2011年11月12日

ベトナム-その凄まじい現実に立ち向かう女たち

 

11日、北ベトナムの土に漉き込まれることなく、無事帰還しました。

少し仮眠を取って都内での会議に出席し、夜は新しい事業戦略部の飲み会に合流。

でもって今日は、5日分のメールにため息をついている始末。

ベトナム熱を早く冷まさなければ・・・ と思いながら、

気がつくと頭の中で再現されてたりして。 この体験、さてどう整理しようか。

 

憧れのベトナムは、喧騒とジレンマに満ちた国だった。

全開の欲望、ギラギラした個人主義が突っ走っているような街と、

静かに矛盾を深めつつある農村。

 

首都ハノイの街は、まるで無政府状態のようだった。

バイクと車が朝から晩までクラクションを鳴らしあいながら、

日々のたたかいを繰り広げている。

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一方でハノイから100数十キロ離れた農村部には、

時間が止まったような光景が残っている。

 

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こんなのどかな山村で、農薬の問題を話さなければならないというのは、

実に罪な世の中だと思う。

 

今回、訪越の機会を与えてくれたのは

 「Seed to Table」 という日本のNPO団体。

代表の伊能まゆさんは元JVC (日本国際ボランティアセンター) のスタッフで、

2年前にベトナムでの環境保全型地域開発を支援するためにNPOを設立された。

その活動のなかで、伊能さんはいよいよ

有機農業で都市と農村をつなげるステップに入ろうと、

今回のワークショップを企画されたようだ。

 

ハノイから西北約120kmに位置するホアビン省タンラック郡の

3つの村と郡の人民委員会(行政機関) を回って、

日本での有機農産物流通の発展事例として大地を守る会の話をしろ、というミッション。

しかもこれは、

「有機農産物の品質・生産技術の向上および市場アクセスの改善を通じた

 小規模農家の生計改善事業」 という、

ちゃんとした外務省の助成によるプログラムである。

 


「キックオフ・ワークショップ」 と銘打たれて、

ナムソン村 - ディックザオ村 - フーヴィン村 と巡回する人使いの荒い行程。

日本からは、京都で有機農業を営む長沢源一さんと僕の二人だったが、

カンボジアから、有機農業の支援とネットワーク作りを展開しているCEDACという団体の

ダルンさんという若者と農家のティブさんという女性が参加された。

他にタイからも来られる予定だったが、洪水の影響で断念されたとのこと。

 

各村に建てられた公民館(?) はどれもステレオタイプだ。

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ワークショップでは、まず村の偉い人からの挨拶があり、

続いて伊能さんが今回の意義を伝える。

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ベトナムで広がる経済格差。

開発による農地収用で職を失う農家。

生産コスト増で借金を膨らませる農家。

物価は上昇しても農産物価格は低いままである。

都市化と工業化の進行、旱魃や洪水の多発化、森林の減少と土壌流出。

化学肥料と農薬への依存が強まる一方で病虫害は増加するという悪循環が進行している。

 

都市では大気や生活用水の汚染が進んでいる。

食の欧米化と 「顔の見えない農産物」。

そんななかで、健康志向と食の安全を求める声が高まってきている。

 

地域の自然を守り、安全な食べもの生産・持続的農業を拡げ、

都市の消費者とつながることで、環境を壊さず食糧確保と生計向上を図る。

そのために協力できることがある。

 

なかなかに力強いプレゼンである。

この主旨に沿って、日本での事例を語れということなのね。

 

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各村とも参加者は圧倒的に女性が多く、しかも熱心に聞いてくれる。

ベトナムは女が強い(実はどこもなんだけど) と聞いていたが、これは本当だ。

手前の、缶コーヒーのBOSSの宣伝に出てきそうなお父さんより

ずっと頼もしく感じられた。

 

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じゃあ、一丁やったろか、と気合も入る。

すみません、今日はここまで。 続く。

 



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