2012年1月アーカイブ

2012年1月27日

復幸の光

 

1月7日付の日記で、被災地支援用 紅白モチにご登場いただきました。

読み返せば恥ずかしいおバカなブログですが、

送り届けた岩手・宮城の方からお礼の言葉が届いたので

(メールは東京サポートの方からですが)、

転載させていただきます。

 

大地を守る会 ●●●●● さま

いつもお世話になり、ありがとうございます。

東北復興支援団体 祈望 東京サポート本部の佐々木です。

 

昨年に引き続き、今週も大変お世話になりありがとうございました。

被災地3ヵ所のたくさんの方々から、

食品の支援を再開してくださった大地を守る会と担当の皆様に

 「ありがとうございます」 と御礼を伝えてほしいと言われました。

本当にありがとうございました!

 

今週の加工品が3ヵ所に到着して、ありがたく分配いたしました。

このたびもたくさんのご支援をいただきまして、ありがとうございました。

久々のご支援に町内の皆さんは大変喜んでいらっしゃったそうです。

先の見えない不安ななか、美味しいソーセージ、納豆、お豆腐、

どれもどれも有り難くて涙を流す方々もいらっしゃったそうです。

 

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あと、昨年末のお餅のご支援もありがとうございました。

3地区とも大好評で、もったいないからと冷凍して、少しずつ頂いているそうです。

ニンジン嫌いの子供たちはニンジンの味が濃厚なので食べにくかったようですが、

ニンジン好きには美味しくて大好評だったそうです。

震災でたくさんの方々が亡くなられたので

お正月はできませんでしたが、餅を食べ力をつけ皆様から元気をもらい

この冬を乗り越えようと頑張っているそうです。

 

お餅の写真と、今週の加工品のお写真をいただいたので、送信します。

 

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昨年は震災直後の年でしたので、たくさんの方々が炊き出しやイベントなど

被災地で復興の太鼓や踊りや歌などが催されましたが、

被災地の方々からすると、実際のところ

「食べられる」 「食べられること」 「仕事を得る」 ことにつながらないので、

全国の皆さんからのお気持ちは有り難いけれど、複雑な心境のようです。

新聞やTVではどんどん復興しているように報道されていますが、

本当は被災地の1割にも満たないごく一例でしかないのだそうです。

 

漁業関係のがれき撤去もほぼ終了したため、がれき撤去の仕事もなくなり、

女性も男性も内職をしていますが、

被災地に内職仕事をということで、ミサンガ等をつくってはいるものの

1日2千円前後の収入にしかならないので、生きていくのがとても大変だと

おっしゃっていました。

沿岸部から1時間くらいバスで行った所に、電子部品の工場が再開したので

そこに勤めに行く方もいますが、交通費やガソリン代もかさむので通勤が大変で

収入から通勤費を引くとほとんど残らないらしいですが、

これも何もしないよりは、ということで、頑張っていらっしゃるそうですが、

なかなか生活再建するには厳しい状況です。

 

地元の商店のために、仮設店舗の場所が決まったそうですが、

5坪で家賃5万円かかるらしく、なかなか入店できる店舗が集まらず

11月でオープン予定がまだ先になるという状況で、

せめて最初の1年位は家賃無料にしていただければ、5万円で人を雇えるのに、

と地元の方々が町の商工会と交渉しているのだそうです。

 

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沿岸部はさらに地盤沈下で、いまだに埋め立てが進んでいないこともあり、

昨日の大潮で国道45号線沿いがみるみる海水が流れ込んできて、

満潮時は危険な地域になります。

今まで商店街がたくさんあった場所が、今は海の中になってしまいました。

お店を出すにも場所がなく、補助金の申請も通らずで、

地元の商店は事業を再開できずに苦しんでいるそうです。

蓄えも底を尽きる寸前なので、なんとか早くよい場所を見つけて再開したいそうです。

 

北上町の 「復幸の光」 と国道45号線の冠水風景も添付します。

 

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一日も早く、皆様からのご支援におこたえできるように

あらゆる面で参っているのですが、

皆で力を合わせて頑張ります、とおっしゃっていました。

 

今後ともどうぞよろしくお願いします。 

 

東北復興支援団体 祈望 佐々木千香子

(岩手県) 大槌町:土沢孝弘

(宮城県) 雄勝町:大槻敏也

             北上町:武山英明

 

これは、大地を守る会の 「震災復興支援基金」 にご協力いただいた

会員の皆様への手紙でもありますので、

ここに感謝とともに共有させていただきます。

 

お餅をきっかけにニンジン好きになってくれればよかったのですが、

ニンジン嫌いには濃厚すぎたようです。

 

それにしても、道のりはまだ遠いのか、もっと良い手はないのか・・・

考えさせられます。

 



2012年1月25日

「共同テーブル」 会議にNHK入る。

 

23日(月) は、昼間の予定をすべて変更して、

東京大学医学部のある先生を訪ねた。

「食品と放射能問題 検討共同テーブル」 で進めている

専門家へのヒアリング依頼に対して、

「この時間なら」 というピンポイントでの空き時間が告げられ、

3団体の方々にも声をかけて、本郷まで出向いたのだった。

遠方からの訪問をお断りした O さん。

逆にお気遣いまでしていただき、申し訳ありませんでした。 

 

