシはまだな~んも知らんのんちゃうか、という衝撃。

龍馬もきっと同じ体験をして、世界に目を開いたのだと、僕は今でも秘かに信じている。

 

ま、そんな個人的な体験はどうでもいいとして、

「食」 とは、かくも人間を表現する。 ただ生きるために必要なものだが、

それだけに互いを知る上での格好のコミュニケーション素材なのかもしれないし、

であるからこそ 「食」 は人をつなげるのだろう。

ブリア・サヴァランの 『美味礼賛』 だったっけ。

 - あなたが何を食べているのかを言ってみたまえ。 あなたが何者かを言ってみよう。

記憶が曖昧で、スミマセン。

 

「生産者」 と 「消費者」 という枠組みに捉われず、

テーブルを回りながら、キーワードに沿って自己紹介し、

私の 「食風景」 を語り合い、相手を理解する。

初めて会った水産関係の生産者を、「〇〇丼の人」 として記憶に留めたりして。

こういうのもあり、か。 自分にまとわりついている固定観念を少し反省する。

 

会の最後に、「頑固な野良の会」(茨城) の阿部豊さんに、歌で締めてもらう。

 

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大企業勤めを捨て、有機農業の世界に飛び込んでもう20年以上になったね。

農作業のなかで作ったのであろうオリジナル曲に加えて、

サッチモ(ルイ・アームストロング) の 「WHAT  A  WONDERFUL  WORLD」

を自分流に訳したという一曲を披露してくれた。 

 

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もっと時間がほしかった、とみんな思ったことでしょう。

アットホームな、素敵な交流会でした。

Fuwatto の皆さんに感謝、です。

 

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他でも12ヵ所で、

それぞれに趣向を凝らした楽しい交流が繰り広げられたことと思う。

あとは楽しく飲む、も欠かさずに。

 

この地区別交流会も始めて28年。

気がつけば、当時生まれた世代が仕切るまでになっている。

伝統というのは継続のなかで育まれながら、

かつ静かに変化もしているのだった。

 



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