2012年7月31日

やまももの樹に抱かれて -藤本敏夫没10年

 

幕張の通勤途上の街路に、ヤマモモの木がある。

ちょっと前の写真だけど、6月、今年もたくさんの実をつけた。

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しかしここで、その実を口に入れるヒトはいない。

落ちて、路面を赤黒く染めるだけである。

南四国に育った人間には、ヤマモモは子どもたちを猿にさせてしまう、

酸っぱい青空のような記憶としてあるのだけど。

 

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都会では 路傍に堕ちる 山桃の恋 ・・・なんちゃって俳句。

 

僕にとって、ヤマモモを見て思い出す人と言えば、

山桃忌の柳田国男ではない。

大地を守る会初代会長、故藤本敏夫さんである。

1983年に大地を守る会の会長を退かれ、

千葉県鴨川に 『自然王国』 なる専制君主の国、いや農場を建設した。

 

その鴨川自然王国での素人百姓の奮闘や暮らしぶりを

楽しく綴った本が手元にある。

『やまももの樹に抱かれて』(冬樹社,1988年刊)。

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  農業はエキサイティングなスポーツだ!

  残された  " お金で買えないもの "  がある所

  新鮮な感性で宇宙を実感しろ

 

その藤本さんが亡くなられたのが 2012年7月31日、

10年前の今日である。

享年58歳。

最後まで精力的に活動し、ペンを執りながら、逝ってしまわれた。

 


藤本さんの奥様、登紀子さんから、

社長の藤田に連絡があったのは春のどこか。

「藤本後の10年を振り返りながら、偲ぶ会を開きたいの」

と言ったかどうかは知らないけど、そういうことになって、

「じゃあ、エビにやらせるか」 となった。

 

藤本敏夫。 1944年、兵庫県は甲子園に生まれる。

京都・同志社大学の学生時代に全学連委員長となり、

1968年、国際反戦デーでの防衛庁突入という行動を指揮したカドでお縄を頂戴し、

獄中、歌手の加藤登紀子と結婚して芸能界にスキャンダルを提供した。

お腹に子供ができていたこともあって、登紀子さんが刑務所に面会に行って

結婚を迫ったのだ、と聞いている。

「ゴチャゴチャ言わずに、ハンコ押して!」 みたいな感じだろうか。

 

その間、藤本さんは内ゲバを批判して学生運動から離脱。

1976年、「大地を守る会」会長に就任、有機農業の普及運動に邁進する。

会長退任後は、いろんな運動や事業を仕掛け続けてきた (長くなるので省略)。 

1992年、政党 「希望」 を設立し、参議院選挙に挑むも落選。

当時、大地を守る会事務局長だった僕は、

会員から 「なんで大地を守る会は応援しないの!」 と責められた記憶がある。

だって、、、特定の政治家の応援はしない、という掟は藤本さんがつくったんだもの。

 

1997年、農業食品監査システム(現・アファス認証センター) 設立。

1999年、農水省関東農政局諮問委員に就任。 持続循環型農業の普及を提言。

2000年、全国の青年農業者とともに、持続農業推進全国集会を開催。

2002年、当時の武部勤農水大臣に 「建白書」 を提出。 2ヵ月後に病没した。 

 

いま藤本さんが生きてたら、どんなアクションに出るだろうか。

 

 

藤本敏夫没10年。。。  

この大役に、「オ、俺だって忙しいんですけど」 なんて、言えない。

腹を決めて、登紀子さんの事務所に出かけたのが6月1日。 

一気に進めることとなった。

 

 

日程は 11月17日(土)、

日比谷公園で例年開催している 『土と平和の祭典』 の前夜と決める。

題して、

『 藤本敏夫没後10年を語る

 ~「土と平和の祭典」 の前夜に~ 』 

 

記念講演は、人類学者の中沢新一さんにお願いした。

藤本さんが後世に託した  " 希望 "  を、

中沢さん流に紐解いてもらえたら嬉しい。

 

そして会場は、いろいろ探した末に、

日比谷公園内のレストラン 『 松本楼 』 に決定。

 

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明治36年、日比谷公園の開園とともに歴史を刻んできた老舗。

時々の政治の舞台となり、たくさんの文豪が愛した店。

1971年11月には、沖縄返還協定反対運動で

暴動学生が放った火炎瓶により焼失したという、いわくつきの洋館。

 

7月19日、会場との打ち合わせをお願いして伺ったところ、

何と玄関に 「戎谷 様」 の掲示が。

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ウ~ン、いい会場だ (エビは単純だ)。

 

お登紀さんと娘の Yae ちゃんにも歌ってもらって、

藤本敏夫が残した  " メッセージ "  の、

今日的価値を見つめ直す時間にしたい。

参加費は、パーティ代込みで1万円で計画中。

正式の案内と募集は9月上旬になるか。

どうぞお楽しみに。

 

藤本さんが愛した鴨川のヤマモモの樹は、今も健在なのだろうか。

あるのなら、来年の実が成る頃に訪ねてみたい。

 


Comment:

戎谷さん、藤本さんを偲ぶ会のプラニングという大役お疲れ様です。

私の会社リーファースを作ったのも藤本さんと虎の門病院でお約束したから。うちの会社の設立年を思う度に藤本さんのことを思いだします。

藤本さんのご期待に沿った仕事が出来ているだろうか。

藤本さんが生きていらしたら今何をなさっていらしただろうか。

偲ぶ会では受付でも雑用でも何でも裏方のお手伝いでできることがありましたらしますのでおっしゃってくださいね!(^_-)-☆

from "水野葉子" at 2012年8月 5日 23:06

水野様

いつも有り難うございます。
ではお言葉に甘えて、水野さんには「受付」をお願いできれば有り難いです。少し会場が狭く、人数によっては当日不満が出るかもしれないという予感がしてます。そんな時に水野さんの笑顔があれば100人力。オヤジの文句を蹴散らしてくれると期待しています。
お願いはまた改めて。

from "戎谷徹也" at 2012年8月25日 15:36

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