先生は食品安全委員会での規制値の検討に関係したお立場もあり、

「ヒアリング内容は了解なしには公開しない」 という前提をもってお願いしたもので、

したがって今ここでお名前と内容をお伝えすることは控えたい。

いずれ 「共同テーブル」 として取りまとめるであろう報告には、

何らかの形で反映されることになると思う。

 

そして昨日(24日) は、その 「共同テーブル」 の会議が開かれた。

厚労省の新しい 「基準値(案)」 に対する

共同テーブルとしての 「提言」 をまとめる作業を行なったのだが、

この会議にNHKさんがカメラを持って乗り込んできた。

(当然、了解済みでのことだけど。)

 

カメラが回るなかで、「提言」 文案を読み上げながら意見交換し、

加筆訂正を行ない、段々と仕上げてゆく。

途中からカメラを意識することもなくなって、何とか粗々、あと一歩のところまで詰める。

残った修正箇所を数日中に仕上げ、各団体で確認・合意して、

厚労省に提出することになる。

 

会議後、NHKのカメラを前に各団体のメンバーが立って並び、

インタビューを受ける。

少々緊張しながらいくつかの質問に応えて、

インタビュー後、記者さんから 「バッチリです。 さすがですね」 とか褒めていただき、

気をよくして終了。 したのだったが、、、

昨夜のニュースではインタビューはカットされて流されたようだ。 

(夜8時45分からの首都圏ニュースで取り上げられたが、僕は見ていない。)

ムカつく!

 

本日、「録画見ますか?」 と広報担当が聞いてくる。

うっせぇよ! 見ないよ! (あれぇ、いじけてる? ちっちゃいね~)

 

でもビルのお掃除のおばちゃんが、「テレビ出てましたね~」 と声をかけてくれて、

テレながら、ちょっと気を取り直す。 単純ですなァ、まっこと。

 

4団体の方々、力及ばずで申し訳ありませんでした。

「提言」 発表まで、あと一歩ですね。

よろしくお願いしま~す。

 



2012年1月22日

放射能対策を振り返る -くらしから原発を考える講座

 

「原発事故さえなかったら、、、、、

 この10ヶ月、皆さんも何度となく口にしたのではないでしょうか。」

 

原発事故さえなかったら-

正月の祝杯は復興の二文字で湧き上がったことだろう。

絆を確かめ、決意を語り合い、前進する力強い東北の姿が現出していたはずだ。

この国の株だって上がったに違いない。

原発事故による経済損失は、まったくはかり知れない。。。

 

昨日は、大地を守る会専門委員会 「原発とめよう会」主催による

『第73回 くらしから原発を考える講座』 が開かれた。

テーマは、「原発はいらない! 大地を守る会の放射能汚染への取り組み」。

まずは、 3.11以降の

大地を守る会の取り組み概要の振り返りから始めたい。

 - てことで、お鉢が回ってくる。

 

そこで、はからずも出た第一声が、冒頭のセリフである。

 

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会場は池袋にある 「豊島区生活産業プラザ (エコとしま)」 の会議室。 

参加者およそ50名強といったところか。

 


3.11以降の大混乱から今に至る様々な取り組みを、

かけた思いとともに報告させていただく。

 

その1: 実態をできるだけ正確に把握すること (測定体制の構築と強化)。

その2: 生産者との作付についての話し合い。

     予定数量の販売は困難であることを告げて回る。、

     " 風評被害 "  と言われながら生産と消費が分断されていくことをどう防ぐか、

     この模索は今も続いている。

その3: 測定結果の情報公開。 これにも覚悟が必要だったこと。

その4: 生産地の除染対策支援。 国もできないような成果を達成したこと。

     (しかし、くまなくフォローできたわけではない反省も深くある。)

その5: 基準 (流通上の規制値) の検討。

     他団体とともに基準のあり方を検討する 「共同テーブル」 を結成したこと。

     流通者としての規範を示したいと思っていること。

 

それぞれにけっこう苦悩があった。 20分じゃ語りきれない。

すべてが未経験領域で、思い返せば後悔や反省はたくさんあるが、

大きな針路としては間違わずには来れたと思う。

上の1から5は、順番のようでありながら、

どれもがつながっていて、今も課題を抱えながら回っている。

 

続いて、CSR推進本部事務局長の吉田和生が、

東北での震災復興支援の経過を、現地の写真を交えながら報告する。

漁が再建されても、放射能の問題が横たわっている。。。

腹立つね、ほんま腹立つわ。

 

そして、今回のゲスト。

福島県須賀川市・ジェイラップ (稲田稲作研究会) の伊藤俊彦さんから、

「大地を守る会の備蓄米」 産地として取り組んだ対策と成果を語っていただく。

 

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年末に 伊藤さんの手紙 を紹介させてもらったけれど、

本当によくやったと思う。

稲田稲作研究会の田んぼ一枚一枚の状態を確かめ、手を打ち、

結果を徹底的に検証する。 

土壌-稲体-モミ-玄米-白米-ごはん(炊飯した状態) の移行までトレースする。

そんな計画も、玄米で出なかったらトレースしようがないじゃない、

という笑い話も出るほどの結果となって、

来年はさらに 「すべてをゼロ(検出限界値以下) にできる」 という確信が、

メンバー全員に生まれた。

 

須賀川の田園地帯に転々と数値が書き込まれたMAPを見れば、

これは地域全体を生き返らせる力にもなることが実感できる。

次のプランが見えてくる。

 

県も国も唸った、2011年でしか取れなかった記録。

何とか残すことができたね。

7月に思い切って測定器を送ったことも、誇りに思えてくる。

復活の貴重な財産目録として、胸を張りたい。

はからずも会場から、「民間でできるじゃない、で終わらせられないか心配だ」

といった声まで上がった。

ま、こっちも批判したりけなしたりで終わらせられないし、

国はどうか分からないけど、県は必死だから、

県全体の取り組みに向けての提言を発していきたいと思う。

イノベーションはすでに始まっているのだ!

