戎谷徹也: 2009年2月アーカイブ

2009年2月26日

《予告》 3月1日(日)は、大地を守る東京集会へどうぞ!

 

予告とお誘い、です。

今度の日曜日、3月1日は、大地を守る会の1年でもっとも大切にしてきた

『2009だいちのわ ~大地を守る東京集会~』 。

今年もやって参りました。

1978年2月に第一回の 「地球は泣いている! 東京集会」 を開催してより、

連綿と積み重ね、32回を数えるまでになりました。

 

今年の会場は、大田区蒲田にある 「大田区産業プラザ Pio」 。

会場が広くなったこともあり、お祭り的要素も盛り込んで、楽しく交流いただけるよう

スタッフが全力で準備しています。

生産者・メーカーさんによる物販 (展示即売) も多数出展します。

会員以外の方々も歓迎です。

お友達・お知り合いをお誘い合わせのうえ、ぜひ!

「大地を守る会」 の今、を感じ取っていただければ幸いです。

詳細はこちら ⇒ http://www.daichi-m.co.jp/info/news/2009/0126_810.html

 

わたくし・エビは、1階-出会いの広場の農産物関係のブースを拠点として、

餅つき体験の仕切りなどやってます。

もしかしたら会場の隅で生産者に囲まれて苦戦しているかもしれませんが、

どうぞお気軽にお声掛けください。

たくさんの方々との出会いを楽しみにしています。



2009年2月15日

「種蒔人」新酒の完成-大和川交流会

 

昨夜未明から激しい雨が降った。

ここは2月の会津・喜多方である。

大和川酒造店・北方風土館近くの 「あづま旅館」 に宿をとったのだが、

何度も起こされるほどの雨音だったと、同宿のおじさんが語っている。

年々少なくなってゆくなぁと思っていた雪も流されて、

低い雲の下で冷たい風に埃が舞う喜多方の街並みになっていた。

これじゃ冬の会津じゃないよ・・・・・と言っても会津の人の責任ではないけど。

 

朝から飯豊(いいで) 蔵に入り、

去年から野菜セットの取り組みを始めた 「会津耕人会たべらんしょ」 の

今年の企画について、小川光さん・浅見彰宏さんと打ち合わせる。

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そして我らが純米酒 「種蒔人」 の絞りに入るところを拝見させていただく。

浅見彰宏さんは、けっしてただの出稼ぎなんかじゃなく、

大切な冬の吟醸酒づくりの蔵人なのであった。

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製造タンクからパイプを伝って、モロミが絞られ、日本酒になる。 

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タンクの中は、攪拌装置がついていて、2階から確認できる構造になっている。

 

モロミから絞られ、流れ出てくる新酒。

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ビン詰めする前の荒ばしりを飲める機会は、そうないでしょう。

今年の新種を確かめる面々。

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佐藤和典工場長も、みんなの反応に安心した様子。

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いつもは一緒におチャラけている秋田・花咲農園の戸澤藤彦さんも真面目な顔で・・・・・

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新潟・小千谷からこの日のために来てくれた元杜氏・阿部伊立さん(写真中央)。

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「引退してもね、この日だけは欠かせない。

 電車で行けって家族から言われちゃったけど、来たよ。」

 

見学のあと、みんなで記念撮影。

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雪がないのが、寂しいけど、仕方がない。

 

喜多方市街内の旧蔵、「北方(ほっぽう) 風土館」 に回る。

年々蔵の中の様相が新たになってゆく。 

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見学コースという範疇を超えて、多面的イベント会場の機能を備えてきている。

 

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見学のあとは、待ちに待った交流会。

俺たちの 「この世の天国」 体験。

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九代目佐藤弥右衛門を襲名した社長。

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「農を変えたい!福島集会」 実行委員長も務められた小林芳正さんも来てくれる。 

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そして原料米・美山錦の生産者、稲田稲作研究会の業師たち。

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このネットワークこそ、僕の誇りである。

田んぼの畦で冗談めかして語り合い、遊び心で挑んだ酒造りが、

米文化の奥深い水脈に触れることとなり、また人のつながりを与えてくれた。

事業イメージを互いに広げあいながら、僕は育てられてきた。 種蒔人に。

人を裏切るわけにいかない仁義を持ってしまうってことは、しんどいかもしれない。

でも・・・しんどい時に働ける意地を持っていることは幸いだろう。

どんな時だって、オレが先にへたるワケにいかないと思っている。

 

