2012年3月25日アーカイブ
2012年3月25日
志津川で千葉さんを訪ねる
5日間の東北出張から帰ってきた。
この重圧から逃れたいと思いつつ、しかしそこに彼や彼女がいて、
元気で頑張ると笑ってくれる限り、僕も現実に立ち向かわなければならない。
以下、東北レポートを続けたい。
東北行二日目(3/22) は、海岸線に沿って岩手から宮城に向かって走る。
メディアで報道された街だけでなく、
通過する土地土地がどこもかしこも壊滅的だ。
取り残されたような集落が現われては消えてゆく。
僕の田舎にもよく似た小さな入江の集落には住居も人影もなく、
ただ集められた瓦礫の山がそこに暮らしがあったことを伝えている。
どこも、なんとか瓦礫がまとめられた、という感じ。
大きな街では建物がまだ悲惨な姿をとどめ、
地べたは片づいてきているものの、コンクリの土台が残っている風景は
かえって寂寞とした世の無常を感じさせる。
陸前高田の様子。
話題になった奇跡の一本松。
残念なことに地下水の高い塩分濃度によって根腐れを起こし、
すでに生存は絶望的らしい。
宮城に入り、気仙沼から南三陸へ。
唐桑 ~ 本吉 ~ 志津川 と、漁港や自然の姿を記憶にとどめながら走る。
いったい僕は何をしているんだろうという気にさせられる。
志津川の町の姿。
この町で津波で亡くなられたエリンギの生産者、故千葉幸教さん のご家族を訪ねた。
山の一角に建てられた仮設住宅で、3人は元気に暮らしていた。
お嬢ちゃんたちはそろばん塾に行っていて会えなかったけど、
「二人でそろばん塾」 と聞くと、なんか嬉しくもあった。 ガンバレーと言いたくなる。
幸教さんの遺影に線香を上げさせていただく。 優しい表情の写真だった。
奥さんの茜さんはケーキ工房で働いているとのこと。
南三陸町歌津にあるロールケーキとチュイルの店 「パティスリークリコ」 だと言う。
あれま、なんと、 " 裏の離れ " を用意してくれた南三陸町歌津の宿
「ニュー泊崎荘」 のなかにあるケーキ工房ではないか。
震災直後、冷凍庫にあった1,000本のロールケーキを被災者たちに配ったことで
" 絆 ロールケーキ " と呼ばれ評判になった。
いい職場を得たようで、よかった。
別れ際、茜さんが 「ディズニーランド は、ホントに楽しかったです」 と言ってくれた。
いい思い出になったのなら、こっちこそ嬉しい。
千葉さんのエリンギのファンだった方々、またご心配いただいた皆さん、
奥さんも娘さんも元気でしたから、ご安心ください。
仮設住宅を後にして、千葉さんの会社 「志津川アグリフード」 の建物に立ち寄る。
外観だけがそのまま残った姿に、ただ手を合わせるのみ。
つらい目に遭っても海を恨むわけではない。
やっぱり海とともに生きていきたい、と海の人は言う。
今年のワカメは豊漁のようだ。
このまま再興に進んでほしい、と願わずにいられない。
気持ちを整理しつつ、石巻に向かう。