 

質疑応答風景。

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(左から、吉田和生、伊藤俊彦、戎谷徹也/撮影:青木文雄)

 

まだまだやれてないことも多く、不備も課題もたくさん残っている。

指摘を受け止めながら、改善々々、そして創造へ。

 

最後にしつこくマイクを奪って、ひと言。

「肝心なことは、すべての原因の大元を絶つことです。」

 

春にはすべての原発がいったん止まる。

やれる、できる、ことを見せなければなりません。

3.11の前に止めてやれなかった悔しさを一つにして、

頑張りましょう!

 



2012年1月20日

放射能と栄養

 

厚生労働省が発表した 「食品中の放射性物質に係る基準値の設定(案)」

に対する 「共同テーブル」 としての見解をまとめる作業を進めているところで、

一冊の小冊子が届いた。

 

『チェルノブイリ:放射能と栄養』

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これは放射線医学総合研究所の元内部被ばく評価室長、白石久二雄さんが

翻訳して自費出版された、いわゆる私家版である。

 

白石さんは食品学の専門家であり、

かつ放医研で内部被ばくの問題を長く研究してこられたという、

日本では稀有な 「食品による内部被ばく」 の専門研究者である。

チェルノブイリ原発事故後、ウクライナにも足を運び、

「ウクライナ医科学アカデミー放射線医学研究センター」 と共同研究を続けてきた。

 

昨年3月をもって退官され郷里・四国に戻られたのだが、

福島原発事故のせいで今やあちこちから引っ張りだこの状態らしい。

現役時代には縮小されつつあった研究が、退官直後から引く手あまた、

とは実に皮肉な話である。

 

上記の小冊子は、

国際赤十字社と赤新月社連盟の支援により1994年に発行され、

ウクライナの汚染地域に住む人々に無料で配布されたものである。

放射線とは何か、から始まり、生物と人への放射線作用、

汚染地域の住民の栄養状況などの解説、そして

食品の基本的成分と栄養素としての役割、濃度を減らす加工法や調理法などが、

専門知識のない住民にも分かるように苦心して書かれている。

 


放射性物質の摂取を少しでも減らすための前処理や調理法については、

すでにいろんな解説本も出ているし、白石さんも別な著書で書かれていることだが、

あえてこの小冊子の送付を白石さんに申し込んだのは、

事故から6年後 に、専門家たちが専門用語をほどきながら、

食事法や栄養についての解説を住民に無料配布したという、

その空気に触れてみたいと思ったからだった。

 

ここで書かれている結論の一つは、

缶詰や輸入食品に偏ることなく、栄養バランスのとれた食事を

規則正しく摂ることの大切さである。

そこで汚染の影響をできるだけ避けるための処理や調理法も具体的に書かれる。

たとえばこんなふうに。

 

「 住民の一部は牛乳や乳製品、野菜、果物、いちごの摂取を自ら制限し、

 遠方より導入された缶詰食品、一級や最高級の精製小麦粉から焼き上げた白パン、

 (中略) 等々を摂取しています。 すべてこれらは事故以前にはあり得なかった

 悪い食生活を促進しているのですが、健康な食生活を行なっていると

 思い違いをしているのです。」

「 粗挽き粉から作ったパンの中に含まれている穀類のふすまはビタミンB群、

 マグネシウム、カリウム、繊維に富んでおり、

 我々にとても良い満腹感を与えることができると共に、すでに述べましたが、

 胆汁分泌と正常な糞便の形成と排泄を助けます。

 その過程において若干ですが、消化器官において、

 放射性物質の吸収を抑えることになるのです。」

 

「 環境が放射能汚染された状況下において栄養素のビタミンが不足すると、

 電離放射線に対する生体の安定性が低下することになります。

 ビタミンは放射を受けて急激に生じたフリーラジカルを不活性化したり、

 油脂の過酸化物の生成反応を止める作用があります。」

「 ビタミンD不足はカリウムや燐酸塩不足を生体内に起こし、

 これが放射性ストロンチウムの生体内への吸収、沈着効果を促すようになります。」

 

要は、体がカリウム不足になればセシウムをつかみにゆき、

カルシウム不足になればストロンチウムの吸収を促進してしまう。

植物や土壌対策と同じである。

必須の微量元素をしっかり摂るためには、いろんな食べものをバランスよく食べること。

放射線被ばくによって怖いのはガンだけでなく、

むしろ免疫力低下による様々な病気である。

健全な食事で打ち勝とう、と励ましているのだ。

 

もう食品の放射性物質の濃度はかなり減ってきているのだから、

今さら読む必要はない?