今回も絶妙な食材でもてなしてくれた料理人・クマさん。

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4月には東京に進出する。

その時はまた追ってお知らせさせていただきたい。

 

お酒が人をシアワセにすることは、ある。

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ただしそれには、魂が必要だ。 

 

二日酔いも楽しく、北方風土館の水を飲んで帰る。

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酒といっても、米といっても、

いのちを支える根っこは水だと思う、二日酔いの朝である。

いや、そうじゃない。

水と空気と食いもの、そして、いい仲間、だろう。

 

それをつなげられる一本の酒を世に出せた、という自負がある。

 



2009年2月13日

" 死のロード " 最終回は松島海岸で

 

産地での新年会シリーズも、最終回を迎えた。

2月12日、宮城県は松島海岸までやってくる。

宮城県下の、農・畜・水の大地を守る会の生産者が集まってくれた。 

去年までは仙台黒豚会の新年会として開かれていたのを、

今年から、農産生産者(米・穀類・野菜)も、水産生産者も集まってやろう、

ということになったものだ。

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第一部の、真面目な 「大地からの報告」 会を

吉田和生・生産グループ長と私とで務めたあと、

郷里の岩手で講演をやってきた藤田会長が宴会から合流する。

 

この新年会シリーズを、つい  " 死のロード "  なんて言ってしまったのが、

受けたか、それとも失敬なヤツと思われたか、

よく分からないまま、宴会へと突入する。


一産地での、じっくりとした飲み会もよし。

また一方で、複数の産地合同での飲み会は、

近いけど普段は会うことのない生産者同士の新鮮な出会いであったり、

あるいは改めての情報交換の場にもなったりする。

あんたとこの牡蠣ガラどうしてる? 

ウチで使えないかなぁ -なんて話になったりしてね。

地域での資源循環づくりは、秘かに画策しているところである。

 

しかもこういう場は、集会と違って夫婦で参加してくれる方も多い。

米とニラの生産者、石井稔・洋子さん夫妻。

「農を変えたい!東北集会」では、新規就農の相談員をやってくれた方だ。

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おなじみ、蕪栗米生産組合の千葉孝志さん。

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冬水田んぼはだんだん有名になっていくけど、本当にそれでいいのか、

彼には実は迷いもある。

 

こちらは大豆の生産者、高橋伸さん。

麦と大豆で100町歩(ha)、しかも有機JASも取得している。 想像できるだろうか。

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僕のブログも見てくれていたのか、

「オレらは減反がなかったら、やってけないんですけど-」

と言われる。

つまり米の減反政策 (転作奨励金) のお陰で大豆や麦でも採算が合っているんだと。

でもね。

「米を作らせない」 ために補助金を使う (転作作物として麦や大豆を作る) んじゃなくて、

とても大事な作物であるのに自給率の低い麦や大豆の生産は

ちゃんと維持する必要があって、「そのために」 税金を使うべきじゃないだろうか。

これは似てるようで違うんだと、僕は思っている。

 

減反政策をやめたら、伸くんのところはみんな米を作るんだろうか?

-いや、作らないでしょうね。

 今はもう、田んぼを荒らさないで維持してくれれば、と言う人が増えている。

 でも手放すことはしない。 だからオレはどんどん引き受けて麦と大豆を有機で作っている。

 

複雑な農村の現状を、彼は前向きに受け止めている。

彼には彼なりの経営感覚があって、

ただ好きなだけ米を作ればいい、なんて考えてはいない。 それでいいと思う。

彼の大豆は、大地を守る会の豆腐や醤油になっている。

とても大事な生産者なのである。

その豆腐や醤油を支えているのは税金ではない。 消費者なのである。

 

そんな東北の農産物を、いつも何とかしたいと語る遠藤蒲鉾店さん。

今日は家族3人で参加。

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会社の経営を支えるのは奥さんの由美さん。

右は長男の哲夫さん。 貫禄がついてきた。

 

