2011年8月 3日

いつか孫に褒めてもらえる仕事をしたい

 

7月23日のレポートを書いている間にも、そしてその後も、

日々めまぐるしく動きはあるのであって、

もうこんな日記の調子ではとてもついてゆけない。

でも、どうにもスタイルを変えられないでいる。

つらいつらいと言いながら、まだこだわりが残っているか。。。

ま、取り急ぎ、この間の行動を振り返ってみよう。

 

7月26日(火)、東京・竹橋で開催された

「2011夏期学校給食学習会」 の模様を覗かせていただく。

「全国学校給食を考える会」 と 「東京都学校給食栄養士協議会」 の主催で、

毎年夏休み期間に、全国から栄養士さんや調理師さん、教員が集まって

開かれている学習会である。

 

今年は 「震災・津波・原発事故後の学校給食を考える」 というテーマで、

講演や実践の報告会、そして意見交換会が展開された。

 

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僕がこの学習会に久しぶりに (10年ぶりくらいか) 参加することになったのは、

3名の方の報告を聞くためであったが、最後に行なわれた意見交換会では、

実に重たい話が語られていた。

 

福島の方からの報告。

人の転出・転入が続いていて、学校は今も落ち着かない状況である。

福島県では来年は教員採用がなくなったそうだ。

給食現場では、放射能 「検出せず」 の野菜を選択したいが、

自主的な判断はできない。

子どもの被曝検査は県内でできず、県外の病院に頼んだが断られた。

みんな風評被害を恐れていて、

余計なことはするなという雰囲気になっている。

 

そんなつらい空気を吹き飛ばすかのような発言をしたのが、

ジェイラップ (稲田稲作研究会/福島県須賀川市) の伊藤俊彦さんだ。

 


「安全」 を語るには科学的根拠が必要になっている。

徹底的に現状を調査して、必要な除染対策を立て、前に進みたい。

目標があれば頑張れる。

幸い大地を守る会から高精度の測定機を貸し出してくれることになったので、

できることなら全部の田んぼと米を測りたい。

自分の子供に食べさせたくないものは、消費者にも届けたくない。

「こういう人が作ったものなら安心だ」 と言われたいし、

いつか孫に褒めてもらえるような仕事をしたい。

今の現実から、新しい、福島ならではのイノベーションを起こしたい。

 

今年の 「大地を守る会の備蓄米」 は、

こんな伊藤さんの思いがぎっしり詰まったものになる。

食べてほしいなぁ、たくさんの人に。

 

続いて、千葉・さんぶ野菜ネットワークの下山久信さん。

この日は 「食と農の再生会議」 事務局長の肩書で登場。

 

将来を見据えながら、この3年で15人の新規就農者を育てた。

しかし、これから秋冬の作付が始まる中で、

取引先から計画の20~30%減という販売予測が伝えられてきている。 

このままでは希望を持って就農した若者たちもやっていけなくなる。

いま野菜を測ってもほとんどND (検出せず) なのだが、

降った放射能は土壌には残っている。

我々も、ポイントを決めて、毎月土壌検査を始めている。

 

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茨城県八郷町(現石岡市) から来られた 「提携米研究会」 代表、橋本明子さん。

23年前に東京から移り住み、仲間とともに地域の有機農業を育ててきた。

原発事故は自分にとって、そんなこれまでの時間をすべて呑み込んだ大津波だった。

深い絶望で農作業ができなくなった。

それでも食べてくれる人の励ましと、若者たちの農業継続の意思に勇気づけられた。

この先、放射能汚染がどうなっていくのか、何も分かってないが、

みんなの力を信じてやっていこうと、ようやく心が定まってきた。

健康なくして教育はあるでしょうか。

子どもたちの健康を守る学校給食を、どうか築いていっていただきたい。

 

切実な現場報告に、全国から集まってきた栄養士さんたちも

最後まで真剣な面持ちで意見交換が行なわれていた。 

 

すでに私たちは地球が汚染されてしまった時代にいて、

ある種の覚悟が求められている。

福島だけが当事者ではない。 

原発は各地にあり、老朽化が進んでいるのだ。

みんなの力で、原発は止めるしかない。

子どもたちの未来のために、それぞれの現場で、やれることを進めましょう。

 


Comment:

そうですね。まず、自分達にできるところで動くことですよね。

電力が足りないなら、太陽光発電で、すこしでも、電力不足を解消して、原発に頼らない電力供給に貢献したいと、すぐに、自宅に太陽光発電を載せることにしました。
まるで借金なので10年ちょっと返済にかかりますが、気持ち的にはとても楽になりました。
載せられる所には出来るだけ乗せれば、少なくとも、お日様が出ているときには電気は作れます。
こんなことしか出来ないですが、まずは、足りない電気をできるだけ作って、原発に堂々と反対してやろうと思っています!
あとは、市民ファンドなどがもっと充実してきて、風力発電や、波の力の発電なんかも利用できるようになるといいですね!

from "てん" at 2011年8月10日 21:50

これからは“脱原発”の意思表示だけでなく、暮らしの提案も大切になってきますね。地球の降り注ぐ太陽エネルギーの1万分の1の活用−をクリエイティブにイメージしながら、提案につなげていきたいです。

from "戎谷徹也" at 2011年8月25日 09:39

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