そうだろうか。

正しい食こそが健康を守る。 

それを支える環境がいかに大事なものか、学びすぎて損をすることは決してない。

これは日常の指南書でもある。

自力で翻訳して出版された白石さんの意思にも敬意を表したい。

 

白石久二雄さんは、

「食品と放射能問題 検討共同テーブル」 の、次のヒアリング候補である。

目下、交渉中。

 



2012年1月19日

シンポジウムのご案内

 

ご案内。

2月18日(土)、朝日新聞主催によるシンポジウム

「放射能と向き合う (食品と安全)」 が開催され、パネラーとして参加します。

会場は、東京・浜離宮朝日ホール。

参加費は無料で、申し込みはホームページから。 先着360名まで、とのことです。 

 ⇒ http://www.asahi.com/shimbun/sympo/

 



2012年1月15日

哀しい、農の始め

 

くそッ、俺としたことが、、、久しぶりに風邪を引いてしまった。

咳とくしゃみが治まらず少々熱っぽい。

 

昨日は楽しみにしていた横浜パシフィコでの脱原発世界会議はパスして、

厚労省が出した放射性物質の新基準値案に対する、

共同テーブルとしての声明文案の作成を進めることにした。

4団体での合意に持っていかないといけないので時間はかかるが、

24日までに仕上げる、というゴールラインを決めてある。

ぐじゅぐじゅとパソコンに張り付く、情けない週末。

 

新聞をめくれば、昨日の脱原発世界会議の開会式で、

福島から避難してきている小学生が壇上に立ったことが紹介されている。

彼は訴えている。

「国の偉い人たちに聞きたい。 大切なものは命ですが。 それともお金ですか。」

こんなことを子どもに言わせてしまう社会を、僕らはつくってしまったのか。

悔しい。。。

 

机の上には、NPO福島県有機農業ネットワーク理事長で二本松市在住の

菅野正寿(すげの・せいじ) さんから届いた賀状がある。

『農(の) の始め 』 と題した詩が書かれている。

 

  山に木を植えることが、略奪の文明と対峙する道と

  山の神はいう

  春の柔らかな土に種を蒔くことが

  暴走した科学に対峙する道と

  田の神はいう

  原子の鬼を土のふところに 塊として埋葬する技を

  自然の治癒力として耕す

  耕す農の営みは 花を咲かせ実を結び

  彩りが里山をつつみ

  老いも若きも おだやかな顔をあらわす

  未来永劫へと続く農の道は 美しい国への道しるべ

  山の神 田の神が降りてきて

  共に五穀豊穣の酒宴をする 農の始め  (2012.1.2)

 

実は、菅野さんからは、年末に悲痛なメッセージが

関係者に向け発せられている。

 


「年の瀬にあたり、ふくしま有機ネットからの訴え」

 3.11大震災・原発事故に揺れた2011年の年末にあたり、

 この1年の温かいご支援、ご協力に心から感謝を申し上げます。

 

 年の瀬のこのときに、

 伊達市(霊山町) のイチゴ農家、二本松市(東和町) のりんご農家が

 自ら命を絶ちました。 もうこれ以上農民から犠牲者を出さないでください。

 福島県の米は農協の倉庫に業者の倉庫にそして農家の納屋に

 生き場をなくして年を越す状況にあります。

 

 とくに消費者との産直で取り組んできた有機米、減農薬米の生産者の

 「これでは年を越せない」 との悲痛な声に耳をかたむけてください。

 

 すでに報道されているように、検査の結果100ベクレル以下は95% (不検出は85%)

 であり、基準値を超えたのは0.3%です。

 もちろん検査し、不検出の米のみの支援をお願いするものです。

 出荷停止となっている伊達市小国地区などの地域は特異な例であり、

 それをもって福島県産米が否定されることは悲しくてなりません。

 セシウムの米への移行が極力少ないことが検証され、

 来年の米づくりに光が見えてきているこのときに、

 この希望の芽に心を寄せてください。

 責任は東電にあり、農民を責めることができるでしょうか。

 

 原発のない新しい次代を創るために今こそ、

 都市と農村の新しい関係を構築していくこと、

 私たち農民も農の営みを続けて、

 さらに安全安心はふくしまを再生していくことを約束して、

 緊急に米のご支援を訴えさせていただきます。

 2011年12月30日

 

大地を守る会としても、ジェイラップややまろく米出荷協議会など、

契約産地の米を販売するのに一杯々々という状況にあり、

菅野さんのネットワークの米まではどうにも手が回らない。

「産直とはなんだったのか・・・」 の声が、つらすぎる。

 

他からもいろんな依頼が舞い込んでくるが、我々にも限界があって、

応えられないことは多い。

 

鼻水すすりながら考え込む日曜日。

あれこれ考えあぐねても、答えは 「王道でいくしかない」。

粘り強く徹底的に対策を進め、

有機農業の力によって 「ふくしま復活宣言!」 までもっていくことだ。

そのプログラムを持とう。

 

ああ、こういう時は、思いきって横浜パシフィコにでも

出かけたほうがよかったかもしれない。

 



2012年1月12日

魚食文化の再興を誓う

 

今日は久しぶりに丸の内の話題で書く予定だったのだが、

その前に、おさかな喰楽部新年会の報告を終わらせなければ。

 

さて、ウエカツさんに続いて、次なる登場人物はこの人。

鮮魚の達人協会 」 理事長・山根博信さん。

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1961年、和歌山の漁師町に生まれる。

家の水産物仲卸業を継ぐも、魚には興味がなかった。

「継いだのは、トラックの運転ができるから」(笑)。

しかし26歳で結婚してから、考えるようになった。

自分はただ運んでいるだけで、魚を見ていなかったことに気づく。

そう思って市場を眺め始めると、魚の流通が変わってきていることに気づき、

このままではいけないと思うようになる。

 