仙台黒豚会からは4名参加。

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ウ~ン、、、このメンツをまとめるのは大変ですね。

 

僕にとってお久しぶりは、奥松島の牡蠣の生産者、二宮義政・貴美子さん夫妻。

二宮さんと大地を守る会のお付き合いの歴史は、僕の大地暦と重なる。

もう四半世紀も前になるけど、まだ信用もできかねるような大地と取引をしてくれた

水産生産者をなんとか応援しようと (実はこっちの心意気を生産者に示したかったのだ)、

奥松島ツアーを計画したことがあった。

なかなか人が集まらず、結局ワゴン車2台だけでの訪問となった。

それが夜になると、消費者同士で喧嘩が始まって、若い職員(エビ) はうろたえて・・・

二宮さんは、しっかり覚えてくれていた。

楽しかったねぇ。。。。 いや、ホントに (冷や汗)。

あの頃から貴美子さんは石けんの普及にも奔走したんだよね。

一時、体調を崩された二宮さん。 お元気なお顔を拝見できて、嬉しいです。

 

そんなウルルンもあって、ロードの最後は、カラオケとなった。

オジサン連中の楽しい醜態も撮ったけど、機微な個人情報なのでここでは控えて、

若手の生産者と職員の絶叫風景を一枚。

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大地職員は、溜まっているのか・・・・・

オイラも唄う。 唄いまくる。

ロード、終了。 

松島の風景は、記憶になし。 ちょっと寂しい。

 

翌日は、千葉孝志さんの案内で、

田尻町(現・大崎市)の、冬の蕪栗沼と田んぼを見て帰る。

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蕪栗(かぶくり)沼

-世界で初めて、田んぼが野生生物保護のための貴重な湿地として

ラムサール条約に登録された場所。

 

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ここも元は田んぼである。

台風や洪水対策のための調整湿地にした場所だが、

それによって野鳥の楽園となった。

千葉さんの田んぼも含まれている。

 

渡り鳥・ガンの大群を見たかったのだが、

暖冬のせいか、いつもより旅立ちが早いのだとか。

沼には白鳥の姿だけがゆったりと佇んでいた。

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ここの白鳥は、人間を警戒はしているが、敵だとは思っていない気がする。

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多様な生物の共生社会は、これからの時代に

さらに説得力をもって人の心をつかんでいくはずだ。

その基盤につながって、我らの農業もありたいものだ。

 

ロードのご褒美は、「大和川交流会」 か。

その足で、会津・喜多方に到着。

今夜は、喜多方の居酒屋-「田舎屋」 のカウンターで一人、しっとりと飲む。

 



2009年2月11日

地球の目線

 

大地を守る会とは古くからのお付き合いであり、

100万人のキャンドルナイトの企画・運営でもご一緒している

文化人類学者の竹村真一さんが本を出された。

このブログでも、大手町での 「地球大学」 などで何度か紹介させていただいた方。

本のタイトルは 『地球の目線 -環境文明の日本ビジョン-』 (PHP新書、760円)。

地球大学で展開されていた竹村さんの視野と構想が凝縮されたような内容である。

昨年末に頂いて、すぐに読んだのだが、

ちゃんと紹介したい思いがあだになってか、遅れてしまった。

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地球温暖化対策が叫ばれて久しくもなりつつあるのに世界はまだ綱引きが続いていて、

一方で未曾有の世界同時不況が一気に襲ってきている時に、

混沌は希望への道筋と言わんばかりの、大らかな未来ビジョンが描かれている。

この時代に出るべくして出た、と言ってもいいだろう。

とにかく、いま私たちが持つべきセンスが開かれたという意味で、

この本の登場は世界にとってもシアワセなことではないかと、素直に思うのである。


たとえば、こんな書き出し。

 

水に祝福された惑星 

 アル・ゴアの 『不都合な真実』 は、地球環境の危機に注意を喚起することで、

 逆にあたりまえすぎてだれも注意を向けなかったこの惑星の 「好都合な真実」 に

 多くの人々が気づくきっかけを与えてくれた。

 

あるいは、こんなふうな語り。

-本来、地球という惑星に " エネルギー問題は存在しない " 。

-石油の枯渇や高騰などに振りまわされないおおらかな文明を子どもたちにプレゼントする

  準備はすでにできているのだ。

- " 京都の失敗 "  にこだわるより、中東の石油に過剰依存した現在の経済構造を

  一刻も早くリセットして、石油・資源価格の乱高下から自由になるための道を

   (地球の公益・共益として) プロデュースしてゆくという、

  はるかに大きな政治・外交的な課題がいま目の前にある。

-地球はつねにダイナミックに変化している!

