2013年12月16日

二本松から南相馬へ (+ご案内を一つ)

 

「農家民宿」 とは、農家の家(うち) に泊まらせて頂くことだ。

予め料金が設定されているので余計な気兼ねは不要だけれども、

ホテルとは違うので、やはり礼儀は欠かせない。

たとえ話題は尽きなくても、切り上げは常識の範囲にすべきだろう。

なにより奥様に迷惑をかけてしまう。

いい歳して相変わらずのサル以下人生。。。

 

それにしても星空の綺麗だったこと。

忘れていた本当の空が、広がっていた。

この空が見れるのは、地上での暮らし方による。

東京だって、ライトをすべて消せば、天気が良い日には

美しい星座が確認できるはずだ。 安達太良の空ほどではないにしても。

 

武藤様。 お世話になりました。

宵っ張りの客でスミマセンでした。

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さて、4日間にわたる福島漬けの最終日。 

バス2台で東京からやってきた「農と食のあたらしい未来を探る バスツアー」

一行(約90人) は、11月24日(日)8:30、「道の駅とうわ」 に再集合して、

米の全袋検査所を視察し、二本松市から南相馬市へと向かった。

 


「道の駅 南相馬」 の研修室で、

お二人から現地での取り組みを伺う。

 

NPO法人 JIN 代表の川村博さん。 浪江町出身。

介護老人保健施設の副施設長などを経て、実家で農業を営む。

震災後は避難者の生活不活発病の防止などに奔走しながら、

浪江町サポートセンターの設置を提案し、

現在その運営(福島県からの委託) に携わっている。

昨年4月には、仮設住宅に入居する障がい者とともに 「サラダ農園」 を開設。

約 2町歩(≒2ha) の畑とビニールハウス 4棟で、

無農薬・無肥料による野菜栽培に挑んでいる。

来年には農業専門の会社を立ち上げて、高齢者も雇用する予定である。

「戻りたい」 と願う人たちのために、

農業を基盤としたコミュニティづくりを進めたいと抱負を語る。

 

原町有機稲作研究会の杉内清繁さん。

福島県有機農業ネットワークの副代表も務める。

大震災と原発事故という二重被災を経験して、私たちは何を学んだか。

その学びをこれからどう活かしていくのか。

静かな語り口で、この2年半の取り組みを振り返ってくれた。

正確な情報や知識がいかに大事であるか。

油糧作物の栽培による農地除染の試みの報告。

そして農地を活かしたエネルギー生産 (小水力やバイオマス熱利用など)

も視野に入れながら、自然環境と共生する社会づくりに向かっている。

 

 

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「 Fukushima を英語で表せば Happy Island だ。

 私たちは負けない。

 Fukushima から Happy で Sustainable な社会をつくっていく。

 3.11で犠牲になった人たちのぶんまで、

 そして次世代の子どもたちに新しい社会を残す。

 それが私たちの役割だと考えています。」

 

有機農業者には、本当に意志が強く、モラルの高い人が多い。

様々な生命との 「共生」 が、その思想の土台にあるからだろうか。

彼らの粘り強い営みによって、新しい道が開かれていってる。

福島はいつか  " 最もモラルのある、哲人たちの国 " 

と呼ばれるようになるかも知れない。 我々は学ばなければならない。

 

最後の目的地は、南相馬市小高区。

有機農業のベテラン、根本洸一さんのほ場。

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原発から 11km という説明だったか。

種をまく、土を耕す、それが私の人生。

何があっても、ここで土とともに生きる。

 ・・・ この生き方を、誰も否定することはできない。

 

みんなで人参の収穫作業をやらせていただく。

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今年 6月の放射能連続講座 をきっかけに

ファイトケミカルに目覚めたエビちゃんは、

偉そうに 「葉っぱも持って帰りましょう」 などと

講釈したりするのだった。

 

帰りのバスで眺めた南相馬市南部、海岸線の様子。

 

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なんといううら哀しい光景だろうか。。。

 

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原発事故さえなければ、復興は間違いなくもっと早く、

確実に進んだであろう。

ゲンパツというとんでもない不良債権が奪ったものは、

たくさんの命、暮らし、経済、自然、風景、心・・・

とても計測できない、天文学的な価値の総体だ。

しかもこの負債処理が永遠に続くなんて、、、耐えられない。

 

それでも自らにムチを打ち、前を見る人たちがいるのである。 

官に頼らず、除染に挑み続け、今日も耕す人たち。

あれから 3 度目の冬だというのに、歓喜はまだ訪れてこない。

都会では忘れようとする空気すら感じさせる。

僕らは  " 寄り添う "  とかいう、どこか対弱者的な目線ではなく、

DNAの鎖のように離れずに連なっているという意思を、

しっかりと伝え続ける必要があるんじゃないか、Fukushima に対して。

 

しつこく書かせていただいた福島レポートを、

新年の講座の予告をもって締めさせていただきたい。

 

10月に台風のせいで開催できなかった

「大地を守る会の備蓄米・収穫祭」 のリベンジ企画を用意しました。

 

大地を守る会専門委員会「米プロジェクト」 新年学習会

『ジェイラップ 2013年の取り組みから学ぶ』

「大地を守る会の備蓄米」の生産者である稲田稲作研究会(福島県須賀川市)

を率いてきた(株)ジェイラップ代表の伊藤俊彦さんをお招きして、

" さらに安全な "  米づくりと、地域環境の再生に邁進した2013年の取り組みを

お聞きするとともに、その成果と課題から

未来に向けての視座を学びたいと思います。

 ・ 放射性物質はどのレベルまで下げられたか(安全性の現状)。

 ・ 除染はどこまで可能か、なぜ必要なのか。

 ・ 安全な食と環境を未来に残すために、私たちにできることは何か。 等

会員に限定せず、広く参加を募ります (会場は狭いですが)。

 

◆日 時: 2014年1月25日(土) 午後2時~4時

◆場 所: 大地を守る会六本木分室 3階会議室

       (地下鉄日比谷線・六本木駅から徒歩7分)

◆ゲスト: ジェイラップ代表 伊藤俊彦さん他

◆定 員: 30名

◆参加費: 無料

※ 終了後、丸の内にある大地を守る会直営店

  「農園カフェ&バル Daichi&keats」 にて、伊藤さんを囲んで

  懇親会を予定しています。(自由参加。参加費3000円ほど)

◆ 申し込み方法:

   HPでもご案内する予定ですが、とりあえず戎谷まで

   メールにてお申込ください。折り返しご連絡差し上げます。

    ⇒ ebisudani_tetsuya@dachi.or.jp

                          ( アンダーバーが入ります。お間違いなく。)

 

たくさんのご参加をお待ちします。

 

本年最後の福島リポート。

最後まで読んでいただいた方には、深く感謝申し上げます。

 



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