戎谷徹也: 2008年2月アーカイブ

2008年2月28日

「だいちのわ2008」

 

2月24日(日) 朝9時。

東京・大手町のサンケイプラザ4階ホールに、大地職員が集合する。

それぞれに前日の余韻をひきずりつつも、必要な緊張感は維持している、ようではある。

 

事務局・町田の進行で直前のミーティングが始まる。

大山事務局長、野田専務理事、藤田会長から諸注意・訓示含めた挨拶がある。

僕は自分の役割の流れをチェックしていて聞き漏らしてしまったが、おそらくは

「来場されたすべての方々に満足してもらえるよう、スタッフとしての自覚を忘れず、

 気を引き締めて、かつゆとりを持って、機敏に、楽しみながら、なおかつ気配りを忘れず、

 けっして生産者・消費者より先に食い物に飛びつかず、......」 というような感じで、

過去30回の歴史で積み重ねられた反省を元に、気合いが入れられたと推測する。

 

外は昨日に続いて強風である。 交通機関が乱れているようで、集客が心配になる。

早めに到着した生産者から、昨日の風が春一番だったと聞かされる。

昨日から新聞もニュースも見てないワタシ。 あちこちで被害があったみたい。

春を告げる風だが、実際は災害をもたらす風でもある。

職員情報によると、どこかの地区の会場では黄砂が飛んでくるのが見られたそうだ。

ほぉ~、うわぁ、今年も来たか......とか言いながら、皆で眺めたんかな。

はるばる中国大陸から飛んでくるのは砂だけでなく、花粉も細菌も汚染物質も運ばれてくる。

「空中は国際交流の舞台である」 (農業気象研究者の内嶋善兵衛さんの言葉)。

環境や自然というものには、国境なんてないからなぁ。

地べたでは国境を挟んで不健康なせめぎ合いが続いているけど・・・・

 

さてこちらは、生産-流通-消費の 「だいちの輪」 の交流の舞台。

いよいよ本番。

 


大地を守る会会長、藤田和芳の挨拶。

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ここでも僕は出たり入ったり、やってきた生産者を誘導したりで、細切れにしか聞いてないのだが、

昨年から止まることのない食品をめぐる事件などに触れながら、

意識ある生産者・消費者のお陰で発展してこれたことに感謝しつつ、

次なる大地の展開に向けての構想が表明された。

(詳細はいずれ正式に発表されるので省略)

 

続いて生産者10組による列島リレートーク。

廃校になった小学校を改造して、消費者が農業体験しながら宿泊できる施設をつくった

「どらごんふらい」 の布施芳秋さん (北海道富良野)。

独自の自然卵養鶏を営みながら地域で有機農業を広げる取り組みを展開する

濱田幸生さん (茨城県行方市)。

農業経営から暮らしまで、エネルギーの自給を目指す梅の湯浅直樹さん (群馬県榛名町)。

林業(山) や環境と調和したきのこ生産に挑む自然(じねん)耕房の佐藤英久さん (群馬県前橋市)。

南伊豆で伝統の鰹節製造を守るカネサさん。

 

国産と非遺伝子組み換えのナタネにこだわり続ける米澤製油さんからは、

オーストラリアのノンGMナタネでは、栽培農家と密な関係を築いてきている、との報告。

 こういうネットワークを広げていきたいものだ。

 

次の写真は、山形県東根市でさくらんぼを栽培する奥山博さん。

今日は後継者の博文君も一緒に壇上に上がって、立派な発言をした。

親父としては、嬉しい舞台となったことだろう。

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午後の環境セミナーで講師をお願いした宇根豊さんも登壇。

百姓に当たり前にあった感性や、農と自然の深き関わりから新しい未来を構想する

宇根ワールドの "さわり" を披露して、「よかったら午後、聞きに来てください。」

 

山形は庄内地方の農民たちで結成された 「庄内協同ファーム」 。

提携米運動で一緒になって、もう20年になった。

今回は結成メンバーの一人である斉藤健一さんと、後継者世代の富樫俊悦さんが二人で登場。

こちらも若手が育ってきている。

こうやって若い世代が増えてくるのは、何より嬉しい。

しかも彼らは、堂々と笑いを取ったりする。 度胸がいいと言うか、しなやかな感じなのだ。

斎藤さんは歴史を語ってくれた。

93年の米パニックの時。 注文が殺到して、5kg を 2kg袋に詰め替えて供給したことがあった。

あったね、そんなこと・・・ああ思い出してしまうよ。

  会員から怒りの声が上がった-「これまで大地の米を買ってきた人を優先すべきだ!」

  こんな手紙を書いた-「困っている人が目の前にいる。 みんなで分け合いたい。 受け入れて欲しい。」

・・・なんか泣けてきたよ、斎藤さん。 写真撮りも忘れて感慨に耽ってしまった。

(実行委員の方へ -スクリーンに写した写真が違ってましたね。 斎藤さん、失礼しました。)

 

次の写真は、宮城県大崎市で冬水田んぼ(冬にも田んぼに水を張る)に取り組む、

「蕪栗米生産組合」 の千葉孝志さん。

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地元の蕪栗沼と周囲の田んぼ一帯が、

渡り鳥にとって貴重な休息地・餌場としてラムサール条約 に登録された。

世界で初めて、田んぼ自体が大切な湿地帯として認められたのだ。

晩秋の頃から冬にかけて、何十万羽ものガンやハクチョウがここに体を休め、餌をとって過ごす。

ラムサールに登録されたからといって、千葉さんの取り組みや生活が変わるわけではない。

彼は仲間たちと、さらに前に進もうとしている。

 

風で心配されたが、気がつけば会場は満杯である。

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ここで午前の部、終了。

弁当もそこそこに、午後の展示準備に入る。

 