浜ではたくさんの魚種が揚がるが、値がつかないものがたくさんある。

市場で値がつかない、動かない魚を売ってお金にして漁師に還元する必要を感じ、

2005年、鮮魚の達人協会を設立する。

 

鮮魚の達人協会。

卸業者や仲買業者など、魚を見極める専門家たちのあつまり。

漁業者と家庭を結び、美味しい魚を提供する。

旬の魚、美味しい魚を取り入れた健康的な生活を応援する。

魚についての知識や魚食文化の普及に努める。

海洋環境や地球環境の保全に努める。

 

今や漁業者は、魚の目利きだけでなく海洋環境まで目配りしなければならなくなった。

生きにくい時代になってしまったもんだ。

 


山根さんはハチマキ締めて百貨店の店にも立つ。

どんな魚でも、その特徴を伝え、食べ方を教え、味見させれば、絶対に売れる。

 - それが山根さんの信条である。

 

協会が認定した 「鮮魚の達人」 が、今は全国に50人余り。

その人たちをネットワークしながら、

美味い魚をちゃんと食わせる流通の新しい仕掛けを模索している。

彼らの被災地支援は、三陸の魚をしっかりと流通させること。

大阪でフェアなどを展開している。

 

ウエカツさんや山根さんとのつながりのなかで生まれたのが、

人気の 「大地を守る会の もったいナイ魚」 シリーズである。

さらにいろんな悪だくみ、いやもとい、熱い企画が検討されている。 

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左からウエカツさん、山根さん、弊社 「おさかな喰楽部」 担当・吉田和生。

この3人が並んで歩いていたら・・・ やっぱ人は避けて通るか。 

でも、思い切って目を合わせてみれば、分かる。 優しい男たちなのだ。

 

3人が語る。

山根さんのような人がいれば、売れない魚はない。

しかし、いない。

スーパーのバイヤーでも知識を持っている人は多いのだが、

売れるための工夫につながっていない。

たとえばサバは今が一番脂が乗っている時期だが、

スーパーの店頭には一年中あって、夏に塩焼きにしたって本当の美味いサバではない。

でも知らせていないから、いい消費に結びついてない。

いったん離れた消費者を取り戻すのは大変なことなのに。

サンマ一本70円なんて安すぎる! と言い張ろう。

もう一度、魚の旨みのるつぼに消費者を引きずり込む必要がある。。。。。

 

最後に指名されて登場したのが、モデルの Lie (ライ) さん。

魚を、海を愛するタレントやモデルさんたちで 「ウギャル」 を立ち上げる。

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 魚(ウオ) と海(ウミ) の ウ と ギャル をくっつけて、ウギャル。

ホームページを見てほしい (上の 「ウギャル」 をクリック)。

ニホンの食文化、海への感謝、若者の健康促進、魚食文化の発展を目指します

と堂々と宣言している。

Lie さんの特技は、魚をさばくこと。

復興支援にも積極的に動いている。

 

ウエカツさんの言う 「新しい芽吹き」 は、あるのである。

期待したい、などと他人事のように言っている場合ではない。

オジサンも頑張ってくれなくちゃ ♥ 、て言われてんのよ。

頑張らないわけにいかないっしょうよ、おっさん!

 

放射能の議論もあったが、これは簡単な道のりではない。

ただ、ゼッタイに海を見捨てるワケにはいかない、のである。

僕としては、獲る人が諦めない限り、彼らとともに歩きたいと思う。

僕にだって、漁村に育った矜持(きょうじ) は、残っている。

 

皆と飲んで歌って、帰ってから、

久しぶりに出刃包丁と刺身包丁を取り出して、研いだりして。。。

もっとも困難な時代にあって、魚食文化の再興を、誓う。

 



2012年1月11日

楽しく Re-Fish! 新年おさかな勉強会

 

1月8日、日曜日。 千葉県浦安市。

法事や宴会・仕出しなどで利用される料亭 「浦安 功徳林」 の御座敷。

ここにいかにも魚屋って感じの手荒そうな、いやもとい、たくましい男たちと、

お魚大好きという会員さんたちが集まった。

 

専門委員会 「おさかな喰楽部」 主催による新年勉強会。

「水産庁のウエカツさん、鮮魚の達人・山根さんと楽しく Re-Fish!」

知る人ぞ知る、分かる人は分かる、分からない人には何のことか分からない、

けど何やら楽しげなタイトル。

 

水産庁のウエカツさん。 本名、上田勝彦。

島根県出雲市出身。 長崎大学を出て漁師になって、

その後水産庁に引っ張られたという異色の経歴。

魚の伝道師とも呼ばれ、

NHKの朝番組 「あさイチ」 にため口で登場してからブレイクしちゃったとか。 

現在の正式の所属・肩書は、水産庁増殖推進部研究指導課、情報技術企画官。

「 ひと言でいえば、資源管理ですわ。

 逆に言えば、魚をどうやって売っていくか、でもある。」

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" なぜ私たちは、魚を食べ、漁業を守らなければならないのか " 

以下、伝道師・ウエカツが一気にまくしたてる。

 


魚離れが言われて30年。

消費量は減り続け、

魚をよく食べる年齢も戦後の年齢構成の変化とともに上昇を続け、

今は50代以上になってしまっている。

寿司屋に人は入っているではないか、と言われるかもしれないが、

それは魚が嗜好品になってきているということである。

学校給食でも魚が出ることはない。 

 

