2013年6月22日

食べて克つ! -放射能連続講座Ⅱ-第4回

 

特販課の設置から1ヶ月半、体力というより気の疲労が溜まってきたか、

書くという行為に集中できない。

報告したいこと、伝えたいことは日々積まれていくのに、 

夜の気力があと一歩、続かない。

仕事のペースさえつかめば復活できるのだろうが、

追いかけられたり、追いかけたり、焦ったり、さじ投げたり、で。

 

そんな調子だけど、せめてこの土日のうちに、

高橋弘さん講座を、行けるところまで書き進めておきたい。

 

6月9日(日)、大地を守る会の放射能連続講座Ⅱ-第4回。

『食べて克つ! 毎日の食生活で免疫力を整える 』

講師=麻布医院長・高橋弘さん。

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会場は、日比谷図書文化館コンベンションホール。

定員 207名のところ、申込者数がなんと 207人。

神のお導きか・・・ と、全員受け入れることができた。

( 実際には当日の欠席がけっこう発生した。 主催者としてはこれが一番こたえる。 ) 

 

さて、高橋弘医師によるファイトケミカル講座。

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高橋さんが用意された今回の話のポイントは、3つ。

1.ガンのリスクは放射能だけではないこと。

2.健康な食生活を維持するために、何を、どう食べるか。

3.放射能汚染による内部被ばくから身を守るための、

  日々の食生活 (食習慣) について。

 


日本人の死因のトップは 「ガン」 である。

日本人の 2人に 1人はガンになり、3人に 1人がガンで亡くなっている。

( 6人いると、3人がガンになり、2人がガンで亡くなるという計算。)

1975 年頃までは脳血管疾患が死因のトップだったが、

以後、ガンがトップになる。

 

発ガンの原因は、喫煙、感染症、飲酒、地理的要因(自然放射線も含まれる)、

環境汚染、食品添加物などが挙げられるが、

最大の要因は 「食事」 にある。

 

日本ではガンが増える一方であるが、

アメリカではひと足先にガンの死亡率の増加が深刻化した歴史がある。

1960 年代後半には、ガンや生活習慣病の増大により

国民の医療費が膨れ上がっていて、

国民一人当たりの医療費は世界一、平均寿命は 26位という

悲惨な状態に陥っていた。

 

そこでニクソン政権時代の 1968年、栄養問題特別委員会が設置される。

委員長に任命されたのが、ジョージ・S・マクガバン上院議員。

そして 1977年 2月、かの有名な 「マクガバン・レポート」 がまとめられた。

 

レポートの肝は

「 アメリカ人の多くの命を奪っている疾患 (心疾患、ガン、高血圧、糖尿病、肥満、その他)

 は、食事と関係している」 ということだ。

そして、脂肪の過剰摂取、砂糖(精製された砂糖) と塩分(NaCl) の過剰摂取が

これらの病気に直結していることが指摘された。

当時はまだ、生活習慣病という言葉はなかった。

 

炭水化物や脂肪、砂糖、塩分などの具体的な摂取数値目標が示され、

食生活への関心がアメリカ人の間に広がり、

食事を通じて病気を予防する研究や取り組みが盛んになる。

治療ではなく、予防を重視する対策へと動き出したのだ。

しかも調査では、1960年頃の日本人の食事こそが理想に近いもの

と報告されたことで、日本食やマクロビオティック食が注目されるようになった。

 

しかし、マクガバン・レポートの発表後も、実はガンは増え続けた。

そこで委員会は次に、国立ガン研究所 (NCI) に、

食事とガンとの関係の研究を依頼した。

 

数々の疫学調査の結果から、

ガンの原因の 3分の 1以上は食生活に由来すると考えられた。

一方で、日常食べている野菜や果物などの植物性食品に、

ガンを予防する効果のある物質が含まれることも明らかになってきた。

 