-宇宙に浮かぶ無数の球体のひとつに過ぎない地球、しかし同時にきわめてレアな

  進化の実験を行う  " ありがたい "  球 (Globe) としての自己認識 -こうした宇宙的な

  Globalism に立脚して、新たな文明観と社会デザインを構築すべき時だろう。

 

そんな感性と知力をもって、エネルギー・資源問題や気候変動のとらえ方、

食と自給の問題 (日本の食糧自給化が地球を救う)、多様性の意味、

都市設計のビジョンからグローバル社会でのヒトとⅠTの関係性のデザインのありよう、

などなどが小気味よく、具体的事例も提出されながら語られてゆく。

いま目の前にある危機は、文明が進歩しすぎたからではなく、

私たちの社会デザインがまだ未熟であるゆえであって、私たちが進むプロセスは

 「新たな人間の発見」  「 " 地球世代 " の新たなコモンセンス」

の獲得へとつながっている・・・・・

 

まったくこの、地球民の想像力を持った大胆な楽観主義者にかかれば、

日本の森は宝の山であり、危機は創造へのバネでしかないようだ。

 

   そんな困難だけれどワクワクするような新たな地球デザイン、国家デザインの道

   -人類が 「若年期」 の資源とマネーの暴飲暴食から、人間としてのクリエイティビティを

   真に発揮しうるような成熟した段階へと移行するための 「自己変革」 の旅路が、

   いよいよ始まろうとしている。

 

そのおおらかな希望には、ケチの一つもつけたくなる向きもあるかもしれない。

甘い分析だと笑うネクラの政治学者もいるかもしれない。

 しかし、未来は人の知力を信じる者たちによって切り拓かれるのだ。

自分の感性に何がしかの新しいセンスが与えられたような、刺激的な本である。

まったく、学ぶことは喜びだ、と思える。

 

読んで損はない。 今年のおススメ第一号は、かなりイイはず。

 

ちなみに、大手町カフェでの連続セミナー 「地球大学」 は今、

東京駅前・新丸ビル10階、ECOZZERIA (エコッツェリア) というスペースで、

丸の内地球環境倶楽部」 として発展してきています。

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竹村さんが開発した 「触れる地球」 も体験できます。 

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東京駅で少しの時間ができた際には、ぜひ。

 

竹村さんの地球大学セミナーを紹介したアーカイブ、参考まで。

  2007年10月4日   2008年3月15日

 



2009年2月 8日

きのこが循環を支えるのだ ‐ 新年会・群馬編 ‐

 

続いて産地新年会・群馬編を。

2月5日(木)、場所は群馬県前橋市三夜沢町。

赤城山南麓、赤城神社参道口の脇に構えられた三夜沢きのこ園

-会社名は 「自然耕房 (じねんこうぼう) 株式会社」 にて開催。

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左が事務所。 右が直売店、その奥が舞茸(マイタケ) の栽培施設。

ここに群馬各地から37名の生産者が参集。

ジャンルも、米、野菜、養豚、こんにゃく、梅、花、大麦、そしてきのこ、

とバラエティに富んでいる。

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例によって藤田会長の開会挨拶から。

今年の新年会の挨拶となれば、やっぱり世界経済から始めざるを得ない。

100年に一度といわれる世界同時不況の波。

名だたる大企業が次から次へとリストラに走る時代になってしまったが、

これは価値観を変えるべき時代に入っているということでもある。

若者たちを元気づけられる社会につくり直さなければならない。

それには農業の活性化が必要だ。

有機農業を先進的に担ってきた皆さんと一緒に、今年もその先陣を走りたい-。

1月早々にキューバの有機農業を視察してきた話も今年のネタのひとつであるが、

この話はいずれ改めて取り上げたいと思っている。

 


