2013年7月 8日

立ち上がる 「会津電力」

 

会津自然エネルギー機構シンポジウム。

第2部は座談会 -「地域主体の再生可能エネルギー事業の実現」。

 

「世界の潮流は、原子力からの撤退と自然エネルギーの急激な増加である。

 構造変化 × 加速度的変化が相乗的に進んでいる。

 しかし日本では逆向きの政治になってしまっている。

 このままでは日本は完全に取り残される。」

飯田哲也さんがハッパをかければ、

金融アナリスト末吉さんが落ち着いた口調で語る。

 

  先般、世界の投資家が香港に集った。

  話し合われたことは、お金(のため) だけで投資を考えない、ということだった。

  環境に配慮された事業に投資する方向へと世界は動いている。

  キーワードは、「ESGへの投資」。

  Eは Environment (環境)、Sは Society (社会)、Gは Governance (企業統治)。 

  ESG 要因を投資プロセスに組み込む。 

  EU ではすでに半分は ESG に配慮した企業に投資されるまでになってきているが、

  日本では 1 %以下である。

  アジア全体ですら 3 %に達しているというのに。

  アベノミクスには、将来の姿が見えない。

  20世紀型の  " 経済の成長 "  だけで中身がない。

  このままでは日本は前進できない。 国際競争にも勝てないだろう。

 

世界的金融アナリストの発言だけに、重いものを感じさせる。

まったく、廃炉への道筋も廃棄物の行方も見えないまま、

とにかく赤字脱却こそ最優先とばかりに原発再稼動に突き進む国だからね。

復興増税を電力会社に回したかと思えば、

除染予算は住民の意向より東電の顔色をうかがって溜め込んでいる。

ガバナンスは国家から崩れていってるようじゃないか。

このまんまにしてイイのか、若者たちよ。

ツケはどんどん君たちに回されているぞ。 

 


末吉さんは、5月に設立されたばかりの

一般社団法人 グリーンファイナンス推進機構」 の理事長に就任された。

金融が健全な社会づくりの推進力となるために、

末吉さんが挙げる 21世紀の金融行動原則がある。

ひとつは、地域の本当の問題解決を図る、その意思をもった企業であるか。

もうひとつは、社会の進むべき方向に沿っているか、正しい軌道に乗っているか。

新しい社会的事業は最初は反対されるものだが、

むしろ少数派だからこそやる意味がある。

転機はたった一票の差によって訪れる。

流れがクロスし、51 対 49 となった時に、決定的な転換が起きるのだ。

 

金融の世界からこういうメッセージが聞けること自体、

時代が変化を必要としているということなのだろう。

僕が言えたことは、わずかな補足程度だった。

この国のまやかし、カラクリを解体させ、地域の主体性や自治を取り戻すための

突破口のひとつが  " エネルギー "  であること。

底辺から、現場から、国づくりを再編させていく作業は、

新たな雇用あるいは仕事の代替案を創り出すものであるべきこと。

したがってそれは、楽しくなければならないこと。 

末吉さんが示した数字に重ねて言うなら、

今はまだ 51票には遠く 30票くらいかしら、とか思ったなら間違いである。

僕の感覚では、それはすでに 60票を超えている。

ただそれぞれがまだ、種であったり早苗であったり穂孕み期だったり、なのだ。

だからこそ、僕らはつながらなければならない。

そこで大地を守る会で実施した 「顔の見えるエネルギープラン・コンペ」

の紹介をさせていただいた。

若い職員たちが出してくれたアイディアである。

その話は最後に触れたい。

 

パネラーや会場とのキャッチボールを経て、

「会津電力 株式会社」 発起人たちが壇上に立つ。

ついに彌右衛門さんのホラがリアリティを持って迫ってきた。

 

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  私たちは様々な議論を重ね、会津地方から、

  原子力に依存せずに再生可能エネルギーの利用を事業の中心とした

  会津電力株式会社を設立することといたしました。

  この会社は一部の投資家のためのものではありません。

  エネルギーの在り方を考えて次世代に引き渡すために、

  個人や企業、組織の方々に呼びかけて、資本参加をいただきます。

  この会社の基本になる理念と運動は会津自然エネルギー機構が受け持ち、

  具体的な事業は小水力や太陽光発電など

  再生可能エネルギーによる発電事業が大きな柱となります。

  8月の設立に向けて有志により準備会を立ち上げました。

  発起人として参加いただき、

  また善意の出資としても、また地域の自立に向けた未来への投資として

  ご出資いただければ幸いです。

                          -設立発起人代表 佐藤彌右衛門

 

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「顧問」 としての参加予定者に、

飯田さんや末吉さんとともに金子勝さん、坂本龍一さんといった名前があり、

藤田和芳(大地を守る会代表) も入っている。

「本人と確認した?」

「いや、まだ。 エビちゃんから言っといて。 よろしく。」

社長というのは、どうもヤな共通項があるね。

 

会津が変わらなければ、日本は変わらない。

福島が苦しむ姿しか子供たちに見せられなかったら、

福島に生きる者として恥ずかしい。

 ・・・ 熱い思いが語られる。

 

変化への、リアリティのある一歩を見せましょう。

応援します。

発起人、パネラーで記念撮影。

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彌右衛門 (「彌」 という字が正しい) さんと飯田さんの顔は大きい

と密かに思っていたけど、やっぱ大きい。

そして今回、飯田哲也氏はラーメンが好き、というのも発見した。

 

二次会は、大和川酒造・北方風土館の2階バルコニーにて。

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さらにギョウザ屋さんにて三次会。

未来に向けての話は尽きない。 

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続く。

本編あと一回、おまけを。

 



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