2013年2月27日

『2013 大地を守る東京集会』 無事終了

 

2日間にわたって開催された 「大地を守る東京集会」 が終了した。

23日(土) も 24日(日) も、終わった後で生産者たちと飲み、

帰れなくなって、某カプセルホテルに潜り込む始末。 

懲りないヤツ、と言われたりもするけど、生産者がいる以上、

先に帰るワケにいかない。 とまあ、そういう性分なのだ。

 

最後の最後まで付き合ったのが、

岡山県倉敷市・庄地区無農薬研究会の 山崎正人さん と、

秋田県大潟村・ライスロッヂ大潟の 黒瀬友基さん (ともに米の生産者)。

二人はこの展開を織り込み済みで、しっかり蒲田に宿を確保していた。

  (※ 上の名前をクリックすると、米の仕入担当が昨年取材した映像が見れます。)

 

ま、そんなことはともかく、

まずは、全国からお集まりいただいた生産者会員、消費者会員の皆様。

有り難うございました。

お陰さまで盛会裏に終えることができました。

この場を借りて、深く感謝申し上げます。

 

よる年波のせいか、まだ疲れをひきずっている感が否めず。

でも取り急ぎ、自分が回ったところだけでもアップしておかねば。。。

今年の 「東京集会」 はあまり全体を見れなかったけど。

 

2月23日(土)、12:20 の開会時には、

すでにあらかたの椅子が埋まる感じになった。 嬉しいね。

e13022501.JPG

 

代表取締役・藤田和芳の挨拶から始まり、

行動派の社会学者・宮台真司さん(首都団学東京教授) の記念講演がある。

テーマは、『食とエネルギーの共同体自治』。 

 

e13022502.JPG

 

宮台さんは、原発の是非は国民投票で決めようとキャンペーン活動を展開する

みんなで決めよう  「原発」 国民投票』 の共同代表も務めている。

 

「 これは脱原発を進めるための運動ではありません。

 原発を推進するための運動でもありません」

と宮台さんは説明する。

 


つまり、単純に投票による多数決での決済を求めているのではなく、

この国の在り方に対する判断力と決定権を国民が持つことの意味を、

国民に問いかけているのだ。

 

判断するための情報や決定権を専門家や役人に任せず、

自らが " 判断 " し、決定に " 参加 " するためには、

投票に至るまでのプロセスが必要になる。

住民主体によるワークショップや対立する専門家同士での公開討論会

などを重ね、国や自治体や企業に必要な情報を開示させてゆく。

この作業を宮台さんは  " 熟議 "  と表現する。

そして熟議を経た上での、世論調査としての住民投票が行われる。

こういった作業(経験) の積み重ねによって、

巨大なフィクション (いわゆる  " 神話 "  ) の繭を破壊し、

都市や地域や社会を我々のものにすることができる。

 

e13022503.JPG

 

「参加と熟議」 によって、分断された個々を包摂する 「自立した共同体」 の確立。

それによって民主主義をバージョンアップさせよう。

でなければ、私たちは生き残れない。

 

公共性を定義するのは市民である。

市民が定義しないから、役人が定義するしかなくなる。

国に  " 頼る "  のではなく、地域を守る主体を取り戻す必要がある。

これが3.11と原発事故が私たちに教えたことではないだろうか。。。

 

e13022504.JPG

 

宮台さんは戦後を代表した政治思想家、丸山真男の民主主義論を

批判的に検証しつつ、それを乗り越える 「共同体」 の再構築を説いた。

そのあたりは大学の政治思想か社会学講義のような展開だったので、

生産者の方々にとってはどんなふうに受け止められただろうか。

また若い世代に丸山真男って通じるのだろうか・・・と少し気になった。

本意が伝わったなら幸いである。

大学で社会学を学んだ者として個人的な感想を言えば、

当時強迫のように説かれていた 「個の確立」 といった主張の危うさは、

大いに共感するところだった。

(僕のゼミ論テーマは 「現代社会における人間疎外の構造」 という、

 斜に構えたものだった。)

 

さて、講演と並行して各会場では、

生産者とのおしゃべり会や映画上映会などが始まっている。

e13022701.JPG

 

e13022702.JPG

 

e13022703.JPG

 

いろんなところを覗いたり話の輪に加わったりしたかったのだが、

立場上、生産者向けに企画された 「自然エネルギー説明会」 に顔を出す。

e13022505.JPG

 

「大地を守る会 顔の見えるエネルギーコンペ」 ・・・って何だ?

 

要は、生産地での新たな自然エネルギーへの取り組みに対して、

大地を守る会として支援しますよ、という案内である。

ただし、地域の特性を活かし、地域社会とつながった (できれば広がりのある)

取り組みであること。

そのために必要な設備投資資金や調査研究費などを助成する。

ただし原資の都合もあるため、応募いただいた企画から選考し最大5件まで、

かつ1件あたり上限300万円まで。

 

この企画は、手を挙げた若手社員たちのアイディアで生まれたものである。

いや正確に言うと、これという企画にまとまらなかった結果が、コンペだった。

 

原発や化石燃料に頼らない、自然エネルギーを活用した持続可能な社会づくりに向けて、

新しい発想でチャレンジする産地を応援します。 奮ってご応募ください。

詳しくは、こちらを ⇒ http://www.daichi-m.co.jp/cp/d-energy/ 

 

先進事例のひとつとして、

熊本県 「肥後あゆみの会」 代表の澤村輝彦さんが取り組む

木材チップを利用したトマトハウスの暖房設備が紹介された。

e13022506.JPG

 

通常ハウス栽培の暖房には重油が使われるが、

澤村さんは地域で産出される廃木材のチップを利用してハウスを温めている。

すべて手作りで、3年に及ぶ試行錯誤の上、ほぼ完成形にまで近づけてきた。

大学も注目して効果検証に協力してくれているとのこと。

 

e13022507.JPG

 

木材チップも重油もコストはほぼ同じだが、

チップのほうが灰の描き出しなどの手間がかかる。

「まだまだ改良の余地がある」

「竹も活用できると考えている」

と語る澤村さん。

ちなみに、澤村さんのトマトは

有機JAS認証を受けた 「有機トマト」 である。

e13022508.JPG

 

地域の未利用資源の活用と安全な食生産がつながり、

循環型で持続可能な社会システムの萌芽が各地でつくられていく。

その動きを少しでも後押しできる 「コンペ」 になることを願いたい。

 

「2013 東京集会」 編、続く。

 



大地を守る会のホームページへ
とくたろうさんブログへ