続いて、今回の幹事を引き受けてくれた自然耕房代表の佐藤英久さんから

挨拶と会社概要の説明がある。

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佐藤さんは、前身は冷蔵設備の仕事をされていた方なのだが、

とにかく自然循環に関わる仕事をしたいと、

1995年、きのこ栽培を主体にした今の会社を立ち上げた。

準備資金ゼロ、公庫からの借り入れだけでスタートして13年。

「あと1年で、何とか自分が思い描いていた形が出来上がる」

というところまで漕ぎつけた。

その資金繰りというか、いろんな名目の融資を利用しながら綱渡りで会社を大きくしてきた

経過は、並みの苦労ではなかったようだ。 詳細は伏せておくが、

「とにかくちゃんと返済さえやってれば、お金は借りられるんです」

と佐藤さんは胸を張っている。

13年で社員118名。 半分近くが60歳以上。

設立時からのメンバーの中には、80歳を超えてなお現役で働いている人もいるとか。

障害者の雇用も積極的に受け入れている。

 

佐藤さんが描く循環とは、こんな形である。

広葉樹の山から原木が伐り出され、しいたけ栽培に使われる。

役目を終えた原木は、オガ粉にして、今度はマイタケの菌床として利用される。

マイタケをとったあとは、さらにヒラタケ属やいろんなきのこの菌床として再利用され、

最後には堆肥となって土に還る。

山もいずれ野生のきのこが生える森にしていきたいと考えている。

大地の循環とともに生きる、と佐藤さんは何度も口にした。

 

これが舞茸の菌床。

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栽培室は大量の自然光が取り入れられる構造になっていて、

太陽光自動追尾式のシステムによって、クリーンで自給型のエネルギー利用に努めている。

一切の薬剤を使わず、仮に何かの有害な菌が発生した場合は、

「徹底的に掃除する。とにかく掃除です。」

 

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香り、味、歯ごたえ、ともに佐藤さん自慢のマイタケ。

 

廃菌床のリサイクルセンター。

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培地は、循環システムの中でふたたびきのこ栽培の原料となり、あるいは

畜産農家での利用、そして堆肥となって土に還る。

袋は自社の燃料に。 目指せ、ゼロエミッションというわけだ。

 

順番が逆になってしまったが、しいたけの原木栽培。

こんなふうにホタ木が組まれている。

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しいたけもよく見ると、可愛いもんだね。 

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会議室に戻って、今度は有機農業をめぐる情勢について、私から報告させていただく。

有機農業推進法の成立と、推進のためのモデルタウン事業が始まったこと。

その動きを後押しした 『農を変えたい!全国運動』 の展開。

農を変えたい運動からは、有機農業の技術の確立に向けたネットワーク組織も

生まれてきていること。

この運動をさらに大きく、かつそれぞれの地域で活かせられるように育てていきたい。

 

群馬でモデルタウンに指定されたくらぶち草の会の代表、佐藤茂さんにも

当地での進み具合を報告してもらう。

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しかしこのモデルタウンというヤツは、生産者が単独で進めてはダメで、

地元行政やJAなどとも一緒になって、「地域の取り組み(事業)」 の形に

しなければならない。

それがなかなか厄介で、行政の理解が足りなかったり、歩調が合わないと

やりたいことも一気に進めることができなくなる。

佐藤さんもだいぶ運営に悩んでおられるようだ。

こういうときは、周りの力が大切になる。

佐藤さんのお世話で倉渕に入植した元大地を守る会社員の諸君、

佐藤さんを孤立させないよう、力になってやって欲しい。

 

夜の懇親会は、え~と・・・割愛。

上州赤木温泉郷の秘湯の宿で、いつまでも話は尽きず・・・・・なのでした。

 



2009年2月 6日

新年会は続く -茨城編-

 

2月に入っても産地での新年会は続く。

藤田会長は、「旧暦なら、まだ正月が始まったばかりですから」

と開き直って新年の挨拶をやっている。

まあたしかに、月暦では一昨日(2月4日/月暦1月10日)が

一年の始まりと言われる立春の日ではあるけど。

 