ホールの設営を一気につくりかえて、「だいちショールーム」 の開店。

我が専門委員会 「米プロジェクト21」(略称:米プロ) のコーナー。 

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米プロの活動紹介、種蒔人基金のPRなど。

今年も一番人気は、「バケ田んセット」 である。 家庭でイネを育ててみようというもの。

種モミ (秋田・花咲農園の戸澤さんから頂いた無消毒のアキタコマチの種モミ) と

作り方を書いた紙を配る。

加えてここでのオリジナルは、水槽を使ってメダカや野菜も一緒に育ててみようという、

家庭でできる 「水田ビオトープ」 だ。 メンバーの陶武利さん作の見本ジオラマが好評。

子どもたちは、必ずメダカの前で立ち止まる。 子どもは本当に生きものが好きだ。

この意味は深く捉える必要があるね。

 

ホールの真ん中は、子どもたちの遊び場になっている。 

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他の専門委員会や別なコーナーも紹介すべきところなのだが、まったく見ることができない。

米プロのブースも他のスタッフにお願いして、

並行して行なわれている 「身近な環境セミナー」 の部屋に向かう。

二人の講座の司会をすることになっている。

 

また長くなってしまった。 でもいっぱい伝えたくてしょうがないのです。 

ということで、続く、になります。

 



2008年2月27日

「だいち交流会」 -横浜中区会場での話

 

二日間にわたる 「大地を守る東京集会」 が無事終了した。

終わった後も、残ってくれた生産者・消費者・事務局入り乱れて、二次会、三次会と、

議論あり、唄ありで飲み明かし、宙に浮いたような体で出勤すれば、

" せっかく東京に出てきたわけだし " ということで事務所に顔を出してくれる生産者がいる。

月曜日も商談やら農業談義やら...

夕方にはサンケイプラザに忘れ物を取りに行って、この日は終了 - 爆酔、じゃなくて爆睡。

(最近のワープロ漢字変換は油断ならない。 なぜ酔と出る? ご主人のことは分かってるとばかりに...)

そんなわけで例によって、

溜まった宿題を焦るものから順番にやっつけている今日 (27日) である。

 

さて、この怒涛の二日間をどう伝えようか、思案するもまだ頭の中が定まらない。

そういう時はオーソドックスに、時間を辿りながらいってみましょうか。

 

まずは一日目 (2/23)。12地区に分かれての 「だいち交流会」。

実行委員会から割り振られた横浜中区会場に行く。

場所は中華街や横浜スタジアムのあるJR関内駅前の「横浜酒販会館」ホール。

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午後1時半開会。

10に分かれたテーブルには、「ビール席」 とか 「ガス灯席」 とか

横浜にちなんだ名前がつけられていて、それぞれに分かれて座った生産者が順次紹介される。

大御所、重鎮が来ている。

北海道江別市の金井正さん。 じゃが芋・かぼちゃ・小豆などの生産者だ。

 

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「大地とのお付き合いは、そうですねぇ、 もう34年になりましょうか」......って、

大地発足年 (75年) からってことですね。 脱帽。

 

私の席は 「マッチ席」。

1875年、平沼に工場が建設され、汽車印のマッチが製造されたのだとか。

「アイスクリーム」 に 「カフェ」、「石鹸」、「鉄道」、「波止場」、「人力車」、「西洋野菜」 と、

ヨコハマのハイカラな歴史が偲ばれる。

 

生産者紹介のあと、「小さな勉強会」 と称して、二つのテーマで勉強会。

ひとつは原発。

大地を守る会の専門委員会 「原発とめよう会」 の事務局・斉藤聡が原発の問題点を語る。

次が私に課せられた課題 -「抗生物質と耐性菌の話」 。

なんでこういう場で抗生物質 (Vs. 耐性菌) なの ?

そうですね。 けっして楽しい話にはならないし・・。 でも受けちゃったんです。 

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実はこういう話。

抗生物質というのは、微生物から作られた、他の微生物の増殖や発育を抑制する物質の総称で、

有名なのが1929年に最初に発見された 「ペニシリン」。

戦後になってたくさんの抗生物質が生まれ、そして

今では農薬や家畜・養殖の飼料などに普通に使われるようになってしまった (ご存知でしたか?)。

その総量は年間2000トンを超える。

病院や外来処方で人間の病気治療に使われるのは、実はそのうちの500トンでしかない。

抗生物質は特定の細菌に対して毒性を示す。 人体そのものへのリスクは少ない。

しかし時間とともに 「耐性菌」 が発現して、その抗生物質が効かなくなる。

当然、濫用すればその時間は短くなる。

医療現場では、「ペニシリン」 → 耐性の出現 → 「メチシリン」 →

耐性 (メチシリン耐性黄色ブドウ球菌:MRSA) の出現、ときて、その院内感染が問題となった。

そしてMRSAに効果のある、究極の抗生物質と言われた 「バイコマイシン」 が作られたが、

すでにバイコマイシン耐性ブドウ球菌が出現している。

すなわち抗生物質と耐性菌は、こんなふうに " いたちごっこ " しながら、

生命・生態系の必然として 「進化」 しているのだと言える。

この 「進化」 によって種の多様性が確保され、

どんな天変地異や恐怖の伝染病が発生しようが生命が維持されてきたと考えれば、

耐性菌の出現は恐れることではない。 いや、恐れても仕方がない、と言うべきか。

私たちはこの星の生命体として、否も応もなく微生物と一緒に生きている。

 

とりあえず私たち (今を生きているヒト) にとっての問題は、いざ感染症が拡散した際に、

抗生物質が効かない (効く抗生物質がない) 事態が想定されることである。

したがって、抗生物質とは 「必要な時だけ利用する」 (耐性の出現を遅らせる)

のが賢明な付き合い方、ということになる。

 

