2012年3月22日

釜石から

 

直前になるまで行程を定められなかったことも災いして、

岩手県釜石に向かうのに、三日前に

東北新幹線・新花巻駅でレンタカーを借りようとしたらすでに予約一杯で、

手前の北上駅でようやく軽を一台押えることができた。

今の三陸方面は平常時とは違うことを改めて思い知り、

慌てて宿もあちこち当たって、二日目は何とか

宮城県南三陸町のホテルの  " 離れの一室 "  というのを確保した。

 

建設会社によると思われる 「貸し切り」 の札がかかった宿の

" 離れ "  と呼ばれる本館裏の簡易宿舎ふう建屋の一室で、

東北出張の経過を記し始める二日目の夜。

宿代が正規の部屋と同じなのが少々納得ゆかないけど、、、

3月下旬でまだ寒い東北、部屋を用意してくれただけでも感謝すべきか。

ノムさんみたいなボヤキはやめてストーブをつけ、丹前を羽織って

大人しくパソコンに向かう。 まずは昨日の報告から。

 

3月21日(水) 朝6時半、5日間にわたる東北出張に出発。

10時41分、北上駅着。

レンタカーを借り、遠野街道に向かって走り始めたら

工事による通行止め区間にぶつかり、北に迂回したりしながら、

遠野の道の駅 「風の丘」 でCSR推進本部事務局長・吉田和生と合流。

ここで行者にんにくラーメンを食べ、午後1時半、釜石市役所に到着。

 

震災1年後の、街なかの風景。

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復興はまだ、まだである。

 

大地を守る会は、この街に設立されたNPO法人「東北復興支援機構」 に

ガンマ線スペクトロメーター1台を提供(無償貸与) した。

つながるきっかけは 「鮮魚の達人」 たちのネットワークだった。

昨年11月末に設置し、検査トレーニングなどを経て、

いよいよ4月から地元漁業者からの測定依頼を受ける体制へと進んできた。

しかも釜石市の放射能対策の方針とリンクする形となり、

市が策定した 「地域水産物の放射能測定に関する基本方針」 のなかで、

「測定調査に必要な人員の手当てを図る」 とともに、

測定結果を市のホームページで公表する、という関係に発展した。

 

そこで昨日は、

市による地元漁業者や水産加工業者向けの説明会が開催されることとなり、

合わせて放射能についての話をしてくれ、という依頼を受けての訪問となった次第。

ここでのお話は吉田が務め、僕は補佐役。

 

津波被害を免れた高台にある事務所に設置された測定器。

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生産地への貸し出しは福島県須賀川市・ジェイラップに続いて2台目。

こちらは自治体の取り組みにも貢献する形での本格スタートとなったわけで、

今後の水産物の状況把握とともに、

漁業者・事業者そして消費者の安心に貢献できるよう、

計画的に進めてゆかなければならないと思う。

 

その測定実務を担うNPO法人 「東北復興支援機構」

副理事長の三塚浩之さんに案内いただき、

大地を守る会の復興支援基金からお贈りした漁船を確認する。

 

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この船は、山形・舟形マッシュルームさんからの義援金によって調達したものである。

マッシュルーム菌舎の倒壊など甚大な被害を受けたにもかかわらず、

大地を守る会からの義援金をそっくり 「三陸の方々のために役立ててほしい」

とカンパしていただいた。

残念ながら船主の佐々木健一さんとはお会いできなかったが、

漁船登録で少々手間取っているらしい。

漁に出るようになったら、舟形マッシュさんも招いて祝いたいものだ。

 

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写真左が三塚浩之さん。

釜石発⇒復興未来行き切符 諦めない限り有効 1枚300円

なるチケット販売を企画するなどのアイデアマンでもある。 

右が吉田和生。 専門委員会 「おさかな喰楽部」 を率いる炊き出し隊長。

 

車で移動しながら眺める震災の爪あとには言葉も浮かばず、

ただため息ばかり。 

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夜は遠野まで戻って、「民宿とおの」 に泊まる。

三塚さん推薦の、隣接する古民家を移築したレストラン 「要(よう)」 で食事。

料理も素晴らしかったが、自家製ドブロクがとにかく旨かった。

民話の里・遠野にお越しの節は、ぜひ。

 

今朝は宿で吉田と別れ、僕はふたたび釜石を経由して

陸前高田~宮城県気仙沼と通過して、南三陸町へと向かう。

 

釜石湾をあとにする。

崩壊した堤防から威力を想像するも、今日の海はただただ穏やかに凪いでいる。

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湾を望む釜石大観音さま。

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たくさんの深い哀しみを抱きしめ、愛をすべての人に。

 



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