では、魚離れがなぜ問題なのか。

人の食習慣や食文化は、本来、地理的な環境要因によって規定されている。

日本は狭い国土だと言われたりするが、

海岸線の距離はどれくらいか知ってますか。 米国より長いんです。

( エビ注・・・約3万4千㎞。 約3万㎞というデータもあるが、いずれにしても世界第6位。

 米国の1.5倍以上、中国の2倍以上。 ロシアは第4位の長さだが、

 北極海は冬に凍結する。 水が循環する海岸線ではロシアより長い。)

 

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日本は世界有数の海岸線大国、然るべくして海洋国家なのである。

狭い面積でたくさんの人口を養ってきた力は海洋、つまり魚食である。

(エビとしては、「水田稲作」 も追加したい。

 ちなみに面積は世界第61位。人口は世界第10位。)

健全な魚食を維持することが、国民を養う上でもっとも合理的な方法なのである。

 

生物の世界には食物ピラミッドというのがある。

ヒトはその頂点に立っていると思っている方もおられようが、実は違う。

ヒトは下位の生物から上位の大型生物まで食べている動物である。

つまりピラミッドを崩さない食べ方をすることで安定する、それが人間なのだ。

この社会を持続可能にするためには、

食物ピラミッドを維持させながら食べることが大切になる。

 

したがって日本人は、魚食文化を維持することこそが賢明な選択となる。

魚食の崩壊は、祖国存亡の危機だっつうの!

 

魚は長く無主物として扱われてきた。

(エビ注・・・「無主物」=持ち主がいない。

 最近の活用事例では、降ってしまった放射性物質は 「無主物」 だから返されても困るし、

 金を払う義務もない、という電力会社の主張があった。)

つまり、獲った者勝ちだったわけだ。

しかしだんだんと、人類共有の財産という考え方になってきている。

みんなで守らないといけない時代になっているワケです。

 

そこでこう思うのである。

生産者というのは、食べる人 (消費者) の代行者である。

代行して獲る。 と同時に、代行者として、絶やさないという責任も負う。

だからこそ消費者は、買って食べて生産を支える、そんな関係にある。

その生産と消費のバランスを調整するために、加工や流通の使命がある。

 

昨年の勉強会で、俺はこう言った。

「今年を魚食復興元年にしよう! Re-Fish! でいこう」 と。

( Re-Fish  ・・・魚の復興とか魚食に帰ろう、といった意味合い。)

しかし3.11を経験してきた今、

今年のテーマは 「原点回帰!」、これだね。  以上。

 

いやいや、実に歯切れがよい。

しかもウエカツさんの水産資源管理と魚食文化論は、

「資源」 という概念の本質まで突いてきているように思えた。

そもそも 「日本は資源のない国」 という論は、

昭和初期の、軍が強力になって外に侵出するのと機を一にして出てきた主張だと

最近知らされた次第である (佐藤仁著 『 「持たざる国」 の資源論』 より)。

その意識は今だ根強く、この国は国土や環境(資源の土台) を

荒らしまくりながら、裸の自由貿易へと走ろうとしている。

一方で、エネルギー資源の発想はドラスティックに変わろうとしているのだ。

このテーマ、たっぷりと議論する必要がある。

 

続いて、もっと強面(こわもて) なお父さんが登場するのだが、

本編続く、でごめんなさい。

 



2012年1月 9日

脱原発世界会議2012

 

たまにはお気楽なのでも、と思って

正月気分の、能天気な日記をアップしてしまいました。

しかも正確に直しておきたいところがあります。

「当社謹製-人参粉末を使った紅白餅」 をお送りしたのは、

岩手県大槌町と宮城県石巻市北上町、同市雄勝町の三ヵ所でした。

合計約1100パック。 喜んでもらえたなら嬉しいです。

 

気を引き締め直して、ご案内を一つ。

今週末、14~15日の二日間にわたって脱原発の大きなイベントがあります。

「脱原発世界会議2012 YOKOHAMA」

福島の現実を見つめ、原子力からの脱却を世界に発信する国際市民会議。

ドイツ、フランス、デンマーク、米国、ロシア、ヨルダン、マーシャル諸島、オーストラリアなど、

20カ国100名以上の専門家や実践家が来日します。

 

開会イベントでは、飯田哲也さん(環境エネルギー政策研究所)、

佐藤栄佐久さん(前福島県知事)、レベッカ・ハルムス欧州議員(ドイツ) の講演のほか、

日本が原発を輸出しようとしているヨルダンの国会議員も発言します。

 

100におよぶセッションでは、国内外から集まったゲストたちが、

原発や自然エネルギーに関する主要な論点を取り上げ、行動を提言します。

また「首長会議」と題する特別セッションが開催され、

地方自治体の市長らが原発に頼らない地域づくりを論じます。

会議の模様はインターネットで国内外に中継されます。

 

参加するアーティストも多彩。映画上映あり、ポスター展あり、

各地・各団体・海外からの 「もちこみ企画」 あり、子供向けプログラムあり(託児所もあり)、

子どもから専門家まで、誰でも参加できる世界会議です。

世界の経験と知恵を集め、新しいアクションを生み出す、

熱気溢れる会議となることでしょう。

 

場所はパシフィコ横浜。

前売りチケットは、http://npfree.jp/ticket.html 。 僕はローソンで買いました。

 

大地を守る会も協賛しているものですが、運営はかなり厳しい様子で、

来れない方でもカンパでチケット購入いただけると嬉しい!

