2012年2月 1日

厚労省「新基準値(案)」への提言

 

福島に来ています。

その報告は帰ってからとして、本日、

大地を守る会他4団体で構成する 「食品と放射能問題 検討共同テーブル」 は、

昨年12月に厚生労働省より発表された

「食品中の放射性物質に係る基準値の設定(案)」 に対し、

「提言」 を提出しましたので、その概要につき、要約して報告いたします。

原文(全文) については、大地を守る会の下記HPにてご確認ください。

→ http://www.daichi-m.co.jp/info/news/2012/0201_3405.html

 

厚生労働省

「食品中の放射性物質に係る基準値の設定()

に対する提言

 

1.原子力発電および低線量被曝に対する共同テーブルの基本的な考え方

1)原子力発電所の速やかな全面廃炉をめざすべきです

2)長期的な低線量被曝が人体に与える影響はほとんど判っていません

 

2.規制値の設定にあたって考慮すべき点

1)内部被曝と外部被曝との総量を考慮すべきです

新基準値案では外部被曝分を計算外としたが、内部被曝・外部被曝の総量が規制値を下回ることが当然であり、外部被曝の実態を考慮した内部被曝の規制が必要。

2)日本人の食文化に合わせた細かい食品群の分類が必要です

飲料水・乳児用食品・牛乳以外の食品を「一般食品」として一括したが、食品には日常的に大量に摂取する物、そうでない物があるため、例えば米のように摂取量の多い食品は厳しい規制値を設定するなど、日本人の食文化に合わせた細かい分類と規制値の設定をおこない、内部被曝を少しでも減らすべきである。

 3)規制値や食品群の分類は継続して見直していく必要があります

今回発表された新基準値案は2012年度版の規制値とし、定期的な見直しをおこなっていくべきである。

4)経過措置は設けるべきではありません

「準備期間が必要な食品には、一定の範囲で経過措置期間を設定する」とされたが、新基準値が施行された後も新基準値に適合しない食品が流通し続けることのほうが混乱を招きかねない。経過措置を設けるとしても必要最低限とし、その際は根拠および具体的な品目群を明確にし、国民に周知する必要がある。同時にきめ細かい検査の実施と、超過した場合の賠償制度が必要。

5)セシウム以外の核種の調査を拡大すべきです

ストロンチウムやプルトニウムなどについては、セシウム数値を元に算出するとされているが、存在率が一定の比率であるとの知見が少ないことなどから、計画的調査と情報公開が必要である。

 

3.規制値を担保するための調査・検査のあり方(検査機器/検査方法/公表基準など)

 1)汚染状況の調査について/放射性物質の動態の把握が必要です

市街地・田畑・山林などの土壌、湖沼・河川などの水系を広範囲に調査し、放射性物質の動態を把握して対策を講じていく必要がある。海洋については、海の潮流を考慮した魚種別の長期的な測定が必要。漁業者自身による放射能測定なども拡大していくべきである。

 2)食品の検査について/検査の標準化を図るべきです

  食品の安全性を可能な限り確保するためには、流通規制値の設定だけでなく、それが正しく流通されていることを担保するための測定体制と情報公開が必要。国や行政のほか、民間でも独自の検査が数多く行なわれているが、検査方法が不統一など非常に判りづらい状況にある。標準化を図ることが必要。

 

4.国民への説明ときめ細かな情報提供

 1)検査結果の公開について/検査結果公開の標準化を図るべきです

  検査結果の公開・表示についても標準化する必要がある。今回の新基準値案では、年齢区分を別に設けたのは乳児のみとなっているが、小児期間について十分な配慮がされているとはいえない。親が子供に与える食品を選択できるよう、検査結果のきめ細かい情報提供が不可欠であり、公開・表示についても標準化が必要。標準化にあたっては、検出数値を公開することが望ましい。検出限界値の明示も必要。

 2)暮らしに関する情報提供/放射能から身を守る生活指針を積極的に発信すべきです

放射能・放射線は、調理・食事の仕方や食生活などで影響を減らすことができるとされている。被曝から身を守るための生活指針や情報提供が、多様な専門家の知見を取り入れる形でなされることが望ましい。

 

5.今後の放射能対策の前進のために

 1)外部被曝の低減

 ・緊急の課題は外部被曝を低減させること。除染作業については国の責任において中間貯蔵施設を確保し、高濃度地域を中心に、速やかに作業をすすめなければならない。

2)第一次産業の再生に向けた政策

  食の安全のためには厳しい規制値の設定が必要だが、農業や漁業などを再生させていく政策もセットでなければならない。基準を越えてしまった地域に対する保護策・支援策が必要である。

 3)長期的な医療・検査体制について

  子どもを中心に長期的な検査体制を構築するとともに、必要に応じた対策を講じていくこと。低線量被曝に対する研究の一層の深化、予防対策に反映させていくこと。詳密な疫学的調査の継続を強く望む。

 

以上



Comment:

政治に関わっている皆さんに、もっとできることにはきちんと向き合って取り組んでいただきたい、と切に願っています。

from "てん" at 2012年2月 6日 21:12

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