2012年12月 4日

「備蓄米」 生産者からの手紙

 

大地を守る会 「備蓄米(大地恵穂)」 ご予約の皆様へ

 

・・・と題した手紙を、備蓄米生産者を代表して

ジェイラップ代表の伊藤俊彦さんがしたためてくれた。

しかしここに書かれた内容は、 「備蓄米」 申込者だけでなく、

福島で格闘してきた生産者の取り組みや思いとして、広く、

多くの方に伝えたいと思う。

ここに掲載させていただくことを、ご了承願います。 

 

 

"復興" から "自立" へ、感謝の心とともに歩んできました。

 

あの日(3.11)から2回目の稲刈りを終えて間もなく、

10月27日に開催しました "風土 in FOOD 自立祭" には

多数の会員の皆様に駆けつけていただき、

本当にありがとうございました。

 

おかげさまで、家族と連れだって参加した生産者たちも

心からの笑みに包まれ、心和むひと時を過ごさせていただきました。

心から感謝、感謝です。

 

昨年は、大震災と原子力災害からの "復興" を誓い合い、

今年は、本当の復興は "自立するところにある" ことを

確認し合いました。

 

稲田稲作研究会は、少しずつ自信を取り戻し、

少しずつ元気になっています。

 

 

家族・仲間を守るために、子ども目線で判定することを学びました。

 

家族や仲間を原子力災害の被害者にしないための学びと行動は、

私たちの農業にも活かされ、

家族や仲間を内部被曝から守り切る農産物を作ること、

測定によって子ども視点で安全性をジャッジすること、

などの対応策を定着させました。

 

家族や仲間のために行なってきたこの当たり前の姿勢を、

出荷する農産物にも適応させることで、

"子ども目線でジャッジした農産物の出荷" を貫き通すことができた

と確信しています。

 

逆境の中から得られた数々の知見や結果の集積は、

私たちが家族や仲間を想うところから生まれたものです。

その思いは学びと測定という科学的根拠に裏打ちされ、

皆さんにお届けする農産物も、

私たちの家族に向けた必死の思いや学びが

共有されたものであることを、何よりもお伝えしたく思います。

 

 

たゆまぬ "実践" から "希望" をつかみ、さらに前へと進みます。

 

昨年の稲作は、

学ぶこと、考えること、決断すること、行動すること、

全てが手探りの中から始まりました。

 

"対策" を思い立っても、思うだけでは何も得られない。

対策を施しても、収穫して見なければ結果は解らない。

長期戦を予感させる不安の中で、

一枚一枚の田んぼから土や稲のサンプルを採取し、

汚染の実態を見極めることから始まり、

得られた知見や仮説を片っ端から実践しました。

 

無我夢中の時を経て、得られた結果は

年間60kg食べても、安全基準(年間1mSv) の1,000分の1程度

というものでした。

弛まぬ自助努力は、今期の稲作に向けて希望の種を残しました。

 

希望の種は "やる気" に変わり、

さらに昨年を下回る結果が得られてきています。

そしていま稲作研究会では、もっと前へ!とばかりに、

来季に向け、収穫を終えたばかりの約150haの水田で、

さらなる減線作業の真っ最中です。

 

 

「今年も頑張りました」

と胸を張ってお届けできる喜びをかみしめながら、

「子どもたちの未来のために」

生産者としての責任を全うします。

 

今期も備蓄米をご予約いただきました皆様、

本当にありがとうございます。

 

皆様からの "予約" という力強いメッセージが、

私たちへの大きな励みとなり、

加えて "未来ある子どもたちの人生がかかっている" と、

生産者としての責任を強く自覚させてくれています。

 

昨年産の「大地恵穂」は、一度たりとも、

2ベクレルを超える玄米・白米はお届けしていないと認識しています。

精米を行う際に常に気を配ってきた

「品質の不公平を作らない」 という姿勢と技術が、

それを実現させる仕組みにもつながったものです

 

安全基準の1,000分の1以下という数値をどう判断されるかは

皆様に一任するしかありません。

私たちにできることは、ご購入いただいた皆様に対し、

安全で美味しいお米を "可能な限り品質の不公平を作ることなく"

粛々とお届けさせていただくのみであります。

 

皆様に励まされながら、稲作研究会は学び続け、

生産活動を止めずに自立を目指せるまでになりました。

今年収穫された「大地恵穂」は、

昨年よりもさらに高い安全性が確保されています。

猛暑の影響によって若干の白濁が見られますが、

たんぱく値からして食味は申し分ない筈です。

 

ある意味、極めてあきらめの悪い農家が作ったお米です。

それはまた、私たちが一緒に暮らす子どもたちに、

それだけ手を抜くことなく頑張ってきたんだという誇りをもって、

普通に食べさせているお米でもあります。

そんなお米を皆様にお届けできる喜びを、今かみしめています。

 

来年の秋までの一年、

「備蓄米・大地恵穂(だいちけいすい)」が

皆様の食卓の安心や幸せな笑顔を支えられることを

心より願いながら、

万全の体制で保管させていただくことを、ここにお約束いたします。

 

収穫の秋を終え、深い深い感謝の念とともに-

 

2012年11月

稲田稲作研究会会長 渡辺良勝

(株)ジェイラップ代表 伊藤俊彦

 

以上です。

読んでいただき、有り難うございました。

 




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