と事務局からの伝言です。

 

僕はたぶん万博見物みたいにウロウロしていると思います。

遭遇したらぜひ声をかけてください。

では。

 



2012年1月 7日

紅白餅占い

 

皆様、お正月はお餅をたくさん召し上がられたでしょうか。

今はおいしい食材がたくさんあるので、餅の消費も減っているのでしょうか。

でも、正月に餅は欠かせませんね。

 

さて、これはなんでしょう。

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左は玄米餅。 いえいえ、何をおっしゃる。

一回限りで、しかも地域限定となった、当社オリジナル謹製-紅白餅です。

産地で少々余ってしまった長人参 (栽培期間中農薬不使用) を引き取って、

ジェイラップでパウダーにしてもらって、紅色を期待して使ってみたところ、

こんな色合いになっちゃいました。

お口の中でほんのり人参の香りがして、お正月らしい気分に、、、

なるかどうかは分かりませんが。

 

この 「紅白餅」 は、震災復興基金から被災地向け用に作ったもので、

岩手の仮設住宅でお正月を迎えられた方々に送らせていただきました。

ヘンな餅やわぁ、人参の香りがするわ、紅ゆうには無理があるんちゃうか、

人参も無農薬やて・・・ とかかんとか (関西弁ではないでしょうが)

すこしでも団欒のお役に立てたなら嬉しかとです。

 

では、この餅を使って、正月恒例の餅占いを。

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さあ、焼けてきました。 人参餅のほうが火の回りが速いですねぇ。

オオーッ! 紅が差してきたではないか。 何と神々しい。

しかも、おやおや、、、どうしましたか?

 

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ううむ、これは、いったい何という神の思し召しだ。

裏返したら、何とこれまた・・・おお、マイ・ゴッド!

 

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今年は、欲張った上昇志向ではなく、横のつながりを大切にすることが吉、

と出ました。

愛ですね、愛。

 

なお、これはエビちゃんではなく、岩手に行くはずがサンプルで抜かれてしまった

神聖な餅様がそう言っているのであって、

ワタクシは一切の責任を負うものではありませんので、お間違いなく。

 

お屠蘇気分で書いた与太話で、捨てようかと思ったけど、

アップさせていただきました。

さあ、元気出して、いきましょう!

 



2012年1月 6日

菅谷昭・松本市長を訪ねる

 

年を越してしまったけど、

長野県松本市の菅谷昭(すげのや・あきら) 市長を訪ねた報告をしておきたい。

 

昨年12月22日(木)、

我々 「食品と放射能問題検討共同テーブル」 一行 4名

(カタログハウス、生活クラブ生協、パルシステム生協、大地を守る会) は、

朝7時新宿発の 「特急スーパーあずさ1号」 に乗りこみ、松本に向かった。

5分ほど遅れて9時45分、松本駅到着。

面会は10時の約束なので、タクシーに乗り合わせ松本市役所に走る。

市役所で、福島・須賀川から車で突っ走ってきた伊藤俊彦さんと合流。

 

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市長のスケジュールで見つけたのか、

地元のケーブルテレビが待ち構えていた。

 

菅谷昭さん。

甲状腺疾患の治療を専門とする医師で、

1996年から5年半にわたってベラルーシ共和国に住み、

小児甲状腺ガンの医療活動を続けられた方である。

帰国後、長野県衛生部長を経て、2004年に松本市長に就任。

昨年は内閣府の食品安全委員会に招致された専門委員の一人として

内部被曝の重大さを指摘された。

福島県からの避難者の受け入れも積極的に行なっている。

 

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今回のヒアリングでは、内部被曝のとらえ方や今後の影響予測、

有効な食品対策への考え方などについて話をうかがった。

 


菅谷さんはまず、我々にことわりの言葉を述べた。

「自分は放射線の研究者でもなければ、食品の専門家でもない。

 一人の医師であり、今は自治体の首長でもある。

 理想を言うのは簡単だが、厳しい現実のなかで生産者も市民も守らなければならない

 立場にあることを、どうかご理解いただきたい。」

 

了解です。 そういう方の話を聞きたくて来たのです。

 

菅谷さんは、福島第1原発事故による影響を軽く見てはいけないと警告する。

チェルノブイリ原発事故と比較しても、線量の高い地域はある。

そういうところに子どもや妊婦が住んでいる。

除染といってもそう簡単なことではない。

いたずらに安心させようとせず、危険なところには 「住んではいけない」 ということも

政府は明確に言う必要があるのではないか、と。

 

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<以下、菅谷さんの談> 

長期にわたる低線量の内部被曝によって何が起こるか、ということは

実はまだよく分かっていないんです。

だからといって想定する被害を軽く考えてはいけない。

体内に入った放射性物質は代謝によって排出されてゆくが、

一方で、軽度でも被曝し続ければ蓄積されていくことになります。

その影響が科学的に解明されてない以上、我々はチェルノブイリから学ぶしかない。

チェルノブイリは私たちの25年先を進んでいるのです。

  

子どもの甲状腺ガンはチェルノブイリの事故後から徐々に増え始め、

5年後から突然増加し、10年後にピークに達しています。

被害を防ぐには症状から分析するしかなく、

だからこそ長期的な観察体制が必要であり、

放射線量の高い地域であれば一定期間線量の低い地域への移動も考えるべきでしょう。

 