しかし日本では、農業・畜産・水産の現場で野放図に使われ過ぎているために、

自然界で耐性菌の出現が起きている。 しかも相当な範囲とスピードで。

すでに沖縄のヤンバルクイナから抗生物質の耐性菌が確認されている。

北海道のアライグマからも、河川の細菌からも・・・・・

米国の医学教科書には、こういう記述があるそうだ。

「新しい抗生物質ができても、日本では数ヶ月で耐性菌が出現する」

 

耐性の出現は抗生物質に限らず、あらゆる薬剤に言えることである。

家庭用殺虫剤 (Vs.チャバネゴキブリ) から遺伝子組み換え作物まで-

いたちごっこのスピードが速まれば速まるほど、我々にとってのリスクも高まる。

 

そこで私たちが唱える  " 有機農業の推進 "  とは-

その食品の安全性にとどまらず、生態系の安定 (多様性の保持) や環境との調和を通じて、

生命の健康を守ることだと考える。

生態系の安定は、たとえオーガニックであろうが、輸入品では賄えない。

だからこそ  " 基本は国産でいこう "  というのが大地の考え。

有機農業もまた、微生物と共存・共栄する考え方・技術として 「進化」 しつつある。

 

国産の原料にこだわってくれる畜産も存在する。

それらの受け皿となってくれる加工者もいてくれる。

これらのつながり (輪) を支えているのが、まぎれもない  "消費の力" 。

でもけっして特別な人たちでやってきたわけではない。

だいたいがごくフツーのオジサン・オバサンたち。

今日はそんな人たちが集まって、その輪が見える日。

どうぞ、とくとご覧になって、大いに交流してほしい。

 

とまあ、何とかこのテーマを依頼された実行委員の要望には応えられたか、

と思ってはいるのだけど、本当はどうだったか......

その辺は本人には分からない。

 

勉強会のあとはテーブルごとに歓談。

「有機農業はとにかく草取り」 と生産現場での苦労話 (さんぶ野菜ネットワークの斉藤勝男さん) や、

畜産での餌の話 (中津ミートの太田雄大さん) が出る。

特にノンGM飼料が確保できなくなってきていること。 どうやって安全な循環をつくるか。 

「コンビニの食品残さを醗酵させて餌にするのも考えたりするが、添加物が心配だし・・・」

などなど~

「すこしくらい高くても安全なものを、と思って買っている。 頑張ってください」

こんなありがたい消費者の声は、想像以上に生産者に響いていることは、

この場を借りてお伝えしておきたい。

 

《もうちょっと東京集会のトピックで続けます。》

 



2008年2月22日

「大地を守る東京集会」 直前号

 

2月と8月というのは、企業にとって比較的ヒマな時期、と聞いたことがあるが、

大地の場合、2月はいっちゃん落ち着かない時だ。

何と言っても、年に一度の "生産者と消費者の大交流会"

-通称 「東京集会」 が開催されるのが2月である。

(加えて事業部門では、今期の集約的な作業や来期に向けての計画作りが佳境に入ってくる。)

 

その東京集会がいよいよ今週末に迫ってきて、

あらゆる作業の総掛かりが、あちこちで行なわれている。


火曜日(19日) の夜は、印刷機コーナーに人が並んでいた。

各専門委員会が一斉に会場で配布するリーフレット類の印刷に入ったのだ。

かくいう私も、米プロジェクト21のやっつけチラシの版を持って、

「なんでとめよう会 (専門委員会 「大地・原発とめよう会」 のこと) が2台とも占拠してんだよう」

とかガンつけたりして......

 

展示用のパネルや資材の準備も、だいたいが去年の焼き直しとなって、

ちょっと恥ずかしいが、どうにも手が回らない。

 

そんな合い間にも、土曜日の地区での集会 (だいち交流会) 会場の担当の方から、

専門委員会の説明用スライドの内容についてチェックの依頼あり、覗いてみれば、

その最後のページには、

タイトルが 『米プロジェクト21のゴールは-』 とあって、下が空欄である。

ここは書け、というメッセージのようである。

ええい、これでどうだ!と返信する。

   生産者が誇りをもって米を作り、それによって美しい田園や環境が

   当たり前に守られる世界を取り戻したい。

   きれいな水が大地を潤し、いつまでも持続可能な「食と農」の営み。

   それが社会の土台として、コモンセンスとして蘇るまで、

   米プロジェクト21の役割は終わりません。

   たとえ組織が消滅しても-

   未来に向けて種を蒔き続ける百姓とともにありたい。

 

また自分が参加する会場では、「農薬や抗生物質について話をしてほしい」 という

難題が降ってきていて、さてさてどうまとめるか......ようやく頭の中の整理にとりかかる。

 

情報企画室からは、中国産ギョウザ事件に関して、

会員さんから届いたたくさんの連絡便を毎週の情報紙 「ツチオーネ」 で紹介するので、

コメントを書けとの命令。

締め切りを過ぎて、いよいよ催促が来る、という直前にこっそりメールで送る。 

書いた内容は、先週の 「よみがえれニッポン」 で喋ったことにちょっと色をつけただけ。

でも、間違ってないと思っているので、これで許してチョーダイ!

