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2013年3月11日

共同テーブル、政府に 「提言」 提出

 

今日は3月11日。

早いもので、あれから2年が経ったんですね。

しかし復興はまだまだ、です。

メディアを通して伝わってくるのも、復興の歓びよりも、焦燥や怒り、そして慟哭。。。

政府はといえば、経済こそ優先とばかりに突き進んでいます。

事故の原因も現状も正確に把握できず、廃炉への道筋も

廃棄物処理問題も定まらないまま " 再稼働 "  を公言して憚らない強硬姿勢には、

戦慄すら覚えます。

 

さて、一昨年秋に生協など4団体とともに結成した

「食品と放射能問題 検討共同テーブル」(※) では本日、3月11日付にて、

国に対して 「提言」 を提出したことを報告しておきます。

提出先は3名の方々。

・ 原子力災害対策本部長 内閣総理大臣 安倍晋三 殿

・ 厚生労働大臣 田村憲久 殿

・ 農林水産大臣 林 芳正 殿

 

「提言」 内容は以下の通り。

 


食品中の放射性物質の暫定規制値の低減などに関する提言

 

わたしたち「食品と放射能問題検討 共同テーブル

(以下、共同テーブル)」では、各参加団体が実施している

食品中の放射性物質に関する検査結果を持ち寄り、

検出件数や推移などを検討・協議してきました。

 

2012年の検査データから一定の知見を得ることができ、

今後に向けた施策を協議しました。

これらを元に、以下の提言をいたします。

 

1.共同テーブル各団体の放射能測定の状況

 

・共同テーブルの各団体では、それぞれ独自の放射能基準を設け、

 取扱商品の放射能検査を実施してきました。

 計測結果は、消費者の商品選択に資するもの、

 消費者に安心を与え風評被害を低減させるもの、

 産地の放射能低減策に活用できるものとして、

 組合員・会員・消費者に向け、ホームページや店頭で公開してきました。

 

・参加5団体で、これまでに測定し、公開した件数は53,128件で、

 2012年だけでも37,301件になります。

 

・検査をおこなった商品は、加工食品など多岐に渡りますが、

 これらのうち同品目として集計が可能な商品については、

 測定結果を5団体で集約しています。

 集計した検査結果は22,667件です。

 

2.共同の集計結果からの提言

 

・わたしたちの検査結果と国・都道府県の検査結果の数値や傾向は

 概ね一致しています。

 私たちはこれらの検査結果から、

 以下の施策が可能であると考えています。

 

1) 品目ごとの検出状況を踏まえ、可能な品目については

 現在の新基準値(201241日より適用)を

 さらに下げるべきです。

 

・多くの品目において検出される放射線量は低下傾向にあります。

 

・共同テーブルの参加団体は

 政府の暫定基準を下回る自主基準を採用していますが、

 ほとんどの品目において自主基準をクリアできています。

 

・上記の状況から、この間、検出されていない品目については、

 現在の暫定基準値をさらに下げることは可能であると考えます。

 

2) 市町村単位の出荷制限は見直すべきです。

 

・現在、ある生産団体の作物から放射線が検出された際、

 当該団体が所在する市町村の単位で出荷制限がおこなわれています。

 

・しかし以下の理由から、市町村単位の出荷制限は見直し、

 生産団体単位、圃場単位、出荷単位など、

 きめ細かい出荷制限に移行すべきであると考えます。

 

きめ細かな検査に基づく出荷制限・出荷自粛要請をすべきです。

 

・基準値を超えた放射性物質の検出による出荷制限および

 出荷自粛要請は、自治体単位(合併前の旧自治体を含む)での

 指定になっています。

 しかし放射性物質による汚染区域は自治体単位の区域に基づいて

 いるわけではなく、自治体単位の出荷制限等は科学的な根拠に

 乏しいもので、汚染の実態を反映しているものとはいえません。

 きめ細かな調査・検査を前提に、検出していない地域は

 出荷できる制度とすべきです。

 

② 放射性物質の検出の原因がその地域に由来しない事例を

考慮すべきです。

 

・精肉から放射性物質が検出された場合、原因の多くは

 肥育時の餌によるものです。

 また原木栽培のしいたけの場合、原因の多くは原木に由来する

 ものです。

 畜産に使用する餌、原木しいたけ栽培に使用する原木などは、

 各生産者や生産団体が、それぞれ他の地域から取り寄せている

 場合もあります。

 

・放射性物質の検出の原因がその地域に由来しない事例の場合、

 一つの生産団体の出荷物から放射性物質が検出されたとしても、

 当該の市町村の作物を一律で出荷制限すべきではなく、

 生産団体ごとの出荷制限など、きめ細かい単位での対応をすべきです。

 

③ 積極的に除染に取り組み、効果を上げている生産者については、

検査を前提に出荷できるようにすべきです。

 

・ゼオライトや塩化カリウムの投入、表土の入れ替えなど、

 除染に積極的に取り組んでいる生産団体の生産物は

 確実に検査数値が下がっています。

 前項同様、ある生産団体の出荷物から放射線が検出されたから

 といって、当該区域の作物を一律で出荷制限すべきではありません。

 生産団体単位、圃場単位など、きめの細かい単位で対応し、

 検査の結果、数値の低減を実現している生産者からの出荷は

 認めるべきです。

 これは、生産者の除染の努力を後押しすることにもなります。

 

3) 検出が続いている作物については政府が調査・研究や支援を

おこなうべきです。

 

・共同テーブルの参加団体の検査結果では、

 ほとんどの品目が自主基準をクリアできていますが、

 一方で、残念ながら放射性物質が検出されてしまう品目もあります。

 

・国や行政の検査でも、原木の菌茸類、茶葉などから検出されています。

 共同テーブルの参加団体の検査結果では

 レンコンも数検体で検出されています。

 

・東京電力福島第一原発の事故から2年が経過し、

 非常に多くのデータが蓄積されています。

 こうした品目については、国や行政による調査研究、

 除染および濃度低減方法の研究支援、除染費用の支援など

 をおこなうべきです。

 

・国による出荷制限と自治体による出荷自粛要請の対象品目について、

 品目によって大きく齟齬の発生しているものがあります。

 国と自治体でそれぞれの検査結果などの情報を共有し、

 連携する体制を整えるべきです。

 

 

以上

 

 

※ 「食品と放射能問題 検討共同テーブル」 構成団体

  ......(株)カタログハウス、パルシステム生活協同組合連合会、

     生活クラブ事業連合生活協同組合連合会、生活協同組合連合会グリーンコープ連合、

     (株)大地を守る会

 



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