そんなわけで、今週は産地新年会後半のピークとなる。

2月3日(火)は茨城、一日置いて5日(木)は群馬。

ともに県内の生産者合同での、新年の初顔合わせ。

だいぶ疲れも出てしまっているので、それぞれの様子だけでお許しを。

 

茨城編-

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会場は、つくば市の国民宿舎 「つくばね荘」。

参加者39名。


千葉でもお伝えしたように、新年会といっても、ぼくらはただ飲むだけではない。

ここでは、八郷(やさと、現石岡市)で進められている有機農業推進モデルタウンの進捗について、

その事務局を務めるJAやさと総務課長の柴山進さんに報告いただく。

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旧八郷町は、古くから有機農業が盛んで、しかも新規参入者も多くいる地域である。

JAやさとでの野菜の販売額の20%が、有機農産物で占めている。

有機農業では全国区と言える著名な先進地区なのだが、

「古くから」 ということは、すでに消費者と直接提携して販路を確保している人も多く、

「いしおか有機農業推進協議会」 として立ち上げたものの、

生産者・消費者・JA・行政(市・県)・学者などで構成される運営委員会も、

足並みを揃えるのは容易ではないようである。

それでも新規就農希望者に対する研修制度や就農支援の体制は、

先達の作られた受け皿もあり、さすがに一日の長があるように思えた。

新旧の担い手がうまく連携できれば、農業だけでなく、地域発展の主体にもなれるはずだ

 -と思うのだが、そこは部外者がテキトーな口を挟むのは慎むべきか。

 

宴会が始まれば、そちこちに議論の輪ができる。

話は栽培技術から始まり、農業経営に仲間づくりでの悩み、それぞれの自己史などなど、

皆、真面目である。

県内合同のメリットは、普段は会うことのない人同士の交流ができることだ。

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米専業で有機JASを取得した下館の大島康司さん(左)と、

つくば・中根グループの野菜農家・井坂光男さん(右)。

 

その中根グループ代表の中根剛さん(左)と、下妻市の柴崎賢さん(右)。 

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大地にどうやってモノ申すか、で相談しあっている ...ってことはないか。 いや、あるかも。 

 

圧巻は、このお二人。

八郷の阿部豊さんと、大阪から新規就農した桑原広明さん。

阿部さんは昨年、新しい仲間として桑原さんを迎え、阿部グループとなった。

このたび、グループの名称を  『 頑固な野良の会 』  とした。

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自作の曲を披露しながら、俺たちを挑発する。

「オレが大地と付き合い始めた頃、

 集荷に来る大地のトラックの幌には " 頑固な八百屋 " って書いてあった。

 オレは今、改めて自分のグループ名を " 頑固な野良の会 " と名づけたから。

 大地にも、 あの頃の精神を忘れるな、と言いたい! 」

 

以前にも書いたけど、阿部ちゃんは今年、有機JASの更新をやめる、と決意した。

僕は了解した。

新しい地平を築くのに、有機JASマークはけっして必要条件ではないから。

でもそれはただやめてもいいよ、という意味ではない。

その向こうのイメージがあってのことである。

ぼくらが目指そうとしている " 大地独自の新しい認証の形 " に

阿部ちゃんは共感を示してくれたから、である。

挑発にはこう応えておきたい。

シンボルマーク (それを最近はみんな " ロゴ " と呼ぶ) は変わっても、

変わってはならないものがあることぐらい知っているから、

お手柔らかに、とは言わないよ。 これからも共に、です。 

 

部屋に戻っても、話は尽きない。

玉造 (現・行方市) の堀田義明さん(右から二人目)、

十王町 (現・日立市) の樫村健司さん(左端) と大地職員の語らい。 

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傍らで、音楽で共鳴しあう連中。

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ステージで桑原さんが演奏していた洗濯板のようなモノは、

「ウォッシュ・ボード」 というまさに洗濯板だったが、れっきとした楽器である。

既成の楽器を買えない黒人たちが、身近にあるものを使って演奏の道具にしたのだ。

頑固な野良の会にウォッシュ・ボードか-

 

ジャズにブルースにフォークに・・・・・音楽もまた人をつなぐ。

宿が貸し切り状態だったので、助かった。

 



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