1990年、NCI は

「ガンを食事で予防できるのではないか」 という仮説を立てて、

新たなプロジェクトを開始した。

ガン予防のための国家プロジェクト 「デザイナー・フーズ計画」 である。

様々な分野の研究者が参加し、

「どの植物性食品がガンを予防する可能性が高いか」

についての研究が精力的に進められた。

 

膨大な量の疫学調査データから、

ガン予防に効果のある食品および食品成分 40 種類がピックアップされ、

その重要度に合わせてピラミッド型の 「デザイナー・フード・リスト」 が作成された。

 

ピラミッドの頂上部分の栄誉に輝いたのは、

ガーリック、キャベツ、カンゾウ(甘草)、大豆、しょうが、セリ科(人参、セロリなど)。

次のグループに入ったのは、

玉ねぎ、茶(緑茶)、ターメリック、全粒小麦、亜麻(リネンの種)、

玄米、柑橘類、ナス科、アブラナ科。

 

人参やキャベツ、セロリ、玉ねぎなど日常的に摂取される野菜類に、

ガン予防の力がある、これは非常に重要なことである。

一般的に、野菜は淡色野菜より緑黄色野菜のほうが健康的と思われがちだが、

淡色野菜にも強いガン予防効果があることが示された。

「デザイナー・フーズ・リスト」 に上げられた食品は、

ガン予防以外にも、免疫力を整え、生活習慣病を防ぐ作用がある。

 

研究成果とともにアメリカ人の野菜・果物摂取量は増え、

1995 年には、一人当たりの野菜消費量が日本人を上回った。

アメリカ人は肉ばかり食べていると思われがちだが、

今では日本人より野菜を食べている。

 

1990年を境に、アメリカではガン罹患率も死亡率も、下がり始める。

わずか 10 年余りの間に、

アメリカ人は野菜と果物の恩恵を享受するようになった。

政府と民間団体が協力して取り組んできたことによる一大成果だった。

 

かたや日本では、野菜の消費量は減少傾向にあり、

ガンによる死亡率は今も上昇し続けている。

 ( たしか、先進国では唯一上がっている国だったと思う。)

 

さらに野菜の中身である成分に関しても研究が進み、

ファイトケミカルと呼ばれる植物由来の成分に、

抗ガン作用、抗酸化作用、免疫力を整える作用があることが明らかになってきた。

 

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ファイトケミカルといっても、" たたかう化合物 "  という意味ではない。

ファイトとは、ギリシャ語で 「植物」 、ケミカルは 「化学物質」。 

「植物がつくる機能性成分」 を指す。

紫外線により発生する活性酸素や、害虫などによる危害から身を守るために

植物がつくり出す成分。

それは移動することができない植物にとっての、生存戦略から生み出されたものだ。

特に、厳しい環境下で子孫を残していくために託された 「種」 には、

大量のファイトケミカルが蓄えられている。

 

ファイトケミカルの 9 割は野菜や果物など植物性食品に含まれ、

その数はおよそ 1 万種類以上あると考えられているが、

現在見つかっているのは数千種類である。

 

ファイトケミカルは、私たちが普段から

野菜や果物の色や香り・辛み・苦みとして感じているもの。

私たちの目を楽しませてくれるカラフルな色合いは、

ビタミンカラーなどと呼ばれることがあるが、ビタミンの色ではなく (ビタミンは無色)、

ファイトケミカルの色である。

 

ファイトケミカルの代表例を挙げれば-

 ・ 赤ワインに含まれるポリフェノール

 ・ スイカやトマトに含まれる赤色成分であるリコピン

 ・ 大豆に含まれるイソフラボン

 ・ ゴマに含まれるリグナン

 ・ お茶に含まれるカテキン

 ・ 人参に含まれる β-カロテン

 ・ ブルーベリーに含まれる色素のアントシアニン

 ・ 柑橘類の苦みや香りの成分であるテルペン類

 ・ バナナに含まれるオイゲノール(香気成分)

 ・ 淡色野菜に含まれるイオウ化合物類

 

続く。



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