2011年11月20日

六本木ヒルズで 「放射能と向き合う」

 

まったく広報はいろんな依頼を受けてくる。

日曜日がまた潰れてしまったではないか。。。

 

本日の指令は、「午後3時半、六本木ヒルズに直行せよ!」

六本木ヒルズ!!! オイラなんかの行く場所ではないと思っていた。

大地を守る会の六本木事務所からも近いのだが、

前を通ることはあっても、足を踏み入れたことがない。

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地下鉄通路を上がれば、いきなりこんな感じ。

迷ってしまわないか不安で早く出たら、30分前に着いてしまった。

 

六本木ヒルズ森タワー 2F 「ヒルズカフェ」。 

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ここで17日より 「企業と環境展」 というのが開催されていて、本日が最終日。

主催は、港区内で様々な環境問題に取り組む事業者で構成する

「みなと環境にやさしい事業者連合」。

六本木に事務所がある関係で、大地を守る会も加盟している。

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 その最後のプログラムが、これ。 

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アースデイダイアログ 「放射能と向き合う未来の食卓」。 

ゲストが、お互いに 「変わった名字ですね」 と言い合う3名。

吉度(よしど) さん、親跡(ちかあと) さん、戎谷(えびすだに) さん。

 

" むかし兄弟、いまライバル "  の 『らでぃっしゅぼーや』 さんと席を並べての

食と放射能鼎談。

親跡さんは取締役ながら 「放射能対策チームリーダー」。

僕、「特命担当」。

お久しぶりの挨拶もそこそこに、何の因果かね、と新しい名刺を交換し合う。

 


トークセッションの前に、 

らでぃっしゅぼーや・潮田和也氏とヤスヨさんのユニット 

 " ドライドボニート " (カツオ節という意味だとか) による夕暮れライブ。

 

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プロのギタリストなのに、らでぃっしゅ さんに籍を置いて、

楽しそうに農家を回っている、憎たらしいヤツ (嫉妬丸出しか)。

ま、今日は ヤスヨさんの美しい歌声もあって、しばし癒してもらいました。

 

さて、トーク風景。 

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話はいきなり食品の放射能基準から始まった。

親跡さんが、消費者の強い要望もあって自主基準値(50Bq) を設定した説明をすれば、

僕は、生協も含めた4団体で統一基準を作ってみようと動いていることを報告。

これは正確には、「4団体の」 共通基準を作ろうとしているのではない。

「あるべき公的基準」 を我々サイドからも考え、社会に提示しよう、というものだ。

放射能に関しては、流通の中で基準が乱立するような世界はよろしくない。

ちゃんと生産者にも消費者にも信頼される統一基準が必要だと思うのである。

基準値の低さで競争してしまうと、かえって不安を煽る結果にもなりかねない。

 

大事なのは実態(測定結果) の情報公開であること。

基準値を設定しても、測定情報が開示されなかったら、

基準が担保されていることにはならない。

逆に測定情報をよくよく見れば、現在の食品の放射能汚染がどの水準にあるか、

ほぼほぼ掴めるまでになってきている。

(50という基準値は、実態を見た上での設定でもあろうと思う。)

50Bq(ベクレル) を基準にする団体のほうが100Bqの団体より安全性が高い、

というような話ではないので、実態を把握することに努めましょう。

 

実態を知るには、できるだけたくさんの入荷物を測定する必要がある。

しかも信頼に足る方法でやらなければならない。

それは実にコストのかかる話である。

そこはどの団体も、今もって苦労しているところだ。

ゲルマニウム半導体検出器1台、ガンマ線スペクトロメータ5台 (1台は福島・ジェイラップに)

という当社の体制は、なかなか誇れるものだと思っている。

(自力で揃えられたわけではないので、そこはふまえておくとして-)

 

放射能に安全を線引きできる 「しきい値」 はない。

これが我々が取っている立場である。

だとすると、「これ以下は安全」 と言える数値は軽々には設定できない。

かといってお手上げして、野放図に何でも流通させていいわけではない。

どこかで線引きが必要になる。

過去の調査データや科学的知見、食生活バランス等をもとに一定のラインを設定し、

物理学者・武谷三男さんが唱えた 「がまん量」 のような考え方をもって

整理するしか、今は方法がないように思われる。

数値が落ち着いてきている今のうちに、できるだけの知見を集めて、考えてみたい。

それまでは、実態を見て、それぞれの価値観で判断してもらうしかない。

特定の作物以外はほとんど 「不検出」 レベルになってきてるし。

 

僕が今回、基準の問題以上に強調したかったことは、前にも書いたけど、

「放射能対策には、放射能だけ見てはダメ」 ということ。

人間の体には、放射能によって多少ダメージを受けても、

遺伝子を修復する力が備わっている。

その免疫力を高めるには、できるだけ他の化学物質の影響も考慮して、

バランスの取れた 「よい食事」 をとることが何よりも基本なのである。

放射能対策は総合力でいきましょう。

気になる場合は、よく洗う・皮をむく・茹でる (セシウムは水に溶けやすい)・・・

ま、調理や食べ方については、

マクロビオティックの料理家である吉度さんに聞いてください。

 

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そして、もうひとつ。

世界の人口が70億を突破し、食料問題や環境問題が切迫してくる中、

未来世代のためにも 「この国土を守る」、という強い意識が必要だと思っていること。

そのために 生産者と消費者が対立することなく、 共同で守り合う世界を育てたい。

それは、除染を含めて食品への移行(汚染) を必死で食い止めようとしている生産者を、

「食べる」 という行為を通じて 支援してほしいこと。

もちろん子どもには配慮が必要だけど、

(数字を見た上で) 「大人はしっかり食べよう」、と訴えたいです。

未来への責任において。 

 

自分の話ばっかりでスミマセン。

前に座っていたもんで、ちゃんと話を書き留めてなく・・・

吉度さんが最後にまとめてくれた。

強く、生きましょう! 

この記憶に尽きる。

 

終わった後、今宵は 六本木農園 で一献。 

吉度さんを横目に、親跡さんと銘酒 「五人娘」 をクイクイと飲みまくってしまった。

 



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