2012年4月29日アーカイブ
2012年4月29日
全国菜の花サミット in ふくしま
いま私たちが望む復興・再生とは、単純に3.11以前に戻すことではない。
様々な反省をテコにして、新しい持続可能な社会へと転換させることだ。
そのための道筋を切り拓いていきたい。
福島・須賀川には何度も足を運んでいるけど、
田植え前のこの時期に来ることは少なかったように思う。
ましてや街の風景を眺めることなど、なかったね。
桜並木に鯉のぼりがはためく爽やかな一日。
今回はジェイラップにも寄らず、
昨日から二日間にわたって開催された大きな大会に参加することになった。
『 第12回 全国菜の花サミット in ふくしま 』
よみがえれ ほんとうの空
おきあがれ 明日への大地
~ 「菜の花プロジェクト」 と 「食の安全」、放射能に負けない福島の姿 ~
会場は、一日目(昨日) が須賀川市文化センターでシンポジウム。
二日目の今日は、福島空港ビルで3つの分科会と3コースに分かれての現地見学
というプログラムで行なわれた。
時間を調べずに向かったら、郡山から在来線への連絡がとても悪く、
やや遅れて到着してしまった (怒!)。
主催者や来賓の挨拶など開会セレモニーが行なわれていて、
何とか基調講演の開始には間に合ったようだ。
講師はドイツから招いたお二人。
放射能に負けない、未来の福島の姿を描くために、
ドイツのバイオエネルギー村の成功事例から学ぼうという設定である。
地域再生の方向性を示したいという、主催者の強いメッセージが読み取れる。
ドイツにおけるバイオマスエネルギー村の取り組み。
講師は、ゲッティンゲン大学教授、マリアンネ・カーペンシュタイン・マッハンさんと、
コンサルティング会社社長、ゲルド・パッフェンホルツさん。
チェルノブイリ原発事故をきっかけに、
再生可能エネルギーへのシフトが着実に進んできたドイツ。
2020年には再生可能エネルギーのシェアを20%に、
2050年には50%にする目標が設定されている。
福島原発事故の後には、2022年までに原子力発電を全廃することが合意された。
再生可能エネルギーには、風力・ソーラー(太陽熱)・地熱など様々な形態があるが、
現在、ドイツでのエネルギー供給量に占める再生可能エネルギーの割合は12.2%で、
うちバイオマスが8.2%だという (再生可能エネルギーの67%)。
地域の農業と共生でき、地域内で資源を調達できるバイオマス・エネルギーは、
目標達成のために、ますます重要な役割を果たすことが期待されている。
わらや腐葉土、肥料、有機性廃棄物など、たくさんのバイオマスのタイプが
エネルギー単体として使用することができる、とマリアンネさんは強調する。
地域内資源を活用し、再生可能エネルギーで100%まかなう集落
「バイオマスエネルギー村」 が誕生したのは今から10年前のこと。
ゲッティンゲン大学の科学者チームによって始められたプロジェクトは
「灯台プロジェクト」 と名づけられた。
ゲッティンゲン地域で集中的な広報活動が行なわれ、17の村が興味を示した。
それぞれの村で、すべての居住者を招待しての説明会や意見交換が行なわれ、
アンケート調査によって、実現可能性の高い4つの村が選定された。
そのなかで住民の参加意欲や諸条件(農園の態勢が整っている等) によって、
ユンデという村が最初に選ばれた。
取り組みの意義や成果が村の人たちに浸透していくために、
大学のチームと村長をはじめとする村の人々による
計画推進のための核となるチームが、村内に結成された(村民の満場一致によって)。
そこで、発電所の場所、大きさ、バイオマスに支払われる価格、熱エネルギー価格などが、
住民合意のもとで決定されていった。
そしてすべてのプロジェクト参加者が発電所の株主となった。
2005年、発電所が完成し、発電と供給が開始された。
ユンデ村での導入後、ゲッティンゲン地域で4つのバイオエネルギー村が誕生し、
ドイツ国内に波及していった。
現在では国内の68集落にまで広がりを見せているという。
初期投資にはドイツ政府の補助金もある。
このプロジェクトを成功に導いた要因として大事だと思ったのは、
地元住民の " 気づき " とともに歩む姿勢である。
マリアンネさんは語る。
民主主義社会において、人々を強制しては何の意味もなさなくなる。
農村地区のプロジェクト参加はボランティアでなければならず、
したがって灯台プロジェクトの最初の壁は、技術的なものではなくて、
社会的改新 (意識改革?) をしなければならないことであった。
バイオエネルギー村の導入によって、無数の変化が人々に起きた。
村はエネルギー供給者と受給者としての社会的役割を受け入れ、
彼ら自身のエネルギー需要に取り組むことになる。
たくさんの最先端の知識が必要で、
たくさんの新しい役割が関係者に課せられた。
そのプロセスは大学のチームによってまとめられた。
成功したコミュニティのリーダーにインタビューして成功の要因を見つけ、
整理し、他に適用させていった。
潜在的なリーダーを見つけ出すことに、村の個々人とコンタクトを作ることに、
すべての人に中立的な科学情報を提供することに、
批判を言う者に対して適切かつ丁寧にふるまうことに、
公共のメディアとの良好な関係を作ることに、
コンセプトを広めるために、お祭りや、既存のネットワークを活用して
新しいモデル資産になるものを発掘していくことに。
日本で、バイオエネルギー村は可能だろうか?
マリアンネさんの答えは明確である。
- バイオエネルギー村は、どこでも可能です。
あるいは太陽・風力・地熱とバイオマスを組み合わせた " 自然エネルギー村 " は、
とてもいいソリューション(解答) です。
日本に対するドイツの見解は、
" Energy Rich Japan (エネルギー豊富な日本) " です。
それらは気候、資源、そして環境保護に貢献します。
エネルギー供給と独立した安全保障に貢献します。
再生資源はきれいで、人体や環境に害を及ぼすこともなく、
廃棄物が出ないため、ゴミの問題がありません。
バイオ・自然エネルギー村は、それらの地域や村の農業、工芸品や軽工業を
ともに行なう魅力的な場所に (再び) なることで、
人々のアイデンティティを強化します。
ドイツからの刺激的な基調講演を受けて、
3.11後、福島で取り組まれた事例報告が行なわれた。
すみません。続く。