 連絡便への感謝は忘れずに入れる。

 

日曜日の全体集会 (正式名称は 「2008だいちのわ」) での

「身近な環境セミナー」 で講演をお願いする宇根豊さんに連絡して、資料の確認。

また送られてきた資料が、重い、というか "思いが詰まっている" 論文である。

恐る恐る、聞く。

「これ、会場で全員に配布するものとしてお考えですか?」

「使い方はお任せしますよ」 の返事で、ちょっと安堵するも、

大地のエビスダニとはヤワなやつだ、と思われたに違いないとか小心な不安を抱いたりして。

 

あちこちに泣きや言い訳を連発しながら、

いよいよ残された時間も一日のみ。

得意の "開き直り" の日がやってきた。

(2月21日から22日に日付が変わったところです。)

 

では会員の皆さま。

土曜日は横浜で、

日曜日は大手町で、お会いしましょう。

 

日曜日は、開会直後の藤田会長の挨拶から聞いていただけると嬉しいです。

何か喋りますから (当たり前か) 。

 



2008年2月18日

『よみがえれニッポン -食べることを考える』

 

16日(土) 。

CSテレビ 「朝日ニュースター」 の生セッション番組

『よみがえれニッポン』 に出演する。

 

今回のテーマは 「食べることを考える」。

様々な食品偽装が治まらない中で、中国産ギョウザの騒動。

いったい何が原因で、日本の食はどうなったのか、何をどう変えていったらよいのか-。

長期的な視野で語り合いたい、ということでのお声掛かりである。

 

場所は原宿、明治通り沿いにある朝日ニュースターのスタジオ。

若者たちが闊歩する竹下通りを複雑な心境で歩いて

(20数年ぶり。ということはこちらの目線も変わっている)、

午後3時前、スタジオ着。

 

キャスターのばばこういちさん(放送ジャーナリスト)、安藤千賀さん(フリーアナウンサー)、

他のゲスト陣と顔合わせ、打ち合わせに入る。

用意された台本を見て、さすがに生番組である。

分ならぬ秒刻みの進行表が書かれていて、一気に緊張が走る。

 

打ち合わせも 「だいたいこんな感じで~」  という調子で、

慣れたレギュラーの方にはそんなもんなんだろうが、

こちらはアバウトであればあるほどドキドキ感が募ってくる。

しかも 「コメントは分かりやすく、コンパクトに」 などと言われると、

瞬間、頭の中が白くなったりする。

 

午後4時半~ 本番開始。

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上の写真は職場の仲間がテレビを見ながら撮ってくれたもの。 こんな感じです。

ゲストということで真ん中に座らせられて、

ばばさん、安藤さんからの質問に、パッパッと応えていかなければならない。

14年前の 「朝まで生テレビ」 のように、マイクを握り締めて話しまくるのとは違うのだ。

 

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「では戎谷さん。問題の本質はどこにあるとお考えですか?」

「消費者として考えなければいけないことは何ですか?」

他のゲストの方の発言を受けて- 「その辺は、戎谷さんはどう思われますか?」

 

という感じで発言を求められ、それなりに応えていたつもりであったが、

実際は 「それはですねぇ」 「はい。え~」 「あのぉ~」 の連発である。 冷や汗...

 

細切れのコメントで、しかも話題はどんどん進行するので、話を深めることはなかなかに難しい。

私が伝えられたのは、こんな程度である。

・今回のギョウザ事件の本質は、日本の食品企業がひたすら 「安さ」 を求めてコスト削減に走り、

 海外に工場を移転して、さらにそこでも生産効率を追求してきた歪みだと思う。

・消費者が求めてきたという意味では、消費者にも責任の一端はあろうが、

 かといって消費者は単純に 「安さ」 だけを求めているわけではない。

 同じ品質のものが並んでいたら安い方を買うだろうが、それも 'まさか危険なものではないはず '

 という、ある種の良心的な 「信頼」 が根底にあるからである。

 それすら裏切って安さを追求するのは、作り手のモラルの退廃以外の何ものでもない。

 実際に多くの食品メーカーは、中国がダメだからとタイに発注先を移しているだけである。

・39%にまで落ち込んだ自給率の問題も、これではまずいとは誰もが思うことであるが、

 一方で、国内では輸入量の7割近い2150万トンもの食品が捨てられているのが実態である。

 「安さ」 の裏で、私たちはどんなに食べものを無駄にしていることか...

  これは輸出国に対しても、地球にとっても失礼な話である。

・食の安全性の確保は社会の土台であり、子どもたちの未来を守るものだ。

 国の政策も変えなければならないが、農業が食料の生産だけでなく、

 国土だけでなく環境の保全にも貢献していることを伝えていきたい。

 そういう意味では、流通や販売者にも重要な責任がある。

 '生産と消費のつなぎ' の修復こそ、我々の課題である。

 

本当は、価格に隠された外部不経済の話や、食と環境のつながりなどを語りたかったのだが、

いかんせん時間がなかった。

 

もっと上手に話せるようになりたいもんだ。

そのためには、普段考えていることをきちんと言葉で整理しておく作業が必要なんだよ。

そんなことを思いながら、番組途中でひらめいたこと。

  右脳と左脳の間には 「あのう」 という脳が存在する。

  あ脳は思いやイメージを言葉に置き換える機能で、当事者にとってはものすごいスピードで

  働いているのだが、メディア的には間の抜けた不要な時間とみなされる。

 

どうでもいいことをふと思いついたりするバカな私でした。

 

番組終了後、記念撮影。

翌日、安藤千賀さんからお礼と一緒に送られてくる。

「とても分かりやすく、いい話だった」 と、社交辞令であったとしても、嬉しい。

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前列中央が、もう一人のゲスト 「有限会社 良品工房」の白田典子さん。

右は、レギュラーのITキャスター、中村輝雄さん (日立ソフトウェアエンジニアリング)。

後列左は、当番組のご意見番(レギュラー)、マルチタスクデザイナーの武者廣平さん。

中央がばばこういちさん。右が安藤千賀さん。

 

レギュラーの方はさすがに落ち着いていて、私の言えなかったところを

いくつかフォローしてくれた。

 

皆さんに感謝しつつ、いい経験をした一日であった。

 



2008年2月15日

夜の自主講座-お米の勉強会

 

今夜はとてもいい気分である (日が変わって15日になってしまったが)。

若手職員たちが自主的に 「お米の勉強会を開きたい」 と言い出して、

勤務時間後に自主講座を開催したのだ。

 

