2011年4月14日

今年の合い言葉は 「希望の米」 でいこう

 

余震が治まらない。

しかも福島がずっと揺れ続けている。 もういい加減にしてくれと叫びたくなる。

 

遅まきながら、そんな福島・中通りにある須賀川のジェイラップさん

(生産団体名は 「稲田稲作研究会」 ) に、

救援物資を持ってお見舞いに伺った際の写真をアップしておきたい。

 

3月31日(木)、2トン車をレンタルして、

復旧したばかりの東北道を突っ走ること約3時間。

白河を越えたあたりから急に、高速道路が田舎道みたいになっていて、

亀裂や段差が連続的に発生している。

周りを見れば、損壊したり屋根にシートが掛けられている家屋がいっぱいあって、

相当な地震だったことがうかがわれる。

 

持参した物資は水とお茶、職員のカンパで買った少しの日用品と食べ物。

そして会員の方々から寄せられた義援金から、お見舞い金を用意させていただいた。

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写真中央が関根政一専務、右が伊藤大輔さん(左は農産チーム・須佐武美)。

 

ここ須賀川は新聞等でも報道された通り、藤沼湖という農業用水用ダムが決壊し

何人かの方が亡くなられている。 

崩壊した家屋も多く、ライフラインもしばらく大混乱したようだ。

「水は本当に有り難い。 小さなお子さんのいるメンバーに早速分けてあげたいです。」

「こうやって来ていただいて、水まで持ってきてくれて、ホント、元気が出ます!」

こちらが恐縮して言葉も出ないくらいに感謝されてしまった。

もう一パレット分くらい持ってこれればよかったんだけど、

なかなか確保できなくて・・・と深謝する。

 

被害第一報で、壊れたとお知らせしてしまった備蓄米の貯蔵タンクは

間違いなく無事、を確認。 

まったくビクともせず、頼もしいかぎりである。

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実はタンク以上に心配していた太陽熱乾燥設備も、なんと 「損傷なし」。

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これが壊れていたら・・・ ちょっと想像したくない。

 


損傷が大きかったのは、実は精米ラインだった。

機械が相当に踊って、要所要所のパイプがはずれたりした。 

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メンテナンス会社の人たちが4日間泊まり込んで復旧させた話は、

すでに紹介した通り。

修理に入って一週間で一部配送再開にこぎつけた力技には、本当に感謝したい。

 

さて、こちらが噂の  " はたまる " (畑まるごと乾燥野菜) 用に

新たに建設した乾燥設備の建物。 本邦初公開!

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完成したばかりで地震に見舞われたが、傷一つなく立ってくれていた。

「できたばっかりでねぇ、まだ何も働いてないのに、、、これがやられたら、

 さすがに気持ちも折れたでしょうねえ。 立ち直れなかったかも」

と関根さんは、胸をなでおろしながら語る。

 

機械設備が搬入されてなかったことも幸いした。

高価な機械が入った状態だったら・・・ これまた想像したくない。

なんたってオリジナル仕様の機械がズラリ、

パウダーにする製粉機もそこらへんのものじゃないレベル。

計画より若干遅れ気味だったのが結果オーライとなった。

設備の詳細は、いずれちゃんとご紹介させていただきたい。

 

備蓄米に乾燥野菜。 

僕らがジェイラップと一緒に進化させてきたこれらの取り組みは、

震災など非常時にこそ最も力を発揮するものだ。

本来なら、ともに胸を張って自慢し、働きを見せたいところだが、

原発事故の暗い影が心を晴れなくさせている。

須賀川では、有機農家の自殺者も出ている。

 

「辛い日々ですけど、前を向いて進むしかないっすね。 やることはやりますよ。」

代表の伊藤俊彦さんの言葉は、自身にも言い聞かせているようだった。

やることはやる。

米づくりの準備も敢然と始めた。 今やらないと秋が見えなくなる。 

種籾の温湯消毒。 

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2週間遅れのスタートだけど、田植えの頃には

1週間から10日遅れくらいには挽回する計画である。

ダムが潰れて水が確保できない田んぼもある。

不安は尽きないが、やれることはすべてやって天命を待つ。 

気合い入れてやります。

会員の方々にも、

" 皆さんのおかげで元気になれます。 稲田は頑張っている。

  ゼッタイにいい米を、今年も作って見せます! " と、伝えてほしい。

 

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事務所は約半分ほどが地盤とともに傾いてしまっているのだが、

その中で彼ら彼女たちは明るく仕事に精を出していた。

希望を持って明日に立ち向かうその姿は、僕らにも勇気を与えてくれる。

関根さんと約束した。

今年の米づくりの合い言葉は、「希望の米」 にしよう。

秋に歓びを分かち合うことを誓って、お互いに前に進もう。

 

様々なイベントが中止になる中で、

千葉・山武で毎年開催している 「大地を守る会の稲作体験」 は

実施を決めて募集に入った。

 

私たちは食べることをやめることはできない。

生産者も 「こういう年だからこそやってほしい」 と願っている。

千葉でも、みんなの輪と力で 「希望の米」 を収穫するのだ。

 

帰りの道々で眺めた爪痕はまだ生々しく、写真を撮るのもはばかられたのだが、

常松義憲さんが地震直後に撮影したものをDVDに焼いて渡してくれたので、

何枚かピックアップさせていただく。

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もっとひどく地割れした果樹園もあった。

 

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一日も早い復旧を願ってます。

 


Comment:

がんばれ!大地を守る会!!
ここがふんばりどころですね。

from "てん" at 2011年4月15日 22:31

集合写真ください!
某編集担当

from "YU" at 2011年4月17日 10:40

てんさん
ありがとうございます。
踏ん張りどころなんですけど、長丁場にもなると覚悟を決めてます。引き続き応援お願いいたします。

YU殿
誰からだろうと思っていたら……身内だったのね。
この欄で何気に原稿を催促するのはやめていただきたい。
書くよ、書きますよ。書きゃいいんでしょ。

from "戎谷徹也" at 2011年4月18日 18:38

3・11後、大地のいち早い行動力にカンゲキしました。
東北地方の生産者の様子を知るにつけ、涙したり、こちらが励まされたりしています。

それにしても、一向に先の見えない原発事故。
私たちの大切な備蓄米と田んぼの今後が心配です。

from "Yoko" at 2011年4月27日 19:25

Yoko 様
温かい言葉を、有り難うございます。心配は尽きませんね。ただ常に最善をつくし、判断を誤らないこと、という思いだけは生産者と語り合ってます。これからも見守っていただけると嬉しいです。よろしくお願いします。

from "戎谷徹也" at 2011年4月28日 16:01

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