2013年6月26日
「耕す」 農場
放射能講座のレポートを続けている間にも、
あちこち出歩いたりもしていて、いくつかトピックを拾っておきたい。
一ヶ月も前の話になっちゃったけど、
5月31日(金)、千葉県は木更津にある農場を訪ねた。
名前は、農業生産法人 「株式会社 耕す」 という。
ap bank と言えばご存知の方も多いことと思う。
音楽プロデューサーの小林武史さんと Mr.Children の櫻井和寿さん、
音楽家・坂本龍一さんが拠出し合って設立した、
環境プロジェクトに融資を行なう市民バンク。
その ap bank が 2009年、
「融資」 という枠を超えて、プロジェクトそのものに関わる
「明日(あす)ラボ」 というセクションを立ち上げた。
そこで翌10年の3月に設立されたのが、この農業生産法人 「耕す」 である。
ご覧の、山に囲まれた盆地一帯が 「耕す」 の農場。
面積にして 30 ha(約9万坪)。 東京ドーム 6 杯分ある。
20年前に閉鎖された牧場の跡地で、
荒地となっていたところを開墾し、農地として再生させるところから始めた。
スタッフは農業の経験もない若者たちである。
現在耕作できているのはまだ 4 ha ほどだが、
有機の認証も取得して様々な野菜をつくっている。
大地を守る会では、7月からのナスと
秋に収穫される 「小糸在来」 という在来種の大豆(枝豆) を契約している。
写真手前、南側斜面には
発電量 1 メガワットという太陽光発電が設置されている。
太陽電池モジュール 4164枚。 壮観である。
農場を案内してくれたのは、
農場長の豊増洋右(とよます・ようすけ)さん (写真左)。
豊増さんとは、数年前の ap bank fes の実行委員会だったかで
一度会ったことがあるのだが、
彼がここの農場長になっていたとは全然知らなかった。
「 農業経験はまったくなかったです。
自分から農場をやろうと提案したんです。
この3年、がむしゃらに勉強しましたよ。」
山本太郎似のマスク全面に、やる気が溢れている。
ちなみに、上の写真の右のネクタイの方は、山口英樹さん。
株式会社ローソンの 「エンタテイメント・ホームコンビニエンスグループ CEO補佐」
という肩書きの方。 CEO とは 「最高経営責任者」 の略。
7月には我が社の常勤取締役となる予定である。
ローソンと大地を守る会の事業提携がどんな新しい価値を生み出すのか、
我々の挑戦は静かに進んでいる (わが特販課はまったく静かではないけど)。
プロ農家から見ればもったいないくらいの農地なのだが、
「早く若者を育てられる体制にしたい」
という豊増さんの言葉から、
この国の農業への危機感とともに、方向性も感じさせられる。
実は千葉県は耕作放棄地がどんどん増えている地帯なのだ。
この日は、「耕す」 の野菜を引き受けている (株)kurkku (クルック) の
スタッフさんたちも顔を見せた。
こちらも小林武史さんが代表を務める会社で、
表参道や神宮前エリアを中心に 6 店舗のレストランやカフェを運営している。
しっかり教えてるじゃない、豊増さん。 なかなか。
しかしこれだけの農場規模を運営するのは、ただ事ではない。
ap bank の融資がいくらで、返済計画がどうなっているのか、
までは突っ込んで聞かなかったけど、
若者たちのお遊びだった、と言われないよう、頑張ってほしい。
とりあえず、いいナスが届くことを祈ってるよ。