開催は6時半からの予定だったが、定時(6時) に仕事を終えられる人は少ない。

それでも途中で切り上げたりしてパラパラと参集してきて、20人以上の参加者となった。

始められたのは6時45分くらいだったか。

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講師を引き受けてくれたのは、米の仕入担当・朝倉裕職員。

僕は、合い間にちょっと口を挟んだりする賑やかし係。

 

参加したのは、入社して2~3年未満の職員がほとんど。

日ごろ会員さんからの質問やクレームに対応したり、入会希望者のフォローをしてくれている人たち。

それだけに商品知識に対する渇望が強い。

会社としての正規の教育やトレーニングが足りないと言われればその通りだが、

勤務時間内にじっくり勉強会を開催できるほどの余裕はない、のが 「現実」 である。

そんな余裕(=お金です) をつくったら、かえって消費者に何言われるか・・・ と古株は本能的に思う。

 

ともかく、会社の懐具合に不満も言わず、貴重な夜の時間を使って勉強会を開く気概には、

大地の伝統は廃れていない! と胸を張りたいところだ。

お米からつくられたヒト向けバイオ燃料(お酒) なども、先輩面して差し入れたりして、

気持ちを表す。

 

朝倉職員の講義は、米の流通から始まって、大地でお付き合いのある産地の特徴、

お米そのモノの基礎知識などなど、広く浅く、進められる。

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職員から出される質問も、なかなか初心者的、あるいは極めて消費者的で面白い。

 

<Q> 「大地で一番おいしい米はどれですか」

 -消費者会員8万世帯強で、全国35の米生産者組織と取引しているというのは、

  ある種、異常なほどに米を大事にする団体である。

  おそらく、会員さんからよく聞かれる質問なのだ。

 

<A> 「おいしい」 という感覚は個人差のあるものです。

     大地では、北から南まで、個性派の生産者がそろっています。

     色々食べ比べながら、ご家族の好みに合う産地・品種をお探しください。

 

いや実際、何年か前に、新米の食べ比べというのを企画したことがあったけど、

目隠しテストの結果では、参加者の評価は見事に分かれたのだ。

けっして新潟のコシヒカリをみんなが推したわけではない。

やってよかったと思ったのは、

小学生の男の子が 「これがゼッタイ一番」 と推したのが秋田のアキタコマチで、

お母さんに聞くと、「いつも秋田の実家からアキタコマチが送られてきてる」 とのこと。

子どもの味覚はスゴイ!

あの子は今もきっとすくすくと育っているに違いない。 秋田のDNAを受け継いで-。

 

他にも、有機と非有機の違いについて、 大地でなぜササニシキが売れているか?

無洗米の仕組みについて、 なぜ米だけ除草剤1回の使用を認めているか?

七分とか五分米というのは? 無農薬と一般との収穫量の違いは?

価格の違いはどこから? 何で魚沼産の米は高いのか?

米の味の決め手は? 大地の米産地は後継者が増えているか?

今の世間の米の相場で生産者はやってゆけるのか? -などなど、

おそらく会員さんにとっても興味津々だろうと思われるような質問が続いたのであった。

朝倉君も僕も、答えが正しかったか、改めて検証しておいた方がいいかもしれない。

 

たとえばこんな話題もあった。

<Q> 玄米に青い米が混ざっているが、なんでそんな米が入るのか。

<A> それは未熟米だけど、お米の実は同時に成熟するわけではない。

     イネの花は、同じ穂でも順番に咲くのだ (おそらくどんな植物もそのはずだ)。

     収穫適期とは、全体の熟し加減によって判断されるが、

     その最適な時にも、青い実は残る。 少し残るのが、実は一番美味しい米とも言える。

 

考えてみれば、米づくりは知らなくても、植物の生理というか、ある意味で当たり前のことを

思い返せば、腑に落ちることもある。

 

先輩にとっても、こういう機会は新鮮な驚きや反省が生まれるものだ。

 

実はこの勉強会。 仕掛けたのは、毎年職員のボランティアで運営されている

「稲作体験」 の実行委員である。

「この勉強会は継続させたいと思います。 今度はイネの一生とかどうでしょう」

・・・嬉しいねぇ。 先輩冥利に尽きるってやつだ。

 

午後9時。

勉強会終了後、仕事に戻る職員もいたりする中で、

何人かが残って、今年の稲作体験をどう運営するか、話し合いを始めてくれた。

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もう一度、言いたい。

大地魂の伝統は、受け継がれています。

(注-もちろん居残りすることを推奨しているものではありません。 気持ちです、気持ち...)

 



2008年2月12日

予告! 「よみがえれ ニッポン」

 

突然ですが、予告です。

 

今週の土曜日、2月16日(土)。

CS放送 「朝日ニュースター」 というチャンネルで放送される

『よみがえれ ニッポン』 という討論番組(?) に出演します。

時間は夕方の4時半~6時。 生番組です。

 

テーマは、「食べることを考える」。

中国産の餃子中毒やら偽装やらと、食品に関する事件が騒がれる中、

改めて私たちの食のあり方について考えたい、

ということでお声が掛かりました。

メインキャスターは、放送ジャーナリストのばばこういちさん。

 

といっても 「朝日ニュースター」 は、

スカイパーフェクTVとかケーブルTVで放送されるニュース専門のCSチャンネルなので、

契約されている方しか見ることができません (実は私も、です)。

 

ご契約されている方、

あるいはご友人とかで契約されている方がおられましたら、

録画とかでもご覧になっていただけると嬉しいです。

 

何を喋るの? ッて、

このブログをチェックいただいている方には、だいたいご推察の通りです。

上手に話せるといいんですが......。

 

うまくいったら、まあいかなくても、レポートはしたいと思います。

 



2008年2月11日

"この世の天国~" 大和川酒造交流会

 