長期の低線量被曝の影響はガンだけではありません。

ベラルーシの医師からの報告では、免疫機能の低下による症状が増加しています。

風邪を引きやすい、しかも長引いたりぶり返したりする。

造血力の低下で貧血を起こしやすくなったり、

異常に疲れやすくなったり (長崎で発生したぶらぶら病のような症状か・・・)、

消化器系の疾患や先天性障害も増えてます。

 

ただ2~3倍増えただけでは、因果関係を証明したことにならない。

25年経っても結論が出ない、チェルノブイリは今も 「進行形」 なんです。

 

子どもを放射能の被害から守るために提唱していることは、

「規則正しい生活」 と、

ビタミン、ミネラル(鉄分など) をちゃんと摂る 「栄養バランスのとれた食事」 です。

食物繊維とペクチンは排出を促進する上で有効です。  

 (寒天とリンゴがよい。 でもペクチンは過剰に摂ると他の栄養素も排出してしまう。)

私は皆さんに、「ガンより、それ以外の病気を心配してください」 と言ってます。

 

このような悲しい事故が発生した以上、

放射能対策は理想論だけではいかなくなってしまいました。

現実的な対策として、ある期間までは15歳で区切って、

15歳未満の子どもについてはリスクのある食品の摂取をできるだけ避ける。

子どもを出産する可能性がある女性も同様。

しかし、大人には 「基準値未満なら食べてください」 とお願いしています。

現実には食べるしかありませんから。

<談、以上>

 

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松本市では、 学校給食で使用する食材の放射能検査を独自に実施している。

サーベイメーターなので限界はあるようだが、それでも数値を公開することで

市民の安心感にはつながっているようだ。

以前より地産地消を基本としてきたことで、卸し業者も理解して気を使ってくれるらしい。

やはり普段の関係性は大切である。

 

最後に、暫定規制値の見直し案に対する見解を尋ねた。 

やはり 「食品は専門ではないので・・・」 とことわりつつ、

これが現実的にしょうがないレベルか、という印象を持っているようであった。

4分類については何とも言えないが、

乳幼児の数値を設定できたことは良かった、と評価されていた。

 

子どもたちの治療にあたってきたお医者さんということもあって、

物腰の柔らかい誠実な姿勢が伝わってくる方だった。

今の時代に、市民の健康に気を配り、予防原則も忘れない首長の存在は、

市民にとってはとても安心感を抱かせることであるだろうと思った。

 

我々の専門家行脚は、まだ続く。

 



2012年1月 4日

" 希望の復興 " を始めよう

 

皆様、明けましておめでとうございます。

本年が皆さまにとって  " 希望 "  を実感できる一年になりますよう

祈念して、仕事を再開します。

 

歴史はかなり大きな激動のステージに突入しています。

しかし目の前の動きは今だ道標(しるべ) を求めさ迷う龍のようでもあり、

3.11後を経験したにもかかわらず、

さらに奈落に向かっている危うさすら感じさせます。

必要な変化なら勇敢に立ち向かいたいものです。

 

春にはすべての原発が停止します。

2012年を、正真正銘の 「脱原発元年」 にしたい。

新しいエネルギーの構想は色々と提示されているのに、

「現実的ではない」 とか 「説得力がない」 とか 「コストが合わない」 とか

「温暖化が進む」 とか、否定する人たちがまだ厳然と存在します。

しかも流れを潰そうとするから困ったもんです。

しかし、もはや老朽化してきた原発に 「安全保証」 を預けるわけにはいかないし、

手に負えない有害ゴミを排出し続ける未熟な技術に優位性がないことも、

すでに明らかです。

次世代技術を切り開く者にこそ光は当てられる。

そんな時代に入っていることを確認して、エンジンを加速させましょう。

 

有機農業の力を信じるワタクシとしては、

「この星の生命体を支えるエネルギーの根源は、太陽と植物の光合成である」

から出発したい。

石炭や石油だって、

もとは太陽エネルギーを変換させて増殖した太古の生命体の化石だし。

 

しかもそもそも、エネルギーとは電気だけではない。

生命活動を支える力を、

たとえばアジア・モンスーンに暮らす人々は、

一粒の種が1生命サイクルで1500~2000粒に増殖する湿生植物=稲(米)

との共存技術を進化させることによって獲得してきた。

その共存システムをできるだけ安全で

永遠に持続可能なかたちで育むのが有機農業である。

 

しかも、この一年でどうやら見えてきた世界は、

厄介な放射性物質をがっちりとつかみ、生命循環系への拡散を防ぐ力は

土壌のキレート力にあり、それを安定的に支えるものこそ

生物多様性という土台世界なのではないだろうか、ということである。

 

放射能リスクから自己を防衛するために必要なことは、

" 逃げる・避ける "  だけではない。

免疫力強化のためにも、有機農業は貢献する。

逃げて別なリスクを摂取しては、元も子もないしね。

土を守る、その力を回復させる、無駄にしない (荒れさせない)、

新しいエネルギーを生む基盤にもする、

その力を 3.11以前よりも強固にする。

これこそ 復興 というものではないか。

そのためにも、生産と消費の流れの再建が必須である。

 

「流通者とは、価値のネットワーカーでなければならない」

なんて偉そうに喋ってきたツケから逃げるワケにいかなくなって、

いよいよもってしんどい一年が、始まった。

 



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