2月9日(土)。

僕にとって一年で最もシアワセな一日、のひとつ。

会津・喜多方での 「大和川酒造交流会」 。

毎年2月第2土曜日に設定して、大地オリジナル純米酒 「種蒔人」 の

上槽(じょうそう:お酒を絞る) が行なわれる。

その完成の日にみんなで集まって、今年の新酒の出来を確かめ、祝うのだ。

 

種蒔人のファンが集まる。

原料米の生産者、「稲田稲作研究会」(福島県須賀川市) のメンバーも駆けつけてくれる。

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今年も、例年のリピーター含め36名が 「飯豊(いいで)蔵」 と名づけられた醸造蔵に集合。


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佐藤和典工場長の解説もそこそこに、

はやる気持ちで醸造室に。

  

今回もピッタリ、上槽の日に合わせることが出来た。

今しがた絞られて、タンクに入ったばかりの「種蒔人」、いわゆる「あらばしり」の試飲。

炭酸ガスのフレッシュなシュワシュワ感も、今日ここでしか味わえない。

 

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ウ~ン!今年もイイね! 例年より微妙にまろやか?な感じがする...

交流会常連のO氏の嬉しそうな顔。

 

大地のお酒ウンチク男・F氏の評を聞いてみましょう。

「ウン。辛さの中にも、米の味が残っていて、去年よりさらにバランスがよくなっている」

 

これで一週間ほど寝かせれば(「滓(おり)びき」という) 、炭酸ガスも抜け、味がなれてくる。

会員へのお披露目は、2週間後の 「大地を守る東京集会」 の懇親会である。

今年も間違いなく、樽の周りに集まった呑ん兵衛たちのニコニコ顔が見られる。

想像しただけで、嬉しくなる。

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醗酵中の大吟醸酒。 吟醸の華麗なまでの香ばしさ...

プクプクと泡が立って、こちらはあと数日か。

 

江戸時代から残る旧蔵に移動。

こちらは 「北方風土館」 の名称で、見学蔵に改造されている。

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昔の酒造りの道具などが陳列されている。

自社田で栽培された酒造好適米 「山田錦」 の稲穂も飾られている。

本来は西日本の米だが、他地方から買ってきて酒にすることは、

'会津の大和川'  の名折れとばかりに、自社の田んぼで育てている。

おそらくは 「山田錦」 栽培の北限ではないだろうか。

 

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大和川酒蔵店自慢のラインナップが並ぶ。

 

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こちらは貯蔵倉を改造した 「昭和蔵」。

温度管理に配慮した倉だけあって音響効果もよく、コンサートなどに利用されている。

 

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去年新しく、蔵の奥と二階を改造してつくられた 「天空回廊」 というスペース。

展示会やパーティなどに使われる瀟洒なつくり。

ここで吟醸酒を味わいながら、ゆったりと佇んでみたくなる。

 

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見学のあとは、風土館内に設えられたそば処 「良志久(らしく)庵」 で懇親会。

「種蒔人」 はじめ、新酒を何種類かいただきながら、会津料理に舌鼓を打つ。

料理人は、会津の食文化にこだわり続けてきた、クマさんこと熊久保孝治。

 (写真はいま修行中の方です。)

 

挨拶する九代目の当主、佐藤弥右衛門さん。

2年前に伝統の弥右衛門を襲名した。戸籍も変えたのだ。

先代の遺志を継いで、喜多方の文化保存や街づくりに尽力している。

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「身土不二、四方四里」 (体と土は一体のもの、周囲4里の地元のものを食する) を説く。

いよいよもって頑固な会津人になってきた。

 

初参加の方も、常連さんも、話はどんどん弾む。

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最後は、クマさんの打った蕎麦で締める。

 

これがまた美味い! 

酒といい、蕎麦といい、何ぼでもいけてしまう。

 

いつだったか、交流会に参加した会員さんのひと言。

「大和川交流会は、この世の天国みたい!」

以来、僕はこのセリフをずっと頂戴している。

 

いつのまにか生産者、消費者、誰彼となく話に夢中になってしまって、

あっという間にお開きの時間。

写真も最初のうちだけで......イイ顔がたくさんあったのに、スミマセン。

 

最後は、雪深い熱塩加納村の温泉宿で一献。

ここでも  'この世の天国'  を満喫して、ついに沈没。

 

翌日は、ふたたび飯豊蔵に戻って、

今度は、種蒔人を絞り終えたあとの、板粕をはがす作業。

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これも 「種蒔人の酒粕」 として販売される。

稲田稲作研究会が育てた、貴重な無農薬(栽培期間中農薬不使用) の 「美山錦」 の酒粕だ。

でも、こればっかりは酒の量に応じて残るものだけに、数量限定品である。

一週間で売り切れてしまう。

お酒も酒粕に応じて飲んでくれないと困るんだけど......

 

そんなこんなで、楽しい天国ツアーのシアワセな余韻に浸りつつ、酒蔵とお別れ。

  '帰ってゆくヨッパライ'  ってか。

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最後になったけど、

「種蒔人」 1本につき100円、また100円と、地道に積み立てられてきた 「種蒔人基金」

の額が、1月末現在で 1,015,186円となり、

ついに100万円を突破した。

 

『種蒔人が飲まれるたびに、田が守られ、水が守られ、人が育つ。』

このお酒の実力が発揮されるのは、これからである。

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 後ろ髪を引かれつつ、あとにする。

 



2008年2月 6日

有機JAS制度の検討委員会

 

昨日(2/5) は久しぶりにネクタイ締めて出かける。

行く先は、霞ヶ関の農林水産省4階特別会議室。

 

農水省による 「有機JAS規格の格付方法に関する検討会」 の第1回目の会合。

わたくしエビちゃんが、この検討会の委員に選ばれたのである。

 

農水省から打診があったのは一ヶ月ほど前。

「有機JAS制度の運用や格付の現状を見直す必要があると判断して、

 委員会を設置することになりまして。ついてはエビちゃんに...」  との、突然の電話である。

ま、いきなり 'エビちゃん'  というのは冗談だけど。

 

これは断ってはならない、と即断した。

これまで散々言いたいことを言ってきた以上、

この制度の改革に関われるのなら、逃げるわけにはいかないよね。

私は私なりの筋を通して、やってみたいと思ったわけです。

 

午後1時前、会議室に出向くと、TV局のカメラが数台入っていて、

用意された40席の傍聴席もほぼ埋まっている。

この委員会の重さを改めて自覚して、円卓テーブルの指定された椅子に座る。

やってやるか、という気になる。

 


まあ一回目は、事務局 (農水省 消費・安全局 表示・規格課) からの説明と

委員の紹介、顔合わせ的に問題意識の出し合い、というあたりで終了する。

 

選出された委員は12名。

有機JASの認証を取得している生産者が2名 (なんと、二人とも大地の生産者会員だ)。

認証機関から2名、検査員の代表が1名、NPOから1名、

輸入・加工・流通・販売に関係する業界から3名 (内1名が私)、

認証機関や認定事業者 (有機の認証を取得した生産者や事業体=大地も認定事業者)

を審査する機関の方が1名、そして学者・研究者から2名。

 

今回は有機農産物の認証制度をめぐる現状認識と課題を共有するまで。

もっとも切実だと思ったのは、生産者お二人から出された意見。

認証取得のための書類作成の面倒さである。

「このままでは生産者は増えるどころか、減っていくでしょう」

 

これから1ヶ月に1回程度の検討会を重ね、約1年の論議ののちに、

委員会としての意見をとりまとめ、農水省(国) に提出することになる。

 

思えば昨年は、有機JASの違反がいくつも発生した。

認証機関が 「一時業務停止」 の措置を受けたケースもあった。

「有機農産物」 としては規格上認められなくても、

農薬を使用してないお米として立派に販売できるはずの米が、

有機JAS規格に反したばっかりに、犯罪者扱いされた生産者もいた。

いわゆる 「無農薬米」 が、素性不確かな米よりも 「悪人」 扱いされて、市場から排除されたのだ。

原因はほとんどJAS規格に対する認識不足である (中には '確信犯' もいたが) 。

 

この制度は、まだまだ問題が多い。

生産者が誇りをもって取り組め、消費者が信頼をもって受け止められる。

結果として '食の安全と安心' を保証する、そんな社会づくりに必要な制度になりえるか。

 

僕は僕なりに、いくつかのカードを用意するつもりではいる。

そのためにも、ここで生産者の皆さんにお願いです。

有機JAS制度に対して言いたいこと、改革案、何でもいいです。 寄せてください。

皆さんの意見をできるだけ反映させたいと思ってます。

どうぞ、エビを利用してください。

ただし、身勝手で甘えた意見は、却下します。

制度を骨抜きにすると、結果的には信頼を失いますから。 イヤなら堂々と撤退しましょう。

 



2008年2月 5日

メンテナンス中の出来事いろいろ

 

「メンテナンス中」 がちょっと長引いただけで、ダレるようではブロガー失格といわざるを得ない。

ここは厳しく己れを叱咤して、先週を振り返らせてみたい。

 

まずは1月29日(火)、茨城・つくばで生産者の新年会に参加する。

今回は北浦(現行方市) の卵の生産者・濱田幸生さんから、

茨城県で進みつつある有機農業関係のネットワークづくりの話をしていただく。

新年会といっても、ちゃんと勉強会つきである。

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濱田さんがつくろうとしているのは、

有機農業推進法の施行によって、

各都道府県レベルで有機農業の推進策を策定するようにと、

国から方針が下りてきたことに対して、

下(現場) からの提案とモデルを作っていこうぜ、というものだ。

そこで結成されたのが 『茨城県有機農業推進フォーラム』 である。

生産者だけの集まりにせず、茨城県内の環境NGOや研究機関、流通、自治体も連携して、

有機農業を発展させるための様々な構想や企画アイディアが盛り込まれている。

 

有機農業農家の横のつながりを作るためのマップづくり。

有機農業の普及支援。そのための研究。

消費者が体験できる有機農業公園や、交流を活発にさせるお祭りの開催。

新規就農のお手伝い。

環境NGOも参画しての環境保全型の地域モデルづくり、などなど......

まずはみんなが集まり、語り合える 「フォーラム」 をつくりたい。

 

行政任せにしないで、俺たちで作り上げていこうよ。

やりたいことは一杯ある。やれることはどんどんやろう、ってワケだ。

まったくアツいね、濱田さん。

ちょっと最初から風呂敷を広げすぎている気がしないでもないが、

イメージのウィングは広くもって、たくさんの人に参画してもらいたいのだ。

茨城に入植して20数年。

「俺は茨城が好きなんだ」 と言って先輩農家に呼びかけている。

放ってはおけないよね、皆さん。

時代が、未来が、俺たちに 「頼む」 と言ってきてるんですよ。

 

あとは楽しい(つらい?) 新年会。

 

「(野菜作りの奥義のようなもの? が) だいぶ見えてきた。 もう少しです。」

とスゴイ台詞を吐いた中根剛さん。

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(写真は中根グループの方々。右から二人目が中根剛さん)

 

お父さんの急死を乗り越えて、立派になってきた。

 

「エビちゃんのブログはちょっと難しいな。 もうちょっとやさしく書いてくれないと。」

と意見をくれた堀田辰郎さん。

ちゃんとチェックしてくれているだけでも、感激である。

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「あと一年で長男が(大学を卒業して) 帰ってくんだ。 そしたら書類もパッと出せっから。」

そういう問題ではないと思うんですけど、樫村健司さん。

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いずれにしても、その下にまだ4人の男の子が控えていて、彼の茨の道はまだまだ続くのである。

 

いつも仲良し、小野寺孝一・きよ子夫妻。

どんな時も明るい '気' を送ってくれる。

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二次会では、濱田さんと有機農業推進法や有機JAS制度論議。

部屋に戻っての三次会は......ここでは言えない。

「こんな○○作ってちゃダメだよ」 「俺だって必死にやってんだぁ」 -×●△!#$↑%!~

でご想像いただきたい。

ま、今日も何とか最後まで頑張った (別にそれが偉いわけではないが)。

 

帰ってきた翌30日(水) の夜。

二日酔いがようやく醒めたと思ったら、今度は新宿までお出かけして、

高校時代の同級生が集まっての飲み会に参加する。

実は、わが母校が春の選抜高校野球の 「21世紀枠」 の四国代表に選ばれていて、

ついに甲子園か!

の期待が高まっていたのですが、最終選考で脱落。

気の早い仲間が祝杯を挙げるべく居酒屋を予約してしまっていて、

まあもったいないから、残念会がてらの新年会と相成った次第。

事前に申し伝えられていた議題 -「甲子園初出場にあたって、OBとしてあるべき姿勢の件」

をめぐって、要するにな、我々OBとしても品行を改めんとあかん、ちゅうこっちゃ。

お前のことやけんな。ワレ(お前) に言われたないわ...と、昔の仲間と楽しく飲んだのでした。

ま、いい夢見させてもらったよ。 有り難う!後輩諸君。 夏もガンバってね。

 

重たい頭で翌日、それでも頼まれていた原稿を1本、書いて送る。

依頼者は、棚田の堰の保全活動で紹介した喜多方の浅見彰宏さん。

活動報告書をまとめるのに、賑やかしの一文を、と依頼されていたもの。

2月9日の大和川交流会の前に宿題が出せて、ホッとする。

 

2月2日(土)は、

東京で 「田んぼの生き物調査プロジェクト」 のシンポジウムに参加する。

 

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田んぼの生きものの種類や数を調べることから、実はすごい世界が見えてきている。

その意味を様々な角度から検証し、次の地平を切り拓こう、というもの。

'農業が環境を創造する' -その価値を目に見える形で指標化して、

それに対して農産物価格とは別の形で支援(保証) する仕組みがつくれないか......

そんな問題提起があった。

 

帰り際、セッションの司会をされた宇根豊さんに挨拶する。

「24日の大地の東京集会でも、お世話になります。 ヨロシクお願いしますね」

「戎谷さんから出されていた課題に、今日ひとつ答えたから」

 

そんなこんなの間にも、餃子報道である。

この整理は、もうちょっと待っていただきたい。

現時点ではっきりと言えることは、

 1.原料の野菜に農薬が残留していた、というような話ではない。

 2.これは製造-流通の日常的業務(常態) から発生したものではなく、

   極めてイレギュラーな、つまり想定外の 「(犯罪的)事件」 の色合いが強い。

その程度である。

 

じゃあ、どうやって身を守ればいいのよ?

-(あなたにとって) 信頼できるところから買ってください、というしかありません。

 「中国産」を捨てたからといって、 「安全を保証」するものではありません。

 

目に見えない「悪意」の存在を想定してしまったら、100%安全な場所はない。

「危険」 因子が設定できない以上、「安全」 は証明できない。

そのような不気味な 「事件」 だというのが、私の感覚です。 

 

素材から確かめられるもの、それが保証されることが 「安心」 の根拠だと思うが、

じつは生産から流通までのサプライチェーンで、それを担保するためには、

それ相応のコストが必要である。

安さで競争する人たちは、それを伝える努力をするわけでもなく、

からくりで構成された 「消費者ニーズ」 を盾に周辺コストの引き締めをはかる。

その結果のような気がする。

これは 「この国の生産・消費構造」 が持っている本質的なリスクだと思う。

 



2008年2月 4日

お詫び

 

先々週の末から、管理人さんがブログのメンテナンスとバージョンアップに

取りかかってくれたのですが、かなりてこずった模様で、

何とか記事をエントリーできる状態までに戻りました。

ソフトの問題やらサーバーのシステム上の問題とか言われてもよく分からず、

私はただ手をこまねいて見ている (いえ、ただ「復旧しました」の連絡を待つ) のみ。

管理人さんは土日も頑張ってくれたようです。お疲れ様。

 

そんなわけで、だいぶ間が空いてしまいましたが、

溜めてあった3本を順次アップしましたので、

お時間あるときにでも読んでいただけると嬉しいです。

 

ただ、まだ画面表示などで気になるところも残っていたり、

また編集機能や操作も変わったところがあって、

しばらくは落ち着かない画面になるかもしれません。

一日も早く使いこなせるようにしますので、ちょっとの間、

その辺のドタバタ模様も楽しんでいただければ、と思います。

 

しかし、本当の問題は、

メンテナンス中はエントリーできないと言われて、

「そういうことなら」 と徐々に書き溜めることも怠けてしまう自分の性根です。

先週1週間のあれこれは、明日にでもダイジェスト風に流してみたいと思います。

 

そんななかでメンテナンスに助けられたのは、「中国製冷凍ギョウザ」 でしょうか。

30日の夕方に第一報に接してから、31日からのパニック的現象、

それからだんだんに「事件」性が見えてきて、いよいよ不気味な話になってきました。

一度は書いてみたものの、翌日には書き直して......アップできなくて、良かったかも。

しかし、この問題は避けて通るわけにはいかないですね。

歴史に残る事件かもしれません。 自分なりに何とか整理するつもりです。

 

取り急ぎ、お詫びと